牛コラム

肥育牛と美味しい牛肉のはなし

宮崎からの導入を再開

2011-11-17 18:27:00 | 素牛

口蹄疫が発生して以来、宮崎県産素牛の導入を控えてきたが、11月開催の子牛市場から導入を開始した。
1車、2車とまとめ買いする肥育関係の購買者には、三重、静岡、岐阜、関西地方からの顔もあり、また繁殖関係では地元に加えて、東北北海道からもあったようである。
そのために口蹄疫発生以前の相場に回復した。
目下平成21年秋に導入した宮崎産が仕上がり出荷の最中であるが、忠冨士や福之国が係わる産子は質量ともに安定した成績が得られているために、今回導入を再開した。
しかし、平均導入価格が高いことと、依然低迷中の牛肉消費の影響を考慮すると、なかなかペイし難いことを予想している。
そのために、疾病や事故に至らないような管理意識の徹底が欠かせない。
前回牛白血病について話題提供したところ、様々に参考となるご意見を頂いた。
この問題は、同ウイルスの抗体陽性率や発症率が右上がりに増加している現実を、行政関係者が問題視し、後手後手に至らないための対策が不可避である。
今回の素牛導入に当たっては、同症のキャリア牛は全国的に分布していることを考慮に入れ、今後係る検査でキャリアであることが判明した畜主からの導入を避ける程度として産地にこだわらないこととした。

写真にある真鍮の鼻環は宮崎牛のシンボルとして、銘板を見なくても産地がわかる。
しかし、金属製であることから違和感(可哀想)を払拭できないでいる。
写真下や前回の写真のままでも・・・・・。




牛白血病

2011-11-03 00:20:37 | 牛の病気


法事で鹿児島へ帰省中に携帯メールがなった。
「6頭出荷した2頭目が白血病で保留になった、枝廃棄になる可能性がある」というものであった。
白血病による保留は、初めてのことであり、結果的に全廃棄処分とされた。
宮崎県産で、生後月齢32ヶ月目でと殺前体重は850kgの増体能力の良好な去勢牛であった。
白血病については、ウイルス性疾患でアブなどの寄生虫や注射の回し打ち、除角や生時の親子感染などがあり、発病は極希であるとの認識であった。
このことを受け、獣医師に白血病の善後策について相談した。
罹患したら次第に、眼球が突出し、下痢を繰り返すようになるとともに精彩が無くなり、痩せ、体内的には、リンパや脾臓や心臓などが浮腫する。
食肉市場では、体内での白血病症状が明らかであれば、保留して確認検査の後、廃棄処分などが判断される。
キャリアであっても発症していなければ、市場では問題はない。
白血病への予防ワクチンや治療薬は開発されていなく、キャリアであることが判明したら隔離などが必要であるとのことであった。
キャリアから発病に至る経過については、何らかのストレスによるとあるが、その具体例は定かではないという。
ところが、以前は6~7才程度で発症していたが、獣医学会などの調査結果では、近年は1~2才でも発症し、キャリア数も発症数も年々かなりの増加傾向にあり、全国のと畜場では年間1,500頭程度の発症が確認されている。
また、白血病抗体陽性反応では、乳用牛で35%、和牛では12%(繁殖雌15%、肥育牛8%)とかなり高い割合を示している。
子牛市場に出荷される子牛も10%程度がキャリアと推定されている。
今回の出荷牛については、トラック積み込み時の様子は、他の牛同様の歩行状態で極正常であった。
それだけに、今後の発症等が気がかりである。
今年1頭目の死亡または廃棄処分であったが、該牛の素牛代、飼料代、その他の経費を含めれば約100万円余の出費がそのまま損出となった。
乳用牛サイドも和牛サイドも、とくに繁殖経営も肥育経営も、増えつつある白血病の具体的な対策が必要であると考えられる。