
肥育素牛をセリ落とし、子牛登記を確認すると、血統に不足はないはずなのに母牛の育種価が見事?にCCCCCCでガックリすることがある。
子牛市場によっては上場時の体重が総じて小さく200~240kgのレベルの子牛が出てくる。
そのような小さな子牛でも現相場は80~90万円台で、Kg単価は3,500円以上となる。
大市場では300~350kgの子牛でも平均的には80~100万円で競り落とされ、kg単価は2,800円程度である。
肥育して出荷する時点では、素牛価格が50~60万円の時なら小さな子牛でも採算は合っていたが、今ここに至り前述のようなセリ価格となれば、250kg以下の素牛では、採算割れはほぼ確実となる。
赤字になる子牛については、余程の理由がなければボタンは押せない。
なぜ赤字だろうか。
多少の個体差はあろうが、素牛の増体能力(DG)は、肥育期間を通して小さい牛では0.6~0.65kg程度であり、大きい子牛は0.7~0.8kg程度になる。
大まかな数字であるが、肥育期間が21か月間であれば、小さい牛は増体量は400kg前後で終了時体重は620kgで出荷目減りして枝肉量は約420kg、単価2,500円なら内臓等を含めた仕切り額は115万円にしかならない。素牛代85万円、肥育経費45万円で130万円となり、販売価格には及ばない。
枝肉単価3,000円で採算が合う計算になる。
大きな子牛なら枝肉量525kg、単価2,500円で145万となり、1頭5万円の差益は確保でき、単価を上げればその倍にも3倍にもなるはずである。
さて、文頭のCCCCCCの話であるが、~血統に不足はないのに~の原因は、予想に過ぎないが、上場時の小さな体重が大きくかかわっている。
前述のようにDGが低く、仕上げ体重が小さいために総じて、枝肉の格付結果では、枝重、ロース芯面積、ばら厚、皮下脂肪厚、歩留基準値、そしてこれらのマイナスの相乗効果が脂肪交雑に表れてオールCになる可能性が高いのではと判断している。
そのために両親の潜在能力が肥育の結果では発揮されないまま、母牛の育種価に反映される。
子牛の体重が小さい結果は、その母牛の育種価にマイナス要因となっているのである。
つまり、子牛生産者、市場関係者の方々には、これらの問題をご認識していただくことが、肝要かと危惧している。