寿命を決める社会のオキテ (進化論の現在) 価格:¥ 1,050(税込) 発売日:2004-12-16 |
喫煙よりもストレスの方が体に悪い、という説の根拠としてあげられる本なので読んでみる。
簡単に述べると、「社会的な階層が健康に影響する」というもので、さらに言うと、生活水準の問題よりもむしろ「格差」の方が、健康に悪いという話。
格差の大きな社会の方で「下層」の人たちはより大きな健康リスクにさらされているのだそうだ。かりにその人たちよりも、ずっと生活水準の低い人でも、その国なりその地域なりが「均質」で「平等」なら、健康は上々。つまり生活水準の「絶対値」よりも「格差」の方が問題だというの話。
へえっと驚くような話なのだけれど、これ、どの程度の効き方をするものだろう。また著者の見解はどれくらい支持されているんでしょうか。
簡単に思いつく疑問としては……、必要な栄養を得られなかったり、不衛生な環境で感染症が蔓延するような社会は<きっと「格差」よりも、健康に悪い。どのあたりで、「絶対値」よりも「格差」の影響が大きくなるのだろう。
分からない。
いや、それだけじゃなくて、
この本、ほとんど定性的な話ばかりで、「量」が語られることがほとんどない。
メカニズムの推測には熱心だが(コルチゾールの影響とか、いろいろ)、オッズ比もリスク比も出てこない。
だから、そういう説があります、ということしか読み取れなくて、フラストレーションがたまる。
Further readingも特に挙げられていないけれど、このあたりを読んでみるべきなのかな。
社会格差と健康―社会疫学からのアプローチ 価格:¥ 3,570(税込) 発売日:2006-08 |
不平等が健康を損なう 価格:¥ 2,520(税込) 発売日:2004-10 |
緊急ではないけれど、そのうち、読みます。
そうそう、喫煙との関係。
喫煙よりもストレスということは、この本からは読み取れない。
かりに「格差」が「喫煙」よりも効くリスクファクターだったとしても、喫煙・格差がそれぞれ寄与して、たとばえ肺がんなりなんなりのリスクを押し上げると考える方が自然だろう。
格差と喫煙の間には密接な関係があるというなら、そこは因果グラフの登場ですね。
さらにいうと……
これ、進化論の本、なんでしょうか??
ほんと謎が多い。