牛コラム

肥育牛と美味しい牛肉のはなし

再び除角の話

2008-07-22 23:16:10 | 牛の角


写真のように角に損傷を負うことがままある。
肥育する上では、角に損傷を負っても差ほどの影響はないが、損傷が起きない手だてを考慮することが、せめてもの牛たちへの思いやりであろう。
広い運動場付きの畜舎で導入牛を飼い慣らししている際、枕木で拵えた牧柵の僅かな取っ手で写真のように角のサヤが抜けてしまったらしい。
どうやら、牧柵を修理するのに、番線を巻き付けて固定した時に直径2cm位の環があって、その環の中に角が填り、サヤが抜けたと判断している。
鼻環を掛けるのも同様で、人がこれくらい大丈夫と判断しても、牛たちは、さも器用に引っかける。
この様なことが起きることは、畜主や管理する者が手の届かないところまで、気を回していないことになる。

話は、除角のことである。 
あるセンターの所長は、除角することで、体幅が出て、ロース芯が大きくなると断言されたが、筆者は半信半疑であった。
何故と考えた時、取って付けたような理屈しか思いつかなかったからだ。
除角することで、競合が無くなり、飼料摂取量が群単位では、平均化するため、それまで摂取量が平均以下であった牛が、摂取量を伸ばすため、それらの体幅が張るのは頷ける。
もう一つは、除角で強弱が無くなり競合も無く成ることから、牛全体が、恐怖感から解放され、そのことから、摂取量が伸びるという成果も否定は出来ない。

しかし、ある事例がある。
ある大学の牧場は、牛の除角のパイオニアであり、生後10日前後にガスを熱源にして除角している。
そして肥育して800kg程度で出荷しているが、背丈は高いが、体幅とロース芯は差ほど目立つ成績ではない。
一方、筆者らのは、全く除角無しで肥育しているが、大学のそれより、結構体幅があり、ロース芯も比較すれば大きい。
それは、歩留基準値の値から2.5%位の差がある。
筆者はあくまでも除角を、牛たちのために反対し続ける。