川端裕人のブログ

旧・リヴァイアさん日々のわざ

風通しのいい水族館

2005-04-01 00:17:24 | 川のこと、水のこと、生き物のこと
IMG_2435かごしま水族館の取材から帰ってきました。

20世紀末の「水族館ブーム」の最後のあたりにできたところという認識で、ある理由から、「ここじゃなきゃ」という部分もあって、取材をお願いしました。その理由がなにか、というのはたぶん3ヵ月以内くらいに分かるのだけれど、お邪魔して30分後には、「ラッキー」と思っていました。
とてもよい場所をぼく選んだなあ、と。

ひとことで言うと、風通しがいい、のですよ。
取材者としてもとてもやりやすいし、なにより、やってる人たちが(水族館の職員たちが)楽しそうだ。
ミーティングなぞにも出させていただいたのだけれど、みんなちゃんと自分の考えていることを言えるような雰囲気があって、あれはこうした方がいいとか、そうじゃないんじゃないか、と会話が効率的に行き交っていました。

あと、とても感心というか、おもしいろいなあと思ったのは、魚系の飼育係たちが、毎月手分けして10回くらい、鹿児島県内の定置網の網起こしに参加するため、出張しているんですよね。
この水族館の展示のキモは「地元の海」なので、やっぱり展示する魚は漁業者からの供給に頼ることが多く、そのネットワークの維持には「かおつなぎ」が必要だということ。
とても理にかなっているのだけれど、現場の人を割くわけで、きっと大変なことなのです。たぶんこういうことを水族館をあげてやっているところって少ないのじゃないでしょうか。

そういえば、海獣類の飼育者は、大学と共同で錦江湾の鯨類調査に公務として定期的に出ているそうだし、ピラルクを担当する飼育係はアマゾンにはまっていて私費でアマゾン旅行中だったし(なんと1ヵ月の休みだそうです。よく認めましたね、館長)「外に出る」ことに、とても熱心なようです。

さらに言うと、イルカの展示には、外の海に直接つながる通路があって、月のうち一週間かそこらくらいは、外に出したりもするそうなんですね。

ベクトルが外に向いている。
そのことは、当然、内側にフィードバックされて、良い循環を生む、と。

水族館の活動って、水族館だけじゃ終わらない。
考えてみれば当たり前なのだけれど、ああ本当にそうだよなあ、と感じました。

鹿児島の人、ちょっと誇って良いかもしれませんよ。
この水族館。

写真は……ただのイワシです。