牛コラム

肥育牛と美味しい牛肉のはなし

オレイン酸値の美味しさとは

2019-05-21 17:43:51 | 和牛産業
次回の和牛全共では、旨味成分の一つオレイン酸濃度を競う新たな区が実現するらしい。
新設の目的は承知していないが、オレイン酸値が高ければ、牛肉は本当に美味しいのだろうか。
脂肪交雑つまりBMSナンバーが高ければ、味に不満は無い。
筆者はオレイン酸値が高・中・低濃度の和牛肉の試食会に2度参加したが、これらの差をしっかり見分けることは出来なかった。
第一、オレイン酸が高ければどのような味を味わえるのかが理解できていない。
BMSナンバー3~5程度での味比べなら、多少の比較は可能だろうと判断している。
しかしながらBMSナンバー9以上では、霜降り肉の美味しさが強烈で、オレイン酸の美味しさの効果は感知出来ない。
霜降り肉の美味しさと言われている多汁性や柔らかさや甘味などは、その濃度の濃さによるが、含まれる不飽和脂肪酸に起因している。
オレイン酸もこの不飽和脂肪酸の一つであり、オレイン酸値が高ければ、旨味が増す理屈に繋がるが、同脂肪酸には他にも旨味成分など様々な脂肪酸から構成されており、オレイン酸が増加することでのバランスの変化が美味しさにどのような影響が生じるかも未定である。
また、オレイン酸を高くする要因も遺伝子、飼料、肥育期間などの影響やこれらが複雑に関わった結果なのかは、まだ手探りの状態である。
前回の報告は興味深い肥育結果ではあるが、未だデータ不足であり、信頼性を得られる結果では無く、大凡の傾向に過ぎない。

オレイン酸

2019-05-14 20:04:39 | 和牛産業
 前回オレイン酸について記述してから、1年4ヶ月が経ちました。
その間、オレイン酸値の測定頭数も倍を超し、オレイン酸値が高くなる要因が見え隠れし始めました。
筆者が関係する施設での考察であります。
①雌雄では去勢牛の平均は56.0、雌牛は57.5で比較的雌牛の数値が高い。
②肥育期間とオレイン酸値は、雌雄を合わせて、肥育に問題があり肥育期間が20ヶ月未満の平均は55.0、22-23ヶ月で56.8、23ヶ月以上で59.3と肥育期間が長期になるほど高い数値となる。
③枝肉重量とオレイン酸値の関係は、枝重による差は認められなかった。
④BMSナンバーとオレイン酸値ではBMSナンバー3から9まではの平均値は、ほぼ同様で56~57であり、BMSナンバー10は55.7、11は55.1、12では51.9とかなりの差があった。

前回記述した予測的な内容は、同様の傾向となっている。
上記の条件以外にも、給与飼料、遺伝子などが関わっていると予測できる。