当センターでは給餌作業の機械化は、稲わらクラッシャーぐらいで、殆んど進んでいない。15棟ある各畜舎は古く、1棟当たりの平均飼育頭数が70頭程度であるため、機械化してもペイしないと判断してきた。
配合飼料等は全て手やりだが、その長所として牛の観察が行き届き疾病率は極めて低く、死廃率は1%未満であるが、手やり斑のために肥育成績にも斑が出やすい。
そこで目下、自動給餌器などの機械化を考慮中である。
同器を導入するには、その設置効果が具体的でなければならない。
機械化することで給与量が一定し複数回給餌する効果により、日量の摂取量が増加することから、増体効果が期待出来、その相乗効果から肉質の向上も実現することが予測出来る。
つまり枝肉量の増加と肉質の好転により枝肉の販売金額も増大する。
一方、同器の設置費用は単純計算では1頭当たり3~4万円の設置費用が掛かる。
大型センターなどでは、費用負担が大きいために、契約飼料メーカーなどに設置負担させているケースもあるようである。
改めて、機械化の目標として、枝肉量を5~10%増加させ、肉質の向上をはかり、その結果枝肉単価を5~10%上げることを最低の目算とした目標を立てた。
これが実現することで、従来の販売額より1頭当たり最低(5%増)でも7~8万円増加することになる。
摂取量が増加した分の飼料代約1.5万円を差し引いても5.5~6.5万円の設置効果が見込める計算となる。
設置可能な畜舎550頭で約2,000万円が必要であるが、設置後軌道に乗れば、少なくても400頭出荷することで、ペイする計算となる。
機械化の効果は、現実にはこの程度の設置効果ではなく、上物率が安定的にアップしたと実施センターの畜主から聞いている。
大型肥育センターの大部分が機械化しているが、労働力の軽減だけでなく、肥育成績の向上に繋がるからである。
投資をするからには、この程度の設置効果に見合う心意気と日頃から意欲的に高い飼育技術を生かす実践が不可欠であり、その挙げ句経営効果が得られるはずと睨んでいる。