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牛コラム

肥育牛と美味しい牛肉のはなし

kuroiusiは定年を迎えました。

2020-11-09 12:10:13 | 雑感
kuroiusiは2008年3月から「牛コラム」を開設しました。この12年8ヶ月にわたり、驚くほど多くの皆様にお立ち寄り頂きました。
心から感謝申しあげます。
kuroiusiは、まだ若いと高をくくっておりましたが、年明けには傘寿を迎えます。
これを機会に、和牛業界の外から産業の推移を楽しく観戦することを決心しました。
好景気で推移した和牛産業は、外来感染症のあおりを諸に受けて、他産業同様に厳しい現実を
目の当たりに致しました。凡そ10ヶ月が経過しましたが、未だに収束の見通しは猛煙に包まれています。
この現状の中で、政府や自治体は生産者保護政策に努め様々に支援を行っております。これらの支援が
実現したことにより、子牛価格も枝肉価格もやや高騰の兆しが見えつつあります。
しかしながら、これらの施策は当面の切り抜け策に過ぎ無かったのですが、この施策が呼び水となり、
市場が活気づいてくれることを祈るばかりです。
内外の経済の動向は、感染症の終息が実現の暁には必ずや回復すると確信しております。
来たるべきその状況に供えて、産業界こぞって生産現場の技術向上や効率的な生産方式を共有して
供えて頂くことを切に希望する次第であります。
やがて和牛産業界が再び活況を呈することを予測して、「楽しく観戦」と申しあげました。
個々の皆様の経営が丑年を境に上向きますよう祈念します。

kuroiusi  高原牛徒(若松 繁)

年よりは危惧する

2012-04-12 01:12:52 | 雑感

TPPについて、日本農業を含め、我が国の畜産関係者の本音はどこにあるだろうか。
関税撤廃には魅力があるという関係者も現存していようが、この撤廃と同時に、係る関係国は自らの国益のために様々な輸入規制の緩和や輸出国の法改正にまで、協議の対象としているという。
身近な問題では、関税撤廃で輸入飼料が安価となれば低コスト化が実現するとか、海外へ高級牛肉の販路を拡大するなどと期待しているケースもあろう。
しかしながら、TPP問題はそのような目先の単純な事象だけを可とし賛成して良いものだろうか。
例えば、現状では和牛の精液や受精卵、生体子牛などは国内産業を守る生産者団体の申し合わせにより、和牛の遺伝子の国外流出を阻止する形が取られている。
しかしながら、TPPが現状のままで国際間合意となれば、アメリカなどは待ってましたとばかりに精液や子牛の買い付けに乗り込んでくることになる。
輸入飼料が安価になるどころではない。
大規模化農業国では、さらに安価な生産費で肥育され、現状の輸入牛肉の価格同然で外国産黒毛和牛の高級肉が店舗で幅をきかす事態は、想像ではなく現実の事態が明白に予測出来る。
その挙げ句、日本では和牛の生産経営が成り立たなくなることが予測される。
それに変わって数年後には、「安福久号」に負けない「King Fukuhisa yankee」が発進されくるかも知れない。
これらのことは、和牛界に限られたことではなく、酪農や養豚や養鶏に留まらず、日本農業全般にも同様に及ぶことになる。
農業者だけでなく、広くTPPの本質を理解した上で、日本の未来への舵取りを見定めていかねば、まさに国家存亡の危機を迎えることになる。
現在の政治や大手産業界は「がんばろう!日本」を唱えながら、日本古来の独自の産業や係る貴重な文化をも切り崩し、子供たちの夢や将来性をことごとく消滅させつつある。
日本政府は国策を謝り、為す術を無くした借金財政とその不況に戦き、すべからず金策の効率化優先で、食糧増産を蔑ろにするという施策一辺倒を踏襲し、聞く耳を持たない一本立て政策を突き進める積もりのようで、決定的な国策の誤りを加速しようとしている。
世界中は農耕地の減少傾向と人口増加により、日に日に食糧危機が迫っているという現実を控え、いつまでも食料輸入が継続されるはずがない。
戦後の日本人は、係る危機を予測できても、その本質を恐がり逸れてばかりである。
その結果が1,000兆円のツケとなった。
食糧問題では同様の人任せ的な温床が、後戻りの聞かない決定的な誤りを選択しつつある。

雪の初荷

2012-01-05 19:26:07 | 雑感

新たなる年を迎えたというのに、初手からこの年の動向が気がかりである。
様々な事象はさておき、一昨年から去年にかけての肉用牛業界は、世界的な経済不況に加え、伝染病や地震災害など深刻な影響を受けてきた。
それらの影響から、国民の消費動向が停滞する要因となった。
それらの傾向にだめ押し的な愚行とも思える焼肉チェーン店でのユッケによる食中毒で、内臓やもも肉への安全性を案じる風評被害を招く事態となった。
事態はそれだけに留まらず、年末を控えて食肉業界では消費好転を祈る思いで期待していた矢先、レバーに病原性大腸菌O157が検出されたとして生レバーの販売規制が話題になるなど、牛肉に対する風評被害を助長するに至った。
これらの情勢を引きずる形で新年を迎えたが、これらの消費環境の改善を期待するための諸条件が整う目処は皆無と言っても過言では無さそうである。
肥育分野では、子牛の生産頭数の微減が継続化し、素牛単価は40万円を越し、各種飼料の高値安定など肥育原価の高騰で肥育収支は厳しい状況が続いている。

生憎の積雪の中で、新年の初荷に8頭を積み込んだ。
牛体の清掃など牛にも人にも寒さを耐えて貰っての初荷となった。




テレビ番組

2011-12-10 00:17:38 | 雑感

テレビ朝日系列の番組、「夢の扉」にのざき牧場が出ると、放映の5分前に鹿児島から電話を受けて拝見した。
上下の写真は、その番組中に撮った画像である。
この光景は、平成18年7月に薩摩川内市が河口の川内川が集中豪雨で氾濫し、川沿いにあったのざき牧場が水没したときの動画の一コマである。
筆者は、それから1年後に同牧場を訪問し、その状況を詳細に聞いたことがあった。
そのとき、水没の様子は写真のみであったが、今回の放映により動画で拝見したが、すさまじい光景であった。
牛も人もまさしく命がけの様相であった。
数百頭の肥育牛が死亡したり、損傷を負い、数億円の損害が出たという。
野崎氏はそれらにめげることなく、訪問時は2,300頭が飼育されていたが、現在では4,000頭を超す大規模経営を実現されているという。
肥育成績を向上させるために、常に新たな情報を収集し、それらを即実践するという方針を持続し、現在では上物率90%を実現しているとの内容であった。
最近はのざき牛を海外進出させる試みも実施して好評を受けているようである。
常に、役に立つための技術習得など、様々なアイデアを精力的に駆使して経営に当たっておられることが、増頭を実現されている原動力なのであろうと判断している次第である。



円高差益は誰の手に

2011-10-21 18:50:15 | 雑感


あらゆる産業が好転する時は、国民感覚の経済状態も好転している時であろう。
しかしながら、外国に係る産業を依存している我が国などは、「アメリカが風邪を引けば、日本も咳をする」の語例の如く、海外の経済の浮沈が緊密なまでに影響を受ける。
現行ではアメリカが厳しい状況下にあるとして、円高傾向が定着の様相で、まさに我々は風邪どころか肺炎を罹患しそうな現状である。
これほどまでに70円台の対ドル円高が持続したことはまれなことであるが、この間輸入飼料がその円高に見合った値下げに至っていないのが現状である。
国内では地域的に、昨年発生した宮崎の口蹄疫や今春に発生した大震災の影響等による輸入飼料の国内移送や消費減少等が生じたが、7-9月はトン当たり凡そ1,500円の値上げ、10月からは僅か800円程度の値下げである。
7-9月の値上げは、配合飼料価格安定基金が暫くぶりに発動されたのを見越しての事であろうと、皮肉らざるを得ない。
いずれにしても、このところ大幅な円高が持続しているにもかかわらず、まさに重箱の角の部分で香辛料の加減をしている程度の値動きである。

視点を変えれば、以前円高に至った時も飼料の価格が下がらず、飼料メーカーとやりとりしたことがある。
その時メーカーは、「先物買いをしているために円高とは関係ない」との回答であったが、今回メーカーから届いた飼料価格の動向についての文言には、この夏の海外産地は猛暑であったなどとして生産量予想が大幅に下降修正されたとあった。
先物相場であれば、昨今の気象条件などが理由で価格修正されるは理屈に合わない。
またメーカーはJA全農の価格決定が業界の価格決定に深く関係しており、独自の値下げは出来ないのが現状のようである。
1ドル96円が現在76円台で推移し、約20%余の円高である。
年間2,500㌧を購入しているが、この差は20,000,000円を超す円高差額である。
このような状況下では、円高差益は誰の手にしまい込まれているのだろうか。
ことは飼料だけの問題ではないはずである。
国民の生命と財産を守ると豪語されている政治家の方々は、この状況を把握されていようか。是非一仕事して頂きたいものである。

すべからく、収入を増やし、生産経費を減らせば、かかる経営は安定する。
しかし、現状は社会的な経済不況やユッケ問題などのあおりを受けて、牛肉等の消費が減少し、枝肉価格が低迷し、なかなか収入増に繋がらない。
粗飼料や配合飼料は高値安定で、燃料や電気料金も値上げのニュースである。
畜産を取り巻く情勢は、一向に経営理念通りには進展しない状況であり、何時の日も奥歯を噛みしめてばかりである。

下等級でもペイするには

2011-09-17 11:09:30 | 雑感


和牛の肥育経営で一番のネックは枝肉格付けで2~3等級にランク付けられることである。
これらのランクでは、枝肉単価が1,000~1,400円となり、枝肉量が仮に460kgであれば1頭当たりの販売価格は46~64万円となる。
素牛価格が46万円であったら、飼料代やその他の管理費分が赤字となる計算である。
これでは、40数万円の欠損となり、経営破綻を来す数字とと言えよう。
5等級にランクされれば、何とか100万円となり、10万円そこそこの黒字となる。
素牛46万円で4等級では4~5万円の欠損を覚悟しなければならない。
このようなに相場が低迷している現状では、下等級ランクでは、欠損分を穴埋めするには至難の業となる。
ベテランの肥育家であれば、出荷牛の格付け結果が思惑通りになるような素牛選定や肥育管理を行っているに違いない。
しかしながら、大方の肥育家たちの現状は、出荷時の競り価格の結果に不安な面持ちで挑んでおられよう。
この現状を打開するには、5等級ばかりが利益を上げるのではなく、3等級未満であってもペイする肥育法を確立するしかない。
例えば64万の販売価格であるなら、肥育経費を40万円未満にコストダウンし、素牛は24万円以下を競り落とせばよいことになる。
今時に上場される子牛は、血統上劣悪なものなどいないはずであり、子牛の健康状態や食欲や発育性を重視し、枝肉量460kgが見込める子牛を見定め、しっかりと食い込ませれば、枝肉販売価格を64万円以上に乗せることは可能であろう。
4等級についても、4等級用の素牛を選定すればよいことになる。
問題は子牛の見利きの技術がなければ出来ない相談である。
技術があると思っても、55万円の素牛でも下等級となったり、35万円で5等級の上位にランクされる例を畜主であれば体験されているはずである。
同様に肥育管理しても、アンラッキーであったりラッキーの一語に尽きる結果が出るからには、素牛選定上、策を練る必要がある。
全頭50万円以上の素牛を導入して、5等級率50%であれば、素牛の選定に一定の能力が備わり、経営的には黒字化が安定するであろう。
どこの子牛市場でも10~20数万円クラスの子牛を競り落とす肥育購買者がいる。
このケースでは、疾病や死廃率が低ければ、黒字を計上しているはずである。
要するに、素牛選定時に出荷時の枝肉評価ランクを想定した導入と生産が実現すれば堅実な肥育経営が可能となろう。

精魂のブランド肉が

2011-08-04 19:35:53 | 雑感

和牛肉のブランド化は、全国の100を超す主産地で立ち上げられ、とくに前沢牛や米沢牛などは、マスコミにも旨く取り上げられて、あれよあれよのうちに著明なブランドとして知られるようになった。
その東北地方のブランド肉も、放射性セシウムの被害を受けて、多大なる影響を受けつつある。
生産者は、肥育技術を駆使し係るブランド肉として仕上げた段階で、強烈なカウンターパンチを受け、その対応に困窮し、ただ唖然としているという状況であろう。
個体の経済価値が高いだけに、その影響は優に億単位を超す損害を受ける生産者も少なからず存在されていよう。
被爆した牛肉は、その品質が良否に拘わらず、有無を唱えることもなしに廃棄処分される。
50万円前後の素牛代に加えて、多量の穀類などを摂取させ、およそ2年間を要して肥育管理を費やした結果である。
仕上がった牛肉は、我々国民の貴重な食料であり、文化でもある。
損害を受ければ、その分は国民一人一人に累を及ぼすことになる。
補償すれば済むという問題ではない。
原因者総意は、そのあたりの現場や国民の思いをどのように考慮しているであろうか。

時事雑感

2011-07-30 12:16:12 | 雑感


宮城県が繋養している茂洋という著明な種雄牛がいる。
各地の枝共で秀逸していることから子牛市場では茂洋ブームという話も伝え聞いている。
この産子を導入することを考えたほどである。
その宮城県産の肥育牛が福島県産に次いで出荷制限になるというニュースを新聞で知った。
このように原発事故がもとで、国民生活に多大な影響が次から次に明らかになるにつれて、震災復興は着々と進んでいるという菅総理の発言を度々聞くにつれて、東北の農畜産関係者はむなしささえ感じておられることであろう。
先の日本農業新聞の子牛市場の出荷頭数調査では、曽於中央家畜市場を始めて抜いて、日本一の子牛生産県となったのが宮城県の家畜市場であった。
今日に至るまで和牛の子牛生産に官民一体となって意欲的に取り組んできた宮城県の生産者に、今回の放射能汚染は計り知れない打撃を与えてしまったのである。
まさかのまさかである。
国の行く末を傲慢と高圧的に導いた国の指導者らが執った政策のツケが広島や長崎に原爆が投下され、多くの人命が奪われ、同時に原爆病で多くの被害者が苦しんできた。
今回の福島原発事故は、未知の世界に夢を抱いた政治家や学者の傲慢さがもたらした原発行政のツケであったことは否めない。
また宮崎県での口蹄疫の発生と拡大同様に、今回の放射性セシウム被害も、いずれも初動時の対応に問題があったが、今にして思えばそれぞれの危機管理のマニュアルが、存在さえしていなかったのであろう。
稲ワラの給与制限が徹底しなかったことからも、その不備が伺われる。
国や自治体は、口蹄疫や津波被害への貴重な教訓を、今後の係る伝染病対策や災害対策に、生かして貰うことが国民一人一人の偽らざる願いである。
こうした災害や伝染病発生時からその後の対応マニュアルは、常に国民へ周知されなければならないが、菅総理は、各省庁へそのマニュアルの制定について、通達を出しておられるであろうか。
政局目当てのマニュアルよりも災害時のマニュアルの方が、国民生活には重大事であることを重々ご認識されているであろうが、現状では、一抹どころかただならぬ不安を抱かざるを得ない。


わら対応通達は

2011-07-25 23:05:07 | 雑感


このところ、稲ワラ問題が脳裏にへばりついて離れない。
大震災後の政府や政府関係緒機関の危機管理対応能力の無さについては再々触れてきた。今回の稲わら問題もしかりである。
政府は係る通達を出したと言い、農家サイドからは見たことはないという。
通達が正確に伝達されていれば、放射能に汚染した牛肉が全国的に販売されるという前代未聞の事態は回避されたはずであり、ことの顛末の責めは政府の動かざる失態と言えよう。
これまでの様々な政府通達が、これ程不徹底したものであったかが伺い知れる事態ともなった。
通達が繋がらないなどは危機管理以前の問題である。
問題の通達方法であるが、最近はネット参照というのがある。
さも全ての国民がネットに精通していると見越した感覚である。
今回の事象であるが、年配者の多いの畜産農家の方々がネットにどれ程精通されているであろうか。
またそのネットを拝受した各自治体は、それを真剣に農家へ伝達したかが問われるべきであろう。
農相は徹底しなかったことを今後の参考にして徹底させたいと談話を出した。
実に軽々なる談話である。
通達が何故正確に伝わらなかったかを検証するのが先決であり、ことをうやむやにするから、今回の失態に繋がったことを猛省すべきである。
現在東北地方の肉牛農家は言うに及ばず全国的に牛肉消費低迷などの影響から経営破綻に怯えながらの昨今である。
また今回の問題は生産者だけではなく、消費者サイドにも広範囲に疑心暗鬼などの影響を受けていると聞く。
東北のある知事は、本日の談話で通達がなかったと明言している。

畜産振興機構

2011-05-25 21:21:13 | 雑感


民主党政権になって、様々な政策の改革(?)が行われている。
肥育生産者が、経営難時に備えて積み立てているマルキン事業も、新規に組織化された(独)農畜産業振興機構による直接加入制度が始まり、その説明会が実施された。
地域畜産振興協会が主催し、東京にある同機構本部職員からの説明があるとの連絡を受けて参加した。
驚いたことに、同機構職員は当然男性であろうと思いこんでいたところ、主客席には、若くて美貌の二人の女性が着席して我々を迎えてくれたのである。

基本的には、これまでのマルキン事業の主旨にそうものであるが、同機構に生産者が直接加入するには、従来地域畜産振興協会を窓口として加入している同事業は解約して、新規契約をしなければならない。
その場合は従来加入で、出荷以前で発動以前のものについては、積立金はパーとなってしまう。
そのような、無駄をなくするわけにはいかないために、平成24年までは従来どおり継続が可能であるという。
しかしながら、平成25年度とそれ以降の取り組みについては、未決であるとのことであった。
個々に微細な改善点はあるが、主なものに、生産者が複数の異なる道府県に肥育場を有している場合、これまでは立地する県ごとにマルキン事業を加入せざるを得なかったが、同機構へ直接加入することで、道府県の枠が外れることになる。
しかし、生産者の加入目的は同一であるにも拘わらず、マルキン事業の窓口が2本立てとなり、生産者には複雑な制度となった形である。
政権が変われば、再び同制度が変わるのだろうか。