牛コラム

肥育牛と美味しい牛肉のはなし

雪日より

2011-12-27 18:02:12 | 畜舎

ここ数年、クリスマス寒波の到来が、恒例化し今年も10数cmの積雪を見た。
12月に入っても暖冬気味であったので遅まきに恒例の冬囲いなどを済ませたところへの降雪だった。
運動場付きの群飼い畜舎では、寒風の中でも、日差しを求めて舎外に出てくる。
牛らは寒さに耐え慣れることと、日光浴することで、強健な体力を作り、風邪をひくこともなく元気である。
群飼いは、導入後の飼い慣らし期間だけであるが、運動場付きの畜舎で飼う方が、仕上げ期になれば、食欲が減退することもなく、肥育成績が良好であるために、運動場付き畜舎を2箇所残している。
この方法は腹作りのための買い直しだけでなく、体力作りのための買い直しでもある。
運動場付きでない育成舎では、周囲をカーテンやコンパネなどで寒風を遮ってやらなければ、決まったように白い鼻水を垂らし風邪症状となり、肺炎を誘発する。
中途半端は何事でもまずい結果をもたらす。

満足なのか一列横隊

2010-10-25 18:52:18 | 畜舎


猛暑から解放され、秋の日差しを受け始めると、屋外に運動場付きの育成牛群らは、写真のように一列横隊によく並んでいるのを見かける。
よく観察していると並ぶのにも序列があるらしく、どうやら一番手前がボスのようである。
何故一列横隊なのかは定かではないが、秋の牛バエは鋭く刺すために、それを避けるために寄り添っているような気がする。
或いは、野生を先祖にもつ牛らであるが、一列横隊になることが、外敵から群を守るための彼らの習性なのかもしれない。
採食後、後方にある水槽で飲水し終えると、次々と一列横隊の頭数が増した。
暫し、満腹状態になったお腹の状態を整えているのかもしれない。
これが終われば屋内に戻り一斉に反芻が始まる。
ただ単に、突っ立った牛らに意味もなく、ついつられるがままに立ち並んでいるのかもしれない。
いずれにしてものんびりして満足そうである。
どの予想が正解かは定かではないが、屋内の狭い飼育房で飼われている牛たちには見られない光景である。


合掌造りの畜舎

2010-07-26 22:01:56 | 畜舎





当センターに設置されている肥育舎の一つに合掌造りの牛舎がある。
広さは35×25mであるが、この畜舎は、廃校となった小学校の講堂を移転した建物と聞いている。
粗飼料などを貯蔵する目的で、H鋼で補強して中二階にしてきたため、牛房の天井が低く、照度が暗く風通しが悪く、肥育成績も他の畜舎に比し今一であった。
そこで、天井板を全て撤去して、畜産用換気扇を設置した。
おそらく、この畜舎で飼われている牛たちには、別天地の心地であったに違いない。
それまで、牛らの観察もままならない有様であったが、明るさと通気性が著しく改善され、心なしか飼料摂取量が増えたように思っている。
驚いたことに、天井板が外された屋根裏の理化学的で華麗な骨組みが浮き彫りとなり、合掌造りの素晴らしさを日ごと楽しんでいる。
移転し再利用するだけの値打ちを見込んでのことであったろうことが伺われる。

牛房の縦柵はトラブルの因となる

2009-10-15 23:37:41 | 畜舎



角のある家畜は、写真のような縦柵の中で飼育するのは好ましくない。
写真の子牛らは、生後月齢が7ヵ月未満で角がまだ伸びていないから、このような牛房に入れている。
角が伸びれば、柵の間から頭部を出すが、柵から頭部を引き抜くことが出来なくなるケースが良くある。
中には、チンパンジーのアイのように、日常行動に知恵をこらす賢い牛がいて、角が伸びても、両角を左右に動かしながら旨く柵から抜け出す。しかし、大方の牛は、柵から頭部を抜こうとして、旨くいかなかった場合は、その瞬間から両角を柵に掛けたまま、ひたすら後すざりするのみで大パニックとなる。
こうなれば、牛は前や左右に機転を利かすこともなく、おまけに人を巻き込んでの大騒ぎとなる。
牛房の縦柵は、この様にパニックから事故を伴うケースもあるために好ましくない。
写真の子牛らは、幼く体格が小さいため、通常の育成房に入れても容易に脱柵するために、およそ2ヶ月間にわたり予備房としている状態である。
だから、肥育センターで写真のような情景を見かけることは稀である。