牛コラム

肥育牛と美味しい牛肉のはなし

子牛ブランドを作ろう

2008-07-28 17:53:28 | 素牛

先日、神戸ビーフブランドのことを記述した。
このブランドは、兵庫県の但馬牛を死守するという伝統が生かされ、生産地でも但馬牛ブランドの子牛が子牛市場に出ているくらいである。
ブランドに、県や関係者の改良目標の確固たる指針が生かされている。
神戸ブランドを支えているのは、兵庫県内の肥育関係者が取り組む肥育技術の確立があってブランド化は推進されている。

一方、平茂勝号が肉量肉質兼備の種雄牛であると華々しく登場したことで、全国的に同様の種雄牛を導入しなければと言う機運があり、今や何処の産地でもその様になった。
功を奏したところと、これからマイナスの影響を受ける地域もあるかも知れない。

ある府県では、7~8年前まで、その大部分は但馬系の繁殖雌牛であった。
ところが現在では、飼養頭数が激減し、その半数は九州系の雌牛に変わりつつある。
従来のその地域特有の特徴を持った牛群は壊滅してしまった。
係る行政では、交配用の種雄牛を繋養し精液を提供しているが、交配する毎に肥育素牛としての能力は、改善されるどころか次第に低下の傾向にあり、それが故に、飼養頭数が減少している一面がある。
農家に増頭など畜産振興を促しながら、その実態は、地域の産業の実態把握が成されないまま、農家まかせの取り組みの結果、生産農家に対してマイナス効果をもたらしている。
この背景に、購買者に但馬牛の肥育技術が浸透されず、子牛の肥育結果だけから、子牛が不人気となり、農家は、目先の平茂勝効果を期待して九州産へと触手しだした。
今や、ブランドどころではない。
複雑な血統の混在となった現状で、これからどのような振興対策を取るのであろうか。
今後の策としては、九州各県の取り組みを取り入れざるを得ない状況であるが、その地盤の狭さが、気がかりでならない。
このことは、兵庫県のように、確たる指針がなかったと言う他無いのである。

ことは、子牛生産各県が抱える問題であって、対岸の火事ではない。
行政やJA関係者、改良団体等が直面する課題である。
生産に汗水流している生産者諸氏は、自らの経営に直面している問題である。
行政などに全てをまかせることなく、自ら肥育サイドの統計や現状を正確に把握することが肝要である。

全国和牛登録協会が発行する「和牛」誌245号に「奄美牛ブランド化」が紹介されており、興味深く拝聴した。