牛コラム

肥育牛と美味しい牛肉のはなし

子牛生産者は今頑張り時

2008-07-30 23:58:58 | 素牛


子牛のセリ価格が下がって来つつある。
それでも市場平均は40万円前後である。
様々な生産費を差し引いても、まだマイナスにはならない相場である。
これまでが、高騰し過ぎた。
平均60万円という市場もあった。
子牛生産者には、笑いが止まらなかったはずである。
その一方で、現在肥育が仕上がり出荷中の牛は、55万~60万円の素牛価格であり、枝肉価格が105万円しないと赤字である。
枝肉重量500kgで単価が2,100円でないと元を取れない。
厳しい状況である。

肥育関係者は、素牛価格が願わくば今のままで推移して貰いたいと思っているはずである。
エネルギーや飼料穀物等の高騰は、当分上げ止まりは無い模様である。

子牛生産者に今考えて貰いたいことは、ここで生産意欲を高揚して頂きたい。
子牛が安価であれば、繁殖雌牛の更新や増頭には、ラッキーチャンスなのである。
前述したことがあるが、子牛価格が高騰時に、新規就農で和牛繁殖を選択したという若者がいた。
単純に30頭を導入すれば、現在なら約500万円が軽減されることになる。
現在多頭化を実現している生産者たちは、この様な相場の低迷期を上手く利用して実現したと聞く。

我が国の牛肉産業の担い手である繁殖経営者が増加することを切望するものである。


切磋琢磨

2008-07-30 00:38:49 | 雑感


奄美牛ブランド化を話題にしたが、そのエリアは、奄美本島、喜界島、徳之島、沖永良部、与論の各島からなり、年間約14,000頭の和牛子牛が生産されているそうである。
これらの島々は、互いに切磋琢磨し和牛の改良や増頭に凌ぎを削ってきたという。
彼らが常に意識しているのは、子牛市場での平均セリ価格でトップになることのようである。
06年10月のことであるが、徳之島で200頭近い繁殖雌牛を飼育している農家を尋ねたことがある。
その時、各島の話題となったが、畜主は「やっと与論や沖永良部に勝つことが出来たんですよ!」とさも念願が叶ったとばかりの喜びようであったことを記憶している。
何で勝ったかというと、その年の9月セリの平均セリ価格のことであった。
これらの島では、交配用種雄牛の供用の仕方に、多少の違いがある。
また、雌牛群の系統も、鹿児島産だけでなく、島毎に宮崎産の系統の割合が高い場合があったりである。
これらの取り組みをして切磋琢磨という状況が垣間見られる。

牛肉のブランド化は全国で約100箇所商標化されているという。
子牛については、前述したが、但馬牛ブランド以外は、奄美牛ブランドくらいであろうか。
全国各地の主な和牛産地には、全国和牛登録協会が認定した和牛改良組合が479箇所有り、系統保存や改良に様々な活動が実施されているようである。
この改良組合の存在と個々の独自の活動が、子牛のブランド化を必要としていないのかも知れない。
地域特有の系統保存などの規定と品質の保証などが守られるのであれば、ブランド化することにより、交配精液の選定、出荷月齢と出荷体重、子牛育成技術の統一性などが遵守されて、生産子牛への品質と信頼性が保たれて、生産者も目標とされる指針に沿って子牛生産のために邁進できるはずである。
それらの目標なしでは、漠然とした子牛生産に留まり、挙げ句の果て減少傾向となるは必至である。
自らのブランドなら、それを死守するため、さらに切磋琢磨するは我々人類の常套手段である。