「声のお仕事」(川端裕人・文藝春秋)の配本がいよいよスタートしています。
そこであらためて内容紹介。
まずは、「公式」な内容紹介から。
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「声で世界を変えてやる!」崖っぷち声優の、大きすぎる野望は叶うのか!?
二十代後半、いまだ目立った実績のない声優の結城勇樹。
背水の陣で挑んだ野球アニメ「センターライン」のオーディションで、ついにレギュラーを摑むが、その役は……なんと犬!?
誰もが身近に感じながらも、知らないことの多い声優の世界に光をあてた、リアリティたっぷり、胸が熱くなるお仕事小説です。
章立て
1.声のお仕事
2.声のフィッシュダンス
3.声の討ち入り
4.声のお当番
5.声の放浪者
6.声のオトモダチ
7.声の崖っぷち
8.声の大仕事
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作品の成り立ちを軽く述べますと、これは2012-13年にアニメ化された「銀河のワールドカップ」(アニメ化されたタイトルは「銀河へキックオフ!!」)を通じて出会った声優さんたちに多くを負っています。
個人的には、本格・青春・声優小説です。
もともとお仕事小説は好きですが、ちょっと変わったお仕事小説に仕上がったかもしれません。
魅力的な声優の世界を舞台として使って物語を動かすというのではなく、その世界に埋まっている物語を掘り起こしたい、というのが最大のモチベーション。
対象が何にせよ、どんなプロの世界も、物語の原木みたいなもののようにぼくには思われ、まずはそれを削り出してみたいのです。
その原木を提供してくれたのが、この作品の場合は「銀河へキックオフ!!」の声優さんたちだったというわけです。
作中では、「センターライン」という高校野球アニメを演じるキャストたちが、「声のお仕事」に真摯に向き合います。特に、語り手のユウキくんは、「ほぼ新人」なだけに、苦労しつつ、声で演じることの意味を自問し、ステップをあがっていきます。
作品をつくるにあたって、参考にさせていただいた声優さんの名前を挙げさせていただくと──
井上優さんと、坂巻学さんは、本作が「オール読み物」誌上に掲載されていた期間、ずっと原稿を読み、逐一、コメントを下さいました。
中津真莉さん、田澤利依子さん、堀井茶渡さんにも、かなりの時間を取っていただき、お話をうかがいました。
さらに、小林ゆうさん、小山力也さん、立花慎之介さん、細谷佳正さん、KENNさん、菊池こころさん、坂篤志さん、池田恭祐さん、中西悠さん、明坂聡美さん、大浦冬華さんにもおりにふれてお話させていただくチャンスがありました。
本当にありがとうございました!(本書内の謝辞にも書いてあります)。
あんまりファンシーでない、リアリティ志向の声優小説ですが、やっぱり読みなおしてみますと、キラキラしますね。
この世界そのもののキラキラ感、声で演じるよろこび、そして、とはいえ、悩ましい現実や、それを突破しようする努力(とか運とか)。
お楽しみいただければと思います!