牛コラム

肥育牛と美味しい牛肉のはなし

感染防止策

2011-03-29 22:54:55 | 牛の病気


東北関東大震災に関連して、JA関係の飼料供給体制については、ほぼ見通しが出来たとの報道があり、関係各位の取り組みに対して敬意を称する次第である。

平成22年度は、宮崎県で発生した口蹄疫に始まり、全国各地での鳥インフルエンザの発生、年度末に至っては、我が国では未曾有の東北関東大震災の発生と人や家畜らの多大なる犠牲を生じる結果となった。
昔から、天災は忘れた頃にやってくる、と言う格言があるが、この度の巨大地震に至っては、地震学者の一人として予測出来なかった震災であり、まさしくこの格言どおりであった。
家畜の二つの伝染病については、天災とは言い難いが、何れもその侵入経路については、予測の範囲を脱しきれずの状態である。
これらの感染防止については、関連施設へ外部からの関係ウイルスの侵入をこまめな消毒などの防止対策が取られている。
しかしながら、係る対策を講じていても、これまでの侵入経路が明確に出来難い現状では、再発生の危険性を払拭できないであろう。
未だに国内に生存し、家畜舎周囲を徘徊する野生動物対策は全く手つかずの状態であり、全頭ワクチン処置を実施している韓国等からの旅行者や帰国者は無制限状態である。
このような現状では、第2の宮崎の悪夢を繰り返すことになりかねない。
従業員の中には、韓国帰国者と偶然に接触するなどの機会があり、そのようなケースでは3週間程度の自宅待機で我慢して貰っている。
これで万全かどうかは、判断に窮している次第である。
トラックなどの来場車両用として、遅ればせながら道路上に消毒槽を設置するとともに、来場者は長靴履きに履き替え、必ず消毒槽にて消毒して貰うことを実施することとした。
自らの飼育牛は自らで係るウイルスの侵入を防止するしかない。
それにしても、ソーダ灰以外の消毒薬品が高価であることに音を上げそうである。

牛らも不安を予知している

2011-03-25 16:12:39 | 雑感
牛らも不安を予知している!


原発神話がもろくも崩れ去った。
大震災がもたらした原発の自動停止と津波に起因して、発電施設である原発での停電が放射性物質の流失を塞ぐことが出来なかった。
その流失の影響は、人体には影響ないとしながらも、局所的には計測値が高くなり、福島県の近隣6都県からは、それらが野菜や水道水、酪農施設からは牛乳にまで及ぶこととなった。
関係地域の住民は、放射性物質とそれに汚染した食生活を強いられて不安な思いであろう。
そもそも、停電は想定内のことであり、自家発電に至っては、燃料が不足して発電できないなどは、関係者の原発神話思想がもたらした軽薄な取り組みであったに違いない。
原発が地震により自動停止した場合、その後の対処法に電気が不可欠であることは専門家なら誰もが周知であったはずである。
そのことは理解していたが、津波で停電することを想定していなかったと言うことであろうが、とんでもない専門家たちである。
同神話を掲げてきたからには、国民に放射能被害を与えないために、1にも2にも、10に至るまで次の手を打っていてしかるべきはずである。
我が国では未曾有のM9の地震が発生した。
何時の日かM10が発生しないとは断言しかねない。
今回の数百倍の強度が予測できるが、最寄りの既設原発であろうと木材家屋並みに倒壊しかねない。
国の原発政策の根本的な見直しが不可欠である。

3月11日は、家畜の粗飼料のうちイタリアンライグラスやオーチャードグラスなどは生育中であり、係る汚染に晒されていなければよいがと気がかりであるが、人の食料や粗飼料源となる稲作の定植までに早いところでは1月半と迫っている。
それまでに汚染が回避されることを切に祈らざるを得ない。




震災に思う

2011-03-21 14:50:57 | 雑感


最近になく今冬は、降雪日が多く、多少長引いている感がある。
写真は17日の昼間に撮ったものであるが、当地でも18日の朝まで降り積もった。
日本では未曾有とされている大震災に遭われた東北各県の被災地では、今後も同様の降雪や氷点下が続くであろうと考えると、いたたまれない思いが胸を突く。
家畜の被災状況は、なかなか伝わってこないが、農業新聞で徐々に報じられる程度である。
東北では大型養鶏場が壊滅的被害を被った、長野県では和牛肥育農家の畜舎が倒壊して肥育牛らにも大きな被害が出たらしい、和牛は内陸部で飼育されているケースが多いので、それほどの被害はないようだなどと、人づてのニュースを聞いている。
これらの正確な情報が最初に得られるのは、地元JA関係者や飼料等の納入業者やそのメーカーであろう。
得られた情報が、第一線の家畜に関係する生産者の早期の復興に役立つようでなければならない。
新聞各紙やテレビなどでは、災害時の被害状況を過大報道したり、その影響が見られない内から、食料関連物資の品薄により高騰しているかのような報道が多々見られる。
災害時は、人災やライフライン等の報道は最優先しなければならないが、平行して先ず消費者向けの食料情報だけではなく、先ず生産活動を再開させるための報道が最優先でなければない。
航空や鉄道関係、高速道路や地方道、電気水道等が日を追うごとに復旧していると報道されている。
中でも、飼料関係では関西方面から船舶による輸送が行われているという報道もあり、メーカー各社の取り組みに大きな期待をせざるを得ない状況である。

今回の災害では、政治家の顔が見えてこないというシビアな報道もあった。
5億円を貰ったとか貰わないという政治家さんらが、思い立ったように作業着姿で大型車を連ねて被災地へ救済活動される光景は、昨夜の夢であったようである。





家畜への緊急対策

2011-03-15 18:35:46 | 雑感
日を増すごとに東日本大震災の被害状況の大きさが、テレビ新聞等でまざまざと知らされる。
東北東湾岸の想像を絶する何10という自治体が、いずれも同様の被災状態であることが明らかにされるにつれて、この悲しさの現実をどのように思うべきであるかなどを脳裏に浮かばせることは出来ずにいる。
そのような中、92時間ぶりとか96時間ぶりに生存者が救助されたとの報道に、目頭を熱くしながら「よかったー」の思いがこみ上げてくる。

東北地方の飼料基地は石巻港と八戸港だそうである。
これらの何れも今回の震災を受けている。
東北地方の畜産は、酪農や和牛の繁殖および肥育、養豚、養鶏、これらの何れも大規模化されている。
震災で停電、主要道の通行止め、断水などの被害が現実となり、飼料の確保や自動化された給餌機などに多大な影響が案じられている。
既に搾乳直後の牛乳の集荷が不可能なために、やむなく圃場に投棄するなどの影響が出たとの報道があった。
停電が回復しなければ、水中ポンプや自家配合機も稼働しない。
家畜は水がなければ、生死に影響する。
飼料については、確実な情報はないが、道路の閉鎖中であったり、飼料配合工場の閉鎖が起きていれば、飼料の現場搬入が不可能であり、畜産生産現場に於いては、大打撃を被ることとなる。
家畜も人同様に早急な救護が不可避である。
政府・農水省は被災地救済として、停電対策や緊急車用の高速道を飼料運搬車にも解放し、東北以南からの飼料等の輸送確保について緊急対策が急務である。

大震災

2011-03-13 14:11:53 | 素牛


東北三陸沖に発生した未曾有の大震災に遭遇された皆様に、心からお悔やみを申し上げます。
又被災された皆様に、心からお見舞い申し上げます。

被災された各県は、和牛の主産地であり、和牛の品質向上と増頭を目指して一丸となって取り組んでおられる地帯である。
被災状況がテレビで流されるたびに、地域住民の皆様は勿論であるが、和牛の生産者や牛たちのことが案じられるのは、係る全国の関係者とて同様であろう。
また、これらの各県では、肥育生産に於いても優れたブランド肉を生産し、関係誌等でも取り上げられている。
係る生産地での素牛購買者諸氏とともに、被災されていなければ良いがと願う次第である。
現今では畜産分野が家畜伝染病感染等で産業に水を掛けられた感が否めない状況下にあり、今回の被災が追い打ちを掛けることのない様、東北各県の畜産関係者や家畜らのご無事を願い祈るのみである。

市場ランキングから

2011-03-07 23:24:28 | 素牛

日本農業新聞掲載の「子牛市場10ランキング」によると、これまで南高北低の黒毛和種子牛の生産頭数の割合が、次第に南北平均化され、今後の見通しとしては北高で推移しそうな状況が見られるようになった。
これまで主産地であった鹿児島県では南西諸島の徳之島以外は、軒並み頭数減が見られる。また宮崎県では、口蹄疫の発生による影響から頭数減を余儀なくされている。
これらの2つの件では、平成6年度以来いずれも10数%減であり、我が国の主産地だけに係る産業への影響が危惧される。
その一方で東北北海道の生産頭数の増加状況には、従来より予測されていたとはいえ、目を見張るものがある。
とくに、北海道では平成6年度以来約45%の増加率が見られ、近い将来和牛の主産地として君臨するのは確実であることを示唆している。
南九州の場合は、その生産者のかなりの割合が高齢者で占められ、その影響が生産減に見られ、主産地としての今後の対応が注目されるところである。
北海道では、酪農家や軽種馬生産者による和牛繁殖への生産替えなど、生産意欲の効果が生産頭数の増加により如実に現れている。
同様に4年間で約8%増が見られる鹿児島県徳之島でも、サトウキビや馬鈴薯の生産が主産業であったが、若い経営者らが立地にあった和牛生産に着目し、互いに競うように繁殖牛の増頭をはかり、目下年次的に生産頭数を増加させている。
個々の生産者であれ、地域集団や道県単位であれ、生産目標とその実現のための意欲が存在することで、増頭は可能であることが伺える情報であった。

牛の白血病と離乳

2011-03-02 19:46:48 | 子牛


牛の白血病と離乳

近年、牛の白血病がかなりの割合で増加の傾向が見られるとし、最も多い患牛は乳用雌牛とのことであったが、黒毛和種の繁殖雌牛も全国的に感染被害があるようである。
この疾患はその大部分が牛白血病ウイルスが血液を介して感染するため、予防注射など注射器の回し打ち、血液が接触する器具等の連続使用、アブやハエなど吸血昆虫、母乳による親子感染などにより伝播する。
同ウイルス感染で同キャリアになるが急に発症することは希で、和牛の場合は数年かかって眼球突出や痩せるなど年齢の割には老化現象を呈することで発症を気付くことが一般的である。
また同症では体内に腫瘍が出来ることが知られており、歯間など口腔内、各臓器や気管などにガン症状が出るなど様々な症状が診られる。
人の白血病とは異質であるために、人への感染は無く、感染牛の食肉や牛乳が人に与える影響は無いとされている。

同症で気がかりなことがある。
同症を感染した牛が分娩し、折角の子牛が母乳を飲むことにより同ウイルス感染すると言うことである。
繁殖雌牛の場合、母牛の感染の有無を検査することが不可欠である。
万が一感染していても妊娠の持続など繁殖にはさほどの影響はないが、この疾患に対する認識と対策が離乳時期の決定に深く関わってくる。
従来認識では、子牛の離乳時期について、母乳が豊富であれば可能な限り長期に子牛を付けることが、生産効率上は得策である。
しかし、かかる感染が確認された繁殖雌牛については、子牛の健康維持のために躊躇することなく、生時離乳する必要があり、初乳であっても与えるべきではない。
最近は初乳に匹敵する免疫力(ガンマーグロブリンなど)の高いミルクが市販されている。