牛コラム

肥育牛と美味しい牛肉のはなし

給餌の機械化効果を目算する

2011-09-23 19:33:21 | 肥育

当センターでは給餌作業の機械化は、稲わらクラッシャーぐらいで、殆んど進んでいない。15棟ある各畜舎は古く、1棟当たりの平均飼育頭数が70頭程度であるため、機械化してもペイしないと判断してきた。
配合飼料等は全て手やりだが、その長所として牛の観察が行き届き疾病率は極めて低く、死廃率は1%未満であるが、手やり斑のために肥育成績にも斑が出やすい。
そこで目下、自動給餌器などの機械化を考慮中である。
同器を導入するには、その設置効果が具体的でなければならない。
機械化することで給与量が一定し複数回給餌する効果により、日量の摂取量が増加することから、増体効果が期待出来、その相乗効果から肉質の向上も実現することが予測出来る。
つまり枝肉量の増加と肉質の好転により枝肉の販売金額も増大する。
一方、同器の設置費用は単純計算では1頭当たり3~4万円の設置費用が掛かる。
大型センターなどでは、費用負担が大きいために、契約飼料メーカーなどに設置負担させているケースもあるようである。
改めて、機械化の目標として、枝肉量を5~10%増加させ、肉質の向上をはかり、その結果枝肉単価を5~10%上げることを最低の目算とした目標を立てた。
これが実現することで、従来の販売額より1頭当たり最低(5%増)でも7~8万円増加することになる。
摂取量が増加した分の飼料代約1.5万円を差し引いても5.5~6.5万円の設置効果が見込める計算となる。
設置可能な畜舎550頭で約2,000万円が必要であるが、設置後軌道に乗れば、少なくても400頭出荷することで、ペイする計算となる。
機械化の効果は、現実にはこの程度の設置効果ではなく、上物率が安定的にアップしたと実施センターの畜主から聞いている。
大型肥育センターの大部分が機械化しているが、労働力の軽減だけでなく、肥育成績の向上に繋がるからである。
投資をするからには、この程度の設置効果に見合う心意気と日頃から意欲的に高い飼育技術を生かす実践が不可欠であり、その挙げ句経営効果が得られるはずと睨んでいる。

下等級でもペイするには

2011-09-17 11:09:30 | 雑感


和牛の肥育経営で一番のネックは枝肉格付けで2~3等級にランク付けられることである。
これらのランクでは、枝肉単価が1,000~1,400円となり、枝肉量が仮に460kgであれば1頭当たりの販売価格は46~64万円となる。
素牛価格が46万円であったら、飼料代やその他の管理費分が赤字となる計算である。
これでは、40数万円の欠損となり、経営破綻を来す数字とと言えよう。
5等級にランクされれば、何とか100万円となり、10万円そこそこの黒字となる。
素牛46万円で4等級では4~5万円の欠損を覚悟しなければならない。
このようなに相場が低迷している現状では、下等級ランクでは、欠損分を穴埋めするには至難の業となる。
ベテランの肥育家であれば、出荷牛の格付け結果が思惑通りになるような素牛選定や肥育管理を行っているに違いない。
しかしながら、大方の肥育家たちの現状は、出荷時の競り価格の結果に不安な面持ちで挑んでおられよう。
この現状を打開するには、5等級ばかりが利益を上げるのではなく、3等級未満であってもペイする肥育法を確立するしかない。
例えば64万の販売価格であるなら、肥育経費を40万円未満にコストダウンし、素牛は24万円以下を競り落とせばよいことになる。
今時に上場される子牛は、血統上劣悪なものなどいないはずであり、子牛の健康状態や食欲や発育性を重視し、枝肉量460kgが見込める子牛を見定め、しっかりと食い込ませれば、枝肉販売価格を64万円以上に乗せることは可能であろう。
4等級についても、4等級用の素牛を選定すればよいことになる。
問題は子牛の見利きの技術がなければ出来ない相談である。
技術があると思っても、55万円の素牛でも下等級となったり、35万円で5等級の上位にランクされる例を畜主であれば体験されているはずである。
同様に肥育管理しても、アンラッキーであったりラッキーの一語に尽きる結果が出るからには、素牛選定上、策を練る必要がある。
全頭50万円以上の素牛を導入して、5等級率50%であれば、素牛の選定に一定の能力が備わり、経営的には黒字化が安定するであろう。
どこの子牛市場でも10~20数万円クラスの子牛を競り落とす肥育購買者がいる。
このケースでは、疾病や死廃率が低ければ、黒字を計上しているはずである。
要するに、素牛選定時に出荷時の枝肉評価ランクを想定した導入と生産が実現すれば堅実な肥育経営が可能となろう。

外蹄切除のその後

2011-09-10 11:56:18 | 牛の病気

祉間過形成について、外蹄切除の途中経過は先月28日に述べたが、それから1週間後にテーピングが外れてしまったが、そのままの状態にすることとなった。
それから5日経った状態が写真上で、丸印を付けた位置が外蹄の切除跡であり、傷跡は完治している。
写真下は、前方から写した状態であるが、内蹄に体重を掛けて歩行しており、若干の違和感はありそうな感じであるが、今のところ問題は無いようである。
歩行や寝起きの状態や食欲もほぼ病前の状態まで回復した。
観察が行き届かずに牛には、かなりのストレスを科してしまった。
牛を管理することは、全身つまり、蹄の裏や口の中まで視線を凝らさねば観察とは言えないと改めて自覚する次第である。




台風接近

2011-09-02 22:40:35 | 肥育

これまで畜舎などが台風の被害を受けたことは、記憶にない程度で風水害には縁遠い環境下で肥育を行ってきた。
しかし、今回はそうも言ってはおれない。
現在四国沖と言うが、まともに関西地方を直撃しそうな気配である。
今回の台風は雨台風のようであるが、古い畜舎の雨漏りや風力を受けるカーテンなど案じられる。
横風を受けて、舎内が水浸しになりかねない。
直接被害を受けるのは、水源地が砂利で埋まり断水の恐れがあることである。

目下、南西諸島へ素牛導入に出かけているが、同諸島では台風の被害は無さそうであり、今度の日月に掛けて受け入れることになっているが、台風一過後のため、牛らの到着には支障は無さそうである。
問題は、明日の夕刻関西に到着予定の担当者のことで、航空便が運行されるかが気がかりである。
とは言っても、船酔いする子牛たちが出なければよいが祈るのみである。