「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「うつろ庵の梅花空木」

2011-12-07 23:06:50 | 和歌

 師走の7日、「大雪」を迎えたというのに、「うつろ庵の梅花空木」が咲いた。

 この時節は、山茶花を除けば花木は殆ど花を付けないが、「うつろ庵」の庭先の梅花空木が狂い咲きで、一輪だけ花をつけた。ひょろひょろっと伸びた枝の先端に莟が付いていたが、莟のまま咲かずに散るのかもしれないと危惧していたが、「うつろ庵」の陽だまりがお気に召したのであろう、虚庵居士夫妻を喜ばせて呉れた。

  この花は元来、晩春から梅雨の頃にかけて群れ咲く花だ。雨に濡れて咲く梅花空木の風情は楚々とした姿で、何とも言えない趣がある。たった一輪ではあるが、初冬に咲いた梅花空木は、「狂い咲き」などと冷たい表現をしては可哀想だ。「うつろ庵」のじじ・ばばと、師走の数日を楽しみに訪れた乙女との「えにし」を、大切にしたいものだ。



 

          白妙の梅花空木の花一輪

          朝日を浴びて師走に咲くかも


          老いぬれば梅花空木の狂い咲く

          花の一輪 いとおしきかな


          枝先の花一輪が風に揺れ

          語らふ仕草ぞ我妹子(わぎもこ)相手に


          じじばばを慰めるらし狂い咲く

          梅花空木の花一輪は


          来春に群れ咲く花を観まほしき

          梅花空木のいや咲く姿を