「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「足元の ヒマラヤ雪の下」

2012-03-19 14:55:37 | 和歌

 足元の「ヒマラヤ雪の下」が、身を寄せ合って咲いた。

 暖かな気候であれば年末にも咲き始めるのだが、3月になってからの開花は、今年の寒波が殊のほか厳しかった証しかもしれない。

 

 ヒマラヤ山脈を原産地とするこの花は、寒さには滅法強く、温暖な日本では年間を通して大きな緑葉が枯れることはない。12月から5月頃にかけて、可憐なピンクの花を咲かせて愉しませてくれる。

 2月の上旬に始めた「うつろ庵の飛び石」改造では、慣れぬ造園作業に腰を痛めつつも作業を楽しんだ。
作業中もしばしば濡れ縁に腰を下ろして、腰を労わりつつ休憩したものだ。足元の「ヒマラヤ雪の下」は緑葉が地を這って、2月半ばの莟は殆ど目立たなかった。庭師作業を終えて旬日のうちに、莟が急速に膨らみ、身を寄せ合って花が咲いた。


 この花は、緑葉に守られて咲き初めるが、暫らくすると花茎が二・三十センチも伸びて立ち上がる。その頃になると花穂も大きく成長するので、あたかも花数が増えたかの様に咲き誇って見える。ひと月ほども咲き続けて、目を愉しませてくれる優れものだ。


          緑葉は母のかいなか 抱かれて

          赤児に咲くなり ヒマラヤ雪の下は 


          常ならば歳の瀬に咲く花なるに

          寒波の故か如月過ぎぬは
         

          いや高きヒマラヤの地より嫁ぎ来て

          庵の庭に花咲く君かな


          花茎をやがて伸ばして見て観てと

          華やぐこころを待ちにけるかも