牛コラム

肥育牛と美味しい牛肉のはなし

牛の尾の機能

2008-08-08 22:05:10 | 牛の尾

良くしたもので、普段は外から見られたくない肛門や陰部は、尾の裏に隠れている。
排便や放尿時の牛は、もよおす直前に必ず、尾根部の高さに尾を擡げる。
用を足すと、自然と元通り、それらの器官をそれとなく隠してしまう。
このように牛の尾は、褌のような役目もある。
牛は、放牧場や原野を駆けるときや、畜舎から脱柵したときなどは、尾を思い切り上の方へ振りかざしながら駆け出す。
馬でもそうであるが、駆けるときには、四肢を思い切り前後に伸ばして、蹴りを入れて速度を増すため、その瞬間は尾の存在が邪魔になる。
駆けるときの速度が速いために、カーブするときのバランスを保つために、高く振りかざした尾がバランスを取る役目をしているかもしれない。
牛が交尾する時は、尾が邪魔になる感があるが、雌牛がそれを許容する時は、尾をそっと脇にそらす。
人工授精や受精卵移植時には、尾が邪魔になる。
それが、牛にとって許容していないからだ。
分娩時は、陣痛から娩出まで、常に尾をあげて分娩の邪魔にならないようにしている。
尾を常に振りかざすのも、分娩のための息みを助長させる働きがあるかも知れない。
授乳中の子牛は、ミルクが順調に飲めている時に、尾を左右に振って、その満足度を表す。
牛の尾の働きや機能は様々で、たかが尾、されど尾なのである。

牛の尾の役割

2008-08-07 19:48:39 | 牛の尾





和牛の尾は、細くしまり、長い方が良いとある。
尾房はくるくる巻いているのが良いともある。
牛たちにとって尾は、人の手のような役目がある。
蝿やアブや蚊などを追っ払うのに、無くては成らないのが尾なのである。
その役目は、長さが勝負みたいなもので、繁殖雌牛の方が、去勢牛より長くふさふさしている。
尾の長いものは、肩辺りまで振り回して外敵を追っ払う。
昔ながらの牛房では、尾の先がすり減ることはないが、肥育牛舎のように鉄骨柵などの場合、尾房がすり切れて、全体的に短くなるケースが多い。
尾根部から50cmは骨格があり、皮膚を伴うから尾毛も辛うじて残るが、その位置から下方には全く毛が無い牛もいる。
その様な牛は、害虫を追い回すのに苦慮している。
専ら頭部を振りかざして追っ払うしかない。
上の写真のように、横たわっている時には、人が鞭を器用に扱うように、横たえた尾をぴたぴたと微妙に動かして害虫などを追っ払う。
むしろ、たっている時よりも器用なようである。
害虫ばかりを威嚇してはいない。牛を繋いだりすると、後ろ側で牛の清掃などをしていると、尾でぴしゃっと人もやられてしまう。
要するに、尾は保身用にあるようである。
我々も縁側で昼寝する時などには、あったら便利かも知れない。

それにしても、長時間煮込んだテールスープは絶品だと聞く。