三十三間堂を訪ねた。
お堂への入口では香が漂い、流石のキャメロンくんのギャング振りも、たちまち修まった。
千一体の「十一面千手千眼観世音」と、雷神と風神及び二十八部衆像は、時の流れを超えて暗い堂内に粛然と並んでいた。キャメロンくんが怖がるのではないかと心配したが、つぶらな瞳を輝かせて、興味津々の体であった。ママに優しく説明されて、一緒に手を合わせて祈る稚い姿は、千手観音に劣らず凛としていた。
渉成園では池泉を廻り、キャメロンくんは例によって名カメラマン振りを発揮していたが、踏み石によろけて、ジジのカメラが手から落ちて毀れるハプニングもあった。
最後のお楽しみに残してあった梅小路の「蒸気機関車館」では、石炭の黒い煙と、白い蒸気を吐きつつ走る本物の「チューチュートレイン」にキャメロンは眼を瞠った。運転台に乗込み、汽笛を鳴らし、頬を真っ赤に染めて、夢中になるキャメロンであった。旅の締めくくりは、無我夢中のひと時であったに違いあるまい。
逞しく居並ぶ機関車を指さして
どうして? なぜなの? 走らないのは!
本物の チューチュートレィンって デッカイな
汽笛を鳴らして ボクは機関士
京に来てあまたの歓び受けしかな
孫との旅の日々を思えば