牛コラム

肥育牛と美味しい牛肉のはなし

おめでとうございます

2009-12-31 23:24:32 | 予防治療



皆様新年明けましておめでとうございます。
皆様には、素晴らしい迎春のことと存じます。
皆様にとって、今年が幸運の一年でありますよう祈念致します。
昨年は格別お世話になり有難うございました。
今年もよろしくお願い致します。

2010.1.1


kuroiusiです。
牛も牛飼いも今年こそはとがんばりましょう。

丑年に期待したけれど

2009-12-27 17:51:53 | 予防治療



いよいよ丑年の年の瀬、今年は丑年にあやかり期待していた和牛関係者や経営者は少なからずおられたことであろう。
しかし、この一年は、丑年であって牛年では無かった。
特に肥育関係者にとっては、かなり厳しい結果であった。
多くの関係者には、この厳しさの要因が何であったかを検証してその対策をしっかりと立てて、しかるべき新年に向かって対処したいと心積もりされていることであろう。
筆者も同様であり、それらの主な要因を列挙すれば、①自らの肥育成績が今一であった。②高価な素牛が影響した。③枝肉相場が下落した。④飼料や燃料の高騰が影響したなどであった。
大方は②と③と④の影響が大きかったと聞くが、筆者はその全ては①の結果次第であったと自己分析している。
肥育成績がそこそこであったというのでは、従来からの現状維持であって、改善ではない。
現状維持が経営的に如何に脆いかを今年の例から大方が学習されたはずである。
往々にして、外的要因が経営を圧迫していると判断しがちであるが、そのことの改善は行政や市場に委ねるしかないのが現状である。
シビアに分析するならば、自らの肥育技術や経営の方針に非はないかが、大きな要因となっているのは動かしようのない現実であり、それを認めずして経営の改善はあり得ないはずである。
今、筆者もそれを自戒し、新情報の収集と基本的な飼育技術の確立に、改めて取り組もうとしている。

さて、今年1年、皆様には大変お世話になりました。心より厚く御礼申し上げます。来るべき新年もよろしくお願い致します。
皆様には、より佳き新年をお迎えください。




肥育成績

2009-12-24 18:24:03 | 枝肉



過日、タイトル「腰に水」に貼り付けた写真である。
コメンターより、まだまだ仕上がってはいないと指摘して頂いたが、その成績が知りたいというコメントを頂戴したが、このほど当牛を出荷した。
コメンターから指摘されたとおり、今一の成績であった。
当牛は、血統が茂勝栄×安茂勝×福栄で生後月齢29.6ヵ月令であったが、と前体重792kg、枝肉重量525.6kg、枝肉単価2,600円、枝肉販売価格1,340,095円であった。
格付け結果は、A5であったが、BMS no.10、ロース芯面積63Cm2、背厚9.0Cm、皮下脂肪3.3Cm、歩留まり基準値74%、BCS no.3であった。
この牛は、導入価格市場平均セリ価格では、「中ノ下」に当たる481,000であったことから、差益は50万円には届かなかったが、まずまずの結果であった。
「腰に水」状態と肉質との関係は、この1頭如きでは、確かとは言い難いが、予測結果は強ち無関係ではなさそうである。
血統にもよるが、じっくり堅肥りのタイプは、その期待感が高い気がしている。

転ばぬ先の杖

2009-12-22 17:22:18 | 牛の病気
                 転ばぬ先の杖


時代の進化とともに、次から次と新種のウイルスが動植物の世界を脅かす。
人類は賢いもので、それらの猛威にその都度対応して、大事に至らないよう対策を取ってきている。
これらには、ワクチンによる予防であったり、それらの病原を遠避けることで、難を逃れている。
余談であるが、人間では、生時から学童になるまでにBCG、三種混合(ジフテリア・破傷風・百日咳)を述べ4回、ポリオを2回、ヒブを述べ3~4回、二種混合(はしか・風しん)、おたふく風邪、水ぼうそう、新型インフルエンザを2回、季節性インフルエンザを2回、日本脳炎を3回など数え上げればキリがないが、義務教育を受けるようになっても、インフルエンザなどは毎年打たねばならない。
大人になっても、同様であるが、海外旅行の際にも渡航先によっては風土病などの予防注射を打たねばならない。
最近の話題では、女性の子宮頚官ガンへの予防ワクチンが実用化されるそうである。

一方、子牛でも、五種混合やヘモフィルスワクチンなどの接種を必要とするが、その種類は人ほどではない。
子牛市場への出荷までに、これらを確実に接種することで、その後の導入以降にこれらに係る疾病や病死などは起こらない。
ところが、頭数が増加すれば、中には、問題牛も発生することはままある。
今夏は、RSウイルスによる発症がもとで2頭の子牛が急死した。
これらは6月摂取で8月と9月に事故は起きた。
RSウイルスワクチンは、五種混合の一種であり、確実な接種が行われることで発症は起こりにくいとメーカーや獣医師の話であった。
この事故以来、導入時には、2回目のヘモフイルスに加えて、RSウイルスワクチンを接種することとした。
肺炎等の予防に抗生剤を投与することと、パコマを薄めて、鼻孔内に噴霧して呼吸器官の消毒を行っている。
40~50年前には考えられない取り組みである。


肥育牛の性別

2009-12-21 21:31:17 | 牛の改良






最近の傾向であろうか、雌牛らしくない雌牛が目立つような気がしている。
増体能力が向上したため、写真のように口が大きく、瞼が重く牡相を呈している雌牛が多く見られる。
審査標準の品位に富んだ牛からは些か乖離し、粗野な感じのする牛たちである。
口が大きく、瞼が重く、角も太く、見るからに去勢牛様である。
この様な雌牛は、去勢牛同様に800kg程度まで増体するが、只の枝肉量確保の感は否めない。

また逆に去勢牛であっても、写真下のように雌牛同然の牛もいる。
去勢牛の場合は、若齢での去勢によって、雌化が進むことは知られているところであるが、雌も去勢牛もそれなりの特徴のある牛の方が経済効果はあるはずである。



冬囲い

2009-12-19 08:52:59 | 牛の管理



いよいよ冬将軍の到来で今朝の気温は氷点下5℃で急冷下の冷蔵庫並となった。
畜舎は冬囲いで、舎内は寒風がダイレクトに吹き付けることもなく、カーテン越しの採光も意外なほど明るくて、牛たちも穏やかな表情の中で採食している。
古い畜舎では、ウォーターカップが凍てつき、昼前頃に通水しているが、写真にある新しい畜舎では、冬囲い重視に設計したことで収容した牛らの体温効果から、それらが凍てつくこともない。
今回の寒波は九州や日本海地方に積雪が見られたが、当方は高地にありそれを予測していたが、晴天日が持続されたため、積雪には見舞われなかった。
温暖化傾向にあるなかで、今冬のさらなる寒気の到来が旨く逸れてくれることを願っている次第である。









牛の背で遊ぶ

2009-12-16 19:53:00 | 予防治療




畜舎が山中にあり、周囲には樫やクヌギなどの大木が生息しているために、烏たちにとっては、避難場所であったり、寝床であったり、休息場所として格好な環境となっている。
そのために、畜舎の餌をターゲットに飛来する。
そのついでに、牛たちに悪さをする。
写真は、牛の背中で、カラスが被毛を抜いて遊んだ後の様子である。
この様に毛を抜いてくれることが、牛には心地よいようである。
その様なことで遊ばせているうちはよいが、その内に、露出した牛肌をつつき始める。
それも、決まったように出荷前の牛の背腰上であって、酷い時には、直径7~8cmの穴を開けてしまう。
その結果ロースにアタリである。
様々な対策を取っているが、結果は今一で、烏とのいたちごっこである。
宮崎市場で、ゴムひもで吊り下げ、カラーの丸い輪が縦に繋がり、くるくる回ることで烏を威嚇する小具を買ってきて畜舎に吊り下げた。
3日めになるが、今のところ敬遠して寄りついていないが、いつまで続くかタカをくくっているところである。

鼻環を診れば産地が判る

2009-12-16 00:08:41 | 素牛



いよいよ冬将軍の到来である。
通常は開けっぴろげの畜舎は、冬将軍の到来に備えて、カーテンを閉めたり、シャッターを閉めたり、古い畜舎では、窓を閉めたり、コンパネで囲ったり、恒例のこととは言え、一気の作業に迫られた。

ところで、子牛が装着してくる鼻環であるが、今回は半数ぐらいは未装着のままであったが、宮崎中央から来る子牛の鼻環は、写真のような真鍮製が多い。
通常は木製であったり、ブラスチック製が大部分である。
それだけに、金属となると、些か違和感がある。
金属特有の硬さや重量感と冷ややかさを感じてしまうからである。
鼻環の固定は左右2本の先端をナット留めしてあり、中にはかなり緩んでいるものもある。
牛にしてみれば、四六時中装着していることから、余り冷たいなどとは感じていないだろうが、当地は、氷点下10℃以下になることは珍しくないが、その様な時には、何が何でも冷たさを感じるのではないかと案じているところである。
今春から、宮崎県産は今回で5回目であり、二つの南西諸島からは、年6回の導入もあるが、これらはあちこちのマスに分散している。
これらは、それぞれに鼻環の特徴が異なっていて鼻環を見るだけで産地がわかる。


長距離輸送で牛も疲れる

2009-12-14 19:16:28 | 予防治療



宮崎中央市場から素牛1車が到着した。
いつものことであるが、およそ半日かけてのトラック輸送であるため、荷台は牛の糞尿のために汚泥状態となる。
そのため、10桁用耳標やセリ終了直後に装着した管理用耳標と体躯全体には、その汚れを写真のように付けてやってくる。
条件が悪化した荷台では、疲れのために仕方なく横になることから、この様に汚れるものと思われる。
導入牛用のマスには、真新しい大鋸屑が敷き詰められているため、10日も経てば、付いた汚れはかなり取れて、見易くなる。
汚れがなかなか取れにくいのが耳標である。
そのために、耳標番号を確認するのが一苦労で、左右の10桁番号や管理番号のどれかを確認している。
積み込み頭数が少なければ差ほどのことはないが、頭数が25頭をこし、しかも長距離輸送となれば、何処の肥育センター等でも同様の経験をされているはずである。

今回の宮崎中央の子牛相場は、平均4万円からの高値であった。
近東北連合共進会肉牛共進会出品牛の60%以上を宮崎県産が占めていることから予測できるが、全国からの購買者で賑わったようである。
今回は特に、今年最後のセリ市であったことと、何処の肥育センターも、年末の出荷頭数増で、畜舎が開いていることから、購買意欲が高まったものと思われる。

新聞報道は慎重に

2009-12-13 12:53:44 | 予防治療
                 困ったことだー



過日の朝日新聞の社会面の最上段にかなり大きな活字で「牛ふん堆肥で生育障害」と読者にはドキッとするような記事が掲載された。
情報源は畜産装置研とある。
牛ふん堆肥で同障害になる仕組みが詳細図入りである。
日本では認可されていない除草剤を使った牧草を摂取した牛ふん堆肥を使用したトマトや菊が同障害を起こしているというものである。
その原因は、牧草に含まれている植物ホルモン系除草剤のクロピラリドであることが草地研の実験等で明らかになったという。
クロピラリドは、人などほ乳類には、無害で欧米等では使用されているが、体内残留が長いとして日本では認可されていないという。
このクロピラリドの被害は06年に5県で9件報告され、以降は確認されていないそうである。
最近の除草剤は、選択制があり、特定の雑草のみに効果がある。
これは、植物ホルモンを制御することでの除草効果であろうことが予想される。

堆肥を生産している施設に於いては、この様な情報は貴重であり、今後の堆肥調整を実施し、販売する中で大いに参考となる。
情報化時代をつくづく実感しているが、軽トラックで堆肥を買いに来た農家の談「あんたんとこの堆肥大丈夫かい?」である。
この様に問いかけてくれる例は、何ら問題ではないが、恐れるのは情報だけで牛ふん堆肥はやばいと感じて貰えることである。
当方では、北米産ではないが、輸入乾草を肥育前期用として利用していて、堆肥生産を行っている。
また当方では、施設園芸農家(野菜や花卉類)による利用頻度が高いこともあり、些か気掛かりである。

情報を正確に流すことには、全く異論はないが、それだけに中途半端な情報は、係る現場では、即刻あらゆる影響を受け易い。
発表を前提として、①今回のケースでも06年以降係る被害が出ていないのは何故かを解明した結果や、②「北米などからの輸入牧草からも」とあるが、その「などからも」の特定された国や地域の詳細や、③乾草の種類は何か、④現在でもその除草剤は使用されているのかいるのかなどについて、全てクリアしてから新聞発表して貰わないと、産業によっては余計な被害を被ることは否定できない。

同発表に当たり、全く無関係の施設等や読者に与える影響などは考慮して貰えたのであろうか。
朝日新聞の本多記者および草地研の関係者には、是非上記4点の内容について詳細なコメントをお願いしたい。