川端裕人のブログ

旧・リヴァイアさん日々のわざ

エピデミックの表紙など

2007-11-14 17:19:32 | 自分の書いたもの
200302000714
こんなかんじに仕上がりました。
実はまた、アンリ・ルソー。
また、というのは、「星と半月の海」も「ルソー風」と発注したんですね。で、これは本物のルソー。黙示録的な雰囲気があるものとして選びました。画のタイトルは「戦争」なんですけどね。



200302000714_aこちらが、帯ですね。なんだか大げさなことが書かれていますが、まあ、そういう話です。でも、どこかこっぱずかしいな。毎度ながら。とにかく疫学者が主人公で、オッズ比まで求めてしまう、史上初の小説だと思います。


Shape!

2007-11-13 21:18:13 | 日々のわざ
Img_1284近所に価格破壊的なリフォーム屋さんがあるのを発見。


そこで、懸案を実行。
というのも、体型にあったシャツがないわけですよ。
しょっちゅう着るわけでもなし、わざわざオーダーするのもどうかなあ、と思ってたので、ほんと渡りに船とばかりに、やってもらいました。



ベースはユニクロのボタンダウン。
袖はジャストなのだけれど、腰回りがだふつくのを大胆シェイプ。
袋縫いはしてもらえなかったけれど、ロックミシンでダダダダタッと、縫ってもらいました。どうせインナーだし、これでよし。


肩は調整できないので(ややだぶつく)、やはりオーダーするのには負けるけれど、ぼくみたいな時々着るくらいの人にとっては、圧倒的コストパフォーマンス。
大満足。
色違いで、何枚か作っておこう、と決めました。
ただそれだけで、ちょっとハッピー。

コミュニケーション本を読むがすぐつるりと忘れる

2007-11-12 07:23:39 | ひとが書いたもの
コミュニケーションの日本語 (岩波ジュニア新書)コミュニケーションの日本語 (岩波ジュニア新書)
価格:¥ 777(税込)
発売日:2004-12
人は「話し方」で9割変わる (リュウ・ブックス―アステ新書)人は「話し方」で9割変わる (リュウ・ブックス―アステ新書)
価格:¥ 840(税込)
発売日:2006-01
自分の言語運用能力というか、対話によるコミュニケーション能力について反省したりすることもあり、読んでみるのだが、うんうんそうだよな頷きつつ、すぐに忘れる。
フックがない。
これは自分の側の問題か。
ジュニア新書の方は、「シンナーを吸おうと誘われた時の断り方」みたいなことまで書いてあって、よい目配りなのだが。



いじめ―ひとりぼっちの戦い (ちゃおコミックス)
価格:¥ 410(税込)
発売日:2007-04-27
ライフ (1) (講談社コミックスフレンドB (1296巻))ライフ (1) (講談社コミックスフレンドB (1296巻))
価格:¥ 410(税込)
発売日:2002-08-09

これも広い意味でのコミュニケーション本?
いや、という読み筋はないわけじゃないけれど、いじめ本ですね。
前者は、本当にいじめにフォーカスしていて、いじめられた時の対処などをまとめたページも差し挟まれている。「ちゃお」に連載されていたものだから、きっと小学生にも参考になるだろう。お話自体は中学生なのだけれど。


「ライフ」は……これ売れているのですか。
こっちは高校生の女の子、自傷ライフ。いじめ要素も満載。
1巻からしてすでに読むのがつらいのだけれど、2巻以降さらにエスカレートするらしい……。

お勧め本企画

2007-11-11 14:49:20 | 自分の書いたもの
今書店に並んでいるはずの「エスクワイア」に「作家が選ぶ旅の本」というくくりで、5冊ほど紹介しています。
いろいろな人が計155冊を挙げているのだけれど、ブルース・チャトウィン強し。
ぼくも挙げているのだけれど。


また、今、書店に並んでいるはずの「日経アソシエ」で、動物園にかんする本を6冊紹介しています。


なんだかそういう発注が多いこの頃でした。
紹介したのがどの本かは見てのお楽しみ。





データロガーによる「日本人のペンギン学」本

2007-11-10 14:06:03 | ひとが書いたもの
ペンギンもクジラも秒速2メートルで泳ぐ―ハイテク海洋動物学への招待 (光文社新書 (315))ペンギンもクジラも秒速2メートルで泳ぐ―ハイテク海洋動物学への招待 (光文社新書 (315))
価格:¥ 882(税込)
発売日:2007-08
これはうれしい本、むかし、「ペンギン、日本人と出会う」の中で、「日本人のペンギン学」が花開く予感を述べたけれど、本当にその通りになっているんだ。


著者は、ウミガメから入って、ペンギンやアザラシにデータロガーをつけて研究をしてきた人物。冒頭の章で語られるツカミの発見、ウミガメの内温性・ペンギンの外温性(みかけ上だけど)のことはさっそくおもしろい。なんでだ?


そのあと、加速度データロガーをつかっての本格的な研究の話になるのだが……



ペンギンが潜水から水面に戻る時にフリッパーの動きを止めて浮力だけで「滑水」して省エネするやりかたやら、その一方でアザラシでは潜るときにフリッパーを動かさずに「落ちる」ことで省エネしていることがわかったり、それらは、潜水時に体内に取りこんでいる酸素の量で調整されるのではないか……みたいなところまでつながっていく。


ああだこうだやるうちに、ウミスズメのように小さな鳥から、クジラにいたるまで、水中で推進する動物のスピードは、秒速1メートルから2メートルがもっともエネルギー効率がよいのではないか(実際にそれくらいのスピードになっている)という大きな話になるから素敵だ。小さな動物はフリッパーや翼をあわただしく動かし、大きな動物はゆっくり動かす。そのストローク周波数と体重のあいだにもきれいな相関がある。


と研究成果としてこの本を読んでしまうと、だいたいこういうところなんだけれど(省略しすぎていますが)、データロガーの開発話であるとか、フィールドでの研究裏話的な部分がめっぽうおもしろい。
たぶん「動物の仕事」をしたいと思っている人にとって究極なんじゃないかな。


ぼくにとっては、「日本人のペンギン学」本として認定。
安藤達郎さんによる、ペンギン進化についての新書なんてのも、そのうちでないかしらん。
編集者の方、ぜひ。
ペンギン、日本人と出会うペンギン、日本人と出会う
価格:¥ 1,800(税込)
発売日:2001-03




追記
そうそう、本書の最後に、著者が新しい研究者をつのる言葉がふるってる。
シャクルトンを気取って、


求む男女、ケータイ圏外。わずかな報酬。極貧。失敗の日々。絶えざるプレッシャー。就職の保証なし。ただし、成功の暁には知的興奮を得る。

校長先生のブログに「出て」います

2007-11-09 08:38:29 | 保育園、小学校、育児やら教育やら
婦人公論連載でご協力をいただいた、ブロガー校長先生たちが、PTAをめぐるエントリを最近アップしてくださっています。連載14回目に登場頂いた、principさんと、toshiさん。


まず現役校長であるprincipさんは、誌面では紹介できなかった突っ込んだ議論を公開してくださいました。

小学校長のお仕事:PTAのメリットは?


toshiさんは、ぼくのほかの連載記事も読んで、思索を深めてくださっています。

教育の窓・ある退職校長の想い:PTAと学校(7)PTAは任意加入か!?
教育の窓・ある退職校長の想い:PTAと学校(6)


principさん、toshiさん、ありがとうございます。


で、みなさん、ぼくの記事と一緒に読み合わせ頂けると、きっと問題(?)が立体的に見えてきます。
興味のある方、ぜひ一読を。
ご紹介まで。


深澤真紀さんの本

2007-11-08 21:31:10 | ひとが書いたもの
平成男子図鑑 リスペクト男子としらふ男子平成男子図鑑 リスペクト男子としらふ男子
価格:¥ 1,365(税込)
発売日:2007-06-21

男子図鑑とあるだけに、イマドキの若い男子をカテゴライズする本。
実証データは特になし。定量的な議論は、一箇所のみ。この何十年かの男女の性行動の変化についての調査について、数字が示されているあたり。


若者をカテゴライズとというと、即、若者叩き?みたいな気もするけれどさにあらず。


終始一貫して、若者叩きしがちな、おやじ世代と、批判されがちな男子世代に対して、こういところはおたがい学ぶべきものがあるとか、ここはいいとこだけどここ弱点じゃない? とか、建設的な意見に満ちている。


愛がある本、といえる。
こういうスタンスなら、カテゴライズもオーケイってかんじがする。
ヘイトスピーチとは無縁、といういみで、信頼できる記述だった。


ちなみに、深澤さんは、ぼくにとってはリスペクト。まじすげえ、人。にわかリスペクト男子になってしまう(本書参照のこと)。


「夏のロケット」は、何人かの人たちの、意図せぬ連携プレイの結果、世に出た本なのだけれど、深澤さんは、その中の重要なアクトレスなのでした。
頭上がりませんってば。
良い仕事をするのが、お返し、なのですね。
夏のロケット (文春文庫)夏のロケット (文春文庫)
価格:¥ 670(税込)
発売日:2002-05


エピデミックが手を離れる

2007-11-08 20:25:11 | 自分の書いたもの
飯田橋の角川書店まで出向いて、エピデミックの念校のチェック。
最後の最後まで、赤を入れてしまって、編集者のGさんには負担かけまくり。でも、見たら、入れないわけにはいかないのです。ほんと、すみませんが、よろしくお願い致します>Gさん。
たまたまあがってきたブックデザインを見たりしつつ、6時に学童迎えに間に合うように急いで帰宅。
これにて、エピデミックは、ぼくの手を離れた、かな。
なんにもなければ。




PTAとタッグを組んだ校長先生もいる

2007-11-08 08:25:37 | 保育園、小学校、育児やら教育やら
20071107すでに書店に並んでいる婦人公論に掲載。第15回です。「PTAとタッグを組んだ校長先生もいる」というタイトルで、内容は和田中の藤原和博校長のインタビュー。徹底した情報公開で、保護者を、PTAを、やる気にさせちゃう、という話。


藤原校長の数ある本の中で、一番お勧めなのはこれ。
ぼくたちにとって、子どもや先生を通じて知る学校というのがすべてなのだけれど、そこから先、学校と教育委員会や地域の間にあるものがよく見えてくる。
校長先生になろう! (BP Online book)校長先生になろう! (BP Online book)
価格:¥ 1,575(税込)
発売日:2007-03-21



もう一点、これからの成熟社会を生きる子どもたちに向けたメッセージ本もよい。
実はこの本、保護者にこそ読んでほしい。成熟社会に生きるにあたって、なにが大事なのかってこと。今のPTAに足りないことがここに書いてある気がする。
「ビミョーな未来」をどう生きるか (ちくまプリマー新書)「ビミョーな未来」をどう生きるか (ちくまプリマー新書)
価格:¥ 777(税込)
発売日:2006-01


朝走っていると

2007-11-08 08:10:11 | 日々のわざ
最近、よく見るのが、出勤するお父さんと手を繋いで駅に向かう低学年の子。
6時くらいで、すごく早朝出社アンド登校なのだけれど、ラッシュを避け、なおかつ、途中の駅まで子どもと一緒、みたいな安心があるのだろうな。
微笑ましいけれど、ちょっと胸が痛い。きっと、人込みが嫌いだからだ。午前6時台でも通勤電車は通勤電車。それなりに混んでいる。





なんて思っていたら、きょう、朝5時、ひとり駅に向かう制服姿の小学4年くらいの子を見た。
そういえば、知り合いの子が、山手線の「裏側」の有名小学校に通っていた時、夜は7時半くらいにねて、早起きし、5時には学校に行くと言っていたっけ。それもラッシュを避けるためだった。そして、早めに学校に着いて、宿題とか、読書とか、家でできない分をするのだそうだ。
その生活を支えているのが、早起きの父親だった、みたいなおまけの話もある。


子どもたちは、ぼくが子どもの頃と違う環境の中で生きている。
そのこと自体を切ないと思うのはおかしなはなしなのだ。
かわいそう、なんておせっかいだろうし、決して、悪いことでもないのだと思う。
子どもって実に適応性が高いものね。


というわけで、
きみたちが育つこの環境の中で、日々を楽しんでくれらたいいなあ。
がんばろうぜ。
なんて無意味にしんみり重いながら、走る。



下流議論ふたつほど

2007-11-06 21:10:18 | ひとが書いたもの
下流志向──学ばない子どもたち、働かない若者たち下流志向──学ばない子どもたち、働かない若者たち
価格:¥ 1,470(税込)
発売日:2007-01-31
格差が遺伝する! ~子どもの下流化を防ぐには~ (宝島社新書 231)格差が遺伝する! ~子どもの下流化を防ぐには~ (宝島社新書 231)
価格:¥ 777(税込)
発売日:2007-05-19

また、訳あって読んでいる。「下流」言説の本丸(?)的な文章を読むのは、これがはじめて。






「下流志向」は、印象論の本なので、あまりコメントすべきことはない。何冊かの本と、著者自身の直接体験を中心に書かれているものだから、そういう印象論の本として扱うのが正しいだろう。


「格差が遺伝する」は、調査に基づいたものなのだけれど、この著者についてよく指摘される通り、データの扱いに不安を感じさせる筆致。もとになっている調査は、版元である宝島社がお金をだしたものだというのは、あとがきを読んで分かったのだが、冒頭には人数と、小学生の親、くらいの情報しかない。どういう質問をしたのか、どんなやり方で集めたのか、など、一定の情報はほしいなあ。これは信頼度の問題でもあり、また、こういう時事問題直結のテーマを批判的に読むために是非必要な情報でもある。


中身の分析でも、因果関係と相関関係についての意識が素朴だと感じる。
たとえば、92-93ページで、「明るい・健康的」と「成績が上」との相関を、どちらが原因でどちらが結果なのか、という議論をしているのだけれど、そもそも、このどちらかが原因でどちらかが結果といふうにすっぱり分けられるのだろうか。それこそ、交絡もあるだろうし、因果グラフ的な発想をしなければならないところではないだろうか。


75ページでは、今の日本の社会では、女性も結婚後、出産後も働くべしという方向に誘導されているにもかかわらず、早寝早起き朝ご飯のように、家庭の力をよりいっそう要するような方向のキャンベーンが張られることに違和感を表明しているくだりがあって、そうだよなあ、とまさに意を得たりだったったのだが、119ページでは、佐世保の小学6年生の事件で、母親が家にいる仕事ならああはならなかったかも、みたいなことを書いていて、つまりは、「女性は家にいろ」という議論なのかと勘ぐってもしまう。
違う意図だ、という読みも当然あるのだけれど。


格差の拡大を憂うという意味では、大変、現代的な問題意識を持った著者であって、もうすこし慎重に議論してくれたらなあと思うのだが。
とりわけ、統計、疫学の知識、再確認していただけませんか。とこんなところに書いても伝わらない可能性大だが、書いておく。せっかくあれこれ調査できる立場なのなら、実にもったいない。