牛コラム

肥育牛と美味しい牛肉のはなし

雪日より

2011-12-27 18:02:12 | 畜舎

ここ数年、クリスマス寒波の到来が、恒例化し今年も10数cmの積雪を見た。
12月に入っても暖冬気味であったので遅まきに恒例の冬囲いなどを済ませたところへの降雪だった。
運動場付きの群飼い畜舎では、寒風の中でも、日差しを求めて舎外に出てくる。
牛らは寒さに耐え慣れることと、日光浴することで、強健な体力を作り、風邪をひくこともなく元気である。
群飼いは、導入後の飼い慣らし期間だけであるが、運動場付きの畜舎で飼う方が、仕上げ期になれば、食欲が減退することもなく、肥育成績が良好であるために、運動場付き畜舎を2箇所残している。
この方法は腹作りのための買い直しだけでなく、体力作りのための買い直しでもある。
運動場付きでない育成舎では、周囲をカーテンやコンパネなどで寒風を遮ってやらなければ、決まったように白い鼻水を垂らし風邪症状となり、肺炎を誘発する。
中途半端は何事でもまずい結果をもたらす。

11月の子牛市場

2011-12-17 01:06:12 | 素牛

農業新聞掲載、11月の全国和牛子牛市況によると、栃木県を含めた東北地方で生産された子牛相場が次第に好転の兆しのようである。
雌子牛の平均36,8万円、去勢牛44.2万円、雌雄平均40.9万円で前回比9%上昇し、中でも、宮城県12.4%、栃木矢板12%と全国でも最大の上昇を見せた。
一方平均価格が下落したのは、北海道と宮崎県を除く九州各県であった。
最も平均価格が高かったのが、岐阜県47.6万円で、去勢牛が50万円を越した。
これまで平均価格トップで、雌子牛の価格が去勢子牛を上回っていた薩摩中央では、雌雄の子牛価格に差が無くなり、岐阜県・宮崎中央にトップを譲る結果となっている。
全共ムードの最中、日本一奪還をねらっている鹿児島県としては上げ潮が期待される折り、些か気掛かりな状況である。
それにしても、最近の市況でも宮崎県小林市場では、去勢牛の平均が50万円を越し、最近の宮崎牛の人気を反映している。
全国的にばらつきは見られるものの徐々に平均化しており、相場は上げ気味の市況となっている。
12月は、肥育牛の出荷頭数が増加するため、肥育舎を満たす目的から、12月1月の市況が注目されるところである。


テレビ番組

2011-12-10 00:17:38 | 雑感

テレビ朝日系列の番組、「夢の扉」にのざき牧場が出ると、放映の5分前に鹿児島から電話を受けて拝見した。
上下の写真は、その番組中に撮った画像である。
この光景は、平成18年7月に薩摩川内市が河口の川内川が集中豪雨で氾濫し、川沿いにあったのざき牧場が水没したときの動画の一コマである。
筆者は、それから1年後に同牧場を訪問し、その状況を詳細に聞いたことがあった。
そのとき、水没の様子は写真のみであったが、今回の放映により動画で拝見したが、すさまじい光景であった。
牛も人もまさしく命がけの様相であった。
数百頭の肥育牛が死亡したり、損傷を負い、数億円の損害が出たという。
野崎氏はそれらにめげることなく、訪問時は2,300頭が飼育されていたが、現在では4,000頭を超す大規模経営を実現されているという。
肥育成績を向上させるために、常に新たな情報を収集し、それらを即実践するという方針を持続し、現在では上物率90%を実現しているとの内容であった。
最近はのざき牛を海外進出させる試みも実施して好評を受けているようである。
常に、役に立つための技術習得など、様々なアイデアを精力的に駆使して経営に当たっておられることが、増頭を実現されている原動力なのであろうと判断している次第である。



祉間過形成罹患牛のその後

2011-12-06 21:28:24 | 牛の病気


今年8月上旬に「祉間過形成」に罹患し、右後肢の外蹄を切断した去勢牛のことを貼り付けた。
あれから4ヶ月が経過した現在では、後肢は内蹄だけに慣れ、その後問題になることもなく、食欲も順調に経過して、写真の通り肉付きも順調である。
当時の体重は400kgに満たない程度であったが、今では500kgを優に越している。
獣医師の適切な処置が功を奏したと感謝の至りである。
表題について、経過報告とした。






近況から

2011-12-04 10:31:40 | 肥育

年末商戦に入ったというのに、枝肉単価が低迷している。
黒毛和種去勢牛A5クラスでも2,000円割れである。
牛肉消費が依然低迷しているためである。
畜産現場では、超円高が継続中であるにも拘わらず、それに見合う飼料費の値下げは見られない。
オーストラリア産粗飼料は、品薄のための取り合いだとかで、逆に値上げである。
この状況ではなかなか低コストどころではなく、肥育生産者には厳しい状況が続いている。
先日開催された近畿東海北陸連合枝肉共進会の審査委員長の好評で、去勢牛の部では、「上物率が89%を越し、肉量肉質ともに最近にない好成績であった」と言うものであった。
共進会ならではの好成績であり、競り価格も1万円を越すなど大盛況ぶりであった。
しかし、通常の食肉市場での枝肉成績は、同共進会のような成績とはかなりの差があると聞いている。
成績が上がらず、枝肉単価が今一では、肥育経営者は厳しい状況下での越年となる様相である。
成績が上がらない原因の一つは、前述したかもしれないが、全国で生産される子牛の大部分に、その3代祖に兵庫産の血統が交配されているために、従来通りの肥育を継続しては、食い込み量や肥育期間などは若干の差が見られ、その影響から、仕上げ結果が従前通りの成果が得られなくなっている。
これらと同等の血統を持つ素牛であっても、肥育した結果、最優秀賞になるケースもある。
それは、その血統を吟味しその血統にあった肥育技術を会得し、実践している成果であろうと推測している。
そのような優れた技術を肥育業界全体が共有することが、今後の課題であろう。
一方、子牛市場では、今回の小林市場における去勢子牛の平均価格は50万円を越す高値であった。
全国からの購買者がボタンを押した結果であろうと推測している。
子牛生産市場でも、差別化が歴然としつつある。
質量兼備の優れた子牛生産を共有することでブランド化が実現することになる。
現状では、肥育成果が期待される素牛を購買者は所望しているようである。