ニッポンの評判―世界17カ国最新レポート (新潮新書 276) 価格:¥ 735(税込) 発売日:2008-08 |
さっそく恵贈してくださったこの本は、ニッポン人についてのポジティヴな評価を与えているいわゆる「親日国」(?)が、どのようにニッポン人を受容し、イメージを変遷させてきた、といったことが書かれている。基本的にポジティヴ方面の「クール・ジャパニーズ」の話が多くて、なんだか心づよい。
内田さんは当然のごくとニュージーランドの章を担当。
着実でまじめでよく働くけれど、傷つきやすく意見をはっきりいわず戸外の仕事が苦手なニッポン人を、ニュージーランドの有機農場でどのように扱えばいいのか、「日本人への接し方」マニュアルのごときものが存在しているというのが笑える。
あるニュージーランド女性が、日本人は悪いことが出来ないような育ち方をしているのでは、というふうな言い方をしており、そこに共同体の和を乱せないメンタリティに通じるものがあると感じるのだけれど。
で、ニュージーランドの教育。
公立学校の範疇が非常に広く、自由度が高い。
内田さんは、日本のPTAのことを、ニュージーランドのボード・オブ・トラスティ(BOT)、つまり評議委員みたいなものかと思っていたみたいだけれど、それはまったく違うのだ。
BOTには保護者も入っているかも知れないけれど、地域の教育熱心な人がいたりする。たいてい、校長の人事権まで持っている。
ヨーロッパの市民社会的なところではこういうやりかた、多いのでないだろうか。
で、PTAや、保護者の会は別にあって、日本と違うミッションとしては、ファンド・レイジング。資金集め。
日本の公立校は、保護者から、PTAからの寄付を受け取れないけれど(モノき形での寄付は別)、ニュージーランドでは、むしろ、それが大切な役割とされる。
国が決めた、教科ごとの「教えること」についてのガイドラインはあるけれど、教科書はない。
だから、学校の教師は大変。かなり資質を要求される職業だそうだ。
公立の自由度の高さのあらわれとして、シュタイナー学校まで公立扱いする話を聞いた。
この場合、公立といっても、国から公立としての運営費が出るという意味で、経営は各学校が主としてやるのだけれど。
そして、シュタイナー学校のように、国のガイドラインに沿わない教育をする学校でも、エクストラな資格で、「公立」としての扱いを受けられるのだとか。
また、内田さんは、最近、自由度が高まるあまり、学校側に商業主義的なものがどんどん入ってくる危険をかんじているという。
学校主催のディスコデイとか、「変な髪で来るデー」とか……。
おじいちゃんおばあちゃんが、フリフリの服を買ってあげて、スパイスガールズみたいなへそだし姿で学校に行ったり。
早く大人になりたい、セクシーになりたい、クールになりたい、という欲望は、日本以上に感じるとのこと。
それって、イギリス系の国は、子どもに早く自立させるのを是とする傾向があるのとリンクしているようにも感じた。おしゃれだけ真似して大人になれるわけではなかろうが、「大人になれ」という圧力はとても強い国なのかもしれない。
ぼくのPTAの本も差し上げた。
是非感想が聞きたいことろ。
そうそう、ぼくの1年間に使った時間の表のページをみせたら、目を丸して、なんでこんなにやることがあるの?と驚いていた。
これは、「外からは分からない」という典型的な反応で、「ダンナには愚痴るな」にも通じるものがある。
以上、だだだっ、とメモ書きでした。誤字脱字、意味の分からんところご容赦。
PTA再活用論―悩ましき現実を超えて (中公新書ラクレ 294) 価格:¥ 819(税込) 発売日:2008-10 |
追記
ニュージーランドのシュタイナー学校の件。
内田さんによると、シュタイナー学校が「公立」というよりは、「スペシャル・キャラクター」の学校として国の補助を得る対象となりえている、という位置づけだそうです。
いずれにしても、間口が広い。
多様性について寛容、というのかんじがひしひしとしますね。