道端のホンの一寸したスペースに、「たんぽぽ」 が咲いていた。
手を一杯に拡げ満面の笑みを湛えていたが、道行く人々は素知らぬ風情だった。
一人の爺様が腰を屈め、独り言を呟きつつ、カメラで写して、満足そうに立ち去った。
駅近く道端に咲く 「たんぽぽ」 に
忙しげな人々哀れ気付かず
満面の笑みを湛えて手を拡げ
語りかけるに 聞く耳持たずも
道端の 「たんぽぽ」 の花 笑み咲くに
人々見ても観えずは哀しも
腰落とししゃがめば 「たんぽぽ」 嬉しげに
花びら揺れてその声聞かまし
カメラ向け写さむとすれば顔隠し
恥じらう素振りは稚けき妹かな