「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「葉牡丹と白妙菊」

2012-03-09 14:15:19 | 和歌

 まだ背丈の小さかった「白妙菊」に「葉牡丹」を寄せ植えにしたのは、たしか昨年の秋口頃であった。秋から冬にかけては庭の彩が少ないので、虚庵夫人が平鉢にあしらって植えたものだ。年末以来、葉牡丹は「うつろ庵」の庭に華やぎをもたらして、目を愉しませてくれた。

 厳しい冬の間に、葉牡丹は次々と葉を脱ぎ捨てて背伸びするので、いつの間にか足元がヒョロヒョロット伸びて、気の毒なスタイルになった。葉牡丹より背の低かった白妙菊だが、葉牡丹に比べれば成長が速いので、忽ち葉牡丹を覆うかの様に成長した。愕いたことに、周りの白妙菊の背丈が伸びたら、葉牡丹も爪先立って、背比べをするかのように見えるではないか。

 直径30・40センチ程の平鉢に、今では白妙菊がこんもりと盛り上がっているが、葉牡丹が小さな葉を精一杯に広げる姿が、何とも微笑ましい。薄紅の彩が白妙菊の葉に映えて、じじ・ばばを愉しませて呉れている。

 


          しろたえのレースを纏うや葉牡丹は

          うす紅にかんばせを染めて 


          凍みいれば葉を脱ぎ捨ててかんばせに

          華やぎ保つ 葉牡丹君はも
         

          彩りの失せにし冬のうつろ庵に

          稚けき葉牡丹あわれ堪えて


          葉牡丹を気遣い寄り添う白妙の

          菊葉のレースは労わるこころか


          白妙のレースと共に切り込みの

          深き翠葉 手を貸す仕草か