牛コラム

肥育牛と美味しい牛肉のはなし

猛吹雪

2012-02-02 21:02:48 | 牛の管理

昼前から降り出した雪は、猛吹雪となり3時間も経たぬうちに30cmの積雪となった。
数日間の残雪で辺りはアイスバーン状態であり、その上に集中豪雨並みの猛吹雪のせいで、あっという間に積もった。
風雪が強く、視界が塞がったり、霧に近いような粉雪のために、畜舎の隙間から舎房内にも吹き込み、牛らにも低温の影響が案じられた。
そのため舎内も氷点下となり、ウォーターカップの舌が凍り付いて断水となった。
積雪で車が走行不能になる恐れもあり、早めに帰宅するつもりであったが、熱湯やバーナーを用いて飲水可能な状態に戻し、車上の雪を払い除けて離場した。
近年にない風雪であったが、今夜から明日にかけても同様の積雪の予報である。
明日は、朝から断水が案じられるが、幸いにして山水のために、各畜舎ではドレンから少々垂れ流しが可能で、その対策を取っている。
断水時は、牛らも雪を舐めていた。




畜舎周りもアイスバーン

2012-01-25 22:27:21 | 牛の管理

昨日の朝は20cm余の降雪で、その影響から今朝の気温は氷点下7℃と下がり、周辺道路は国道を含めてアイスバーンで、老体には血圧を上昇させながらセンターへたどり着く有様であった。
折しも、今朝は出荷が予定されていて、除雪後のコンクリートフロアは昨夕からの雪溶け水が氷り、アイスバーンとなっていた。
アイスバーンのため、いつものローディングシュート(牛積み場)への牛の誘導が不可能なため、畜舎間の坂道を利用して坂下へ向かってトラックを止めて積み込むこととした。
脚を滑らせて、へたり込んだ牛は5~6人がかりで立たせようとするが、ガンとして動かない。
融雪剤を牛の周囲に撒くと、数分もしないうちに牛は、さっと立ち上がった。
しかし、数頭の牛はトラックに誘導するが、警戒心から、びくとも動こうとしない。
牛だけでなく人も足を取られながら四苦八苦の末、凡そ1時間を要して6頭を積載して出発した。
アイスバーンを予測して、融雪剤の常備は必要である。
他にトラックの使用目的がなければ、積載時間を遅らせるケースであるがやむを得ずの作業であった。




除角の効果

2011-08-18 22:50:56 | 牛の管理

肥育牛の除角については前述したが、雌牛の気性の荒さのために雌牛のみに除角に踏み切った旨の記事を載せた。
除角は当方では初めての経験であり、競合防止が目的であったが、除角によりその競合の防止は確実に効果が認められた。
その競合が皆無となったことから、除角雌牛らは自由気ままに採食が可能となったことから、群内の全頭が同じような肉付きとなり、体重差が少なく揃って肉用牛タイプの肥育牛に仕上がりつつある。
何を今更の内容であるが、初体験としての感想である。

高温のための断水

2011-08-10 22:31:16 | 牛の管理


近年地球上の気象現象にゲリラ現象という集中豪雨が世界各地に襲来して、記録的な被害をもたらしている。
また一方では、記録的な無降雨日や高温日が持続するという現象が起きている。
1昨日も関東地方ではゲリラ的な集中豪雨に見舞われたと言うが、関西では気温38度を記録するなど高温日であった。
当センターは山の湧き水を利用しているが、地下水が乾き気味となり通常よりかなり少ない通水のために、肥育牛らは、水量に合わせて配合飼料の食い込みを調整しているようであるが、このような事態に備えて、もう一つの取り水のお陰で、そのような事態を回避している。
しかしながら、長期天気予報では、この先10日くらい好天日が持続するようであり、非常に危険な状況である。
このような高温の影響は、思わぬ事態を引き起こしてしまった。
山からの湧き水を約10屯の二つの水槽に溜めたものを落差を利用して各畜舎へ配っているが、落差の少ない1カ所の畜舎が断水となった。
原因は気温が上昇したために、送水用のゴムパイプが膨張し、パイプ内にエアーが溜まったためと判明した。
猛暑の中、場員らは応急対策として200や300リットルのタンクに満タンの水を軽トラで搬送したり、パイプの対策のために大汗しながら懸命であった。
主たるパイプの数カ所にはエア抜き装置があるが、問題のカ所にはそれがなかった。
昨今のような高温が持続すれば、同様の断水が予測されるので、抜本的な対処が不可欠と考えている。

断水

2011-05-31 22:00:47 | 牛の管理


朝から牛らがやたらに鳴いている。
断水であった。
山間の沢に直径と高さが1mのコンクリート製円筒形土管に直径15cmの塩ビパイプ部で流れを誘導して溜め、そこから直径10cmのパイプによって約2kmの当センターの貯水槽へ送水して溜めて、それぞれの畜舎で牛用の飲料水としている。
台風2号の影響から大雨警報が発令されるほどの豪雨のため、沢が増水し塩ビパイプが石やゴミで詰まって貯水槽が干上がってしまっていた。
早速に沢を見回り、塩ビパイプの取り入れ口を掃除すると、土管からは勢いよく水がオーパし始めた。
同時に土管からは順調にパイプを通して送水し始める。
しかし、牛らがウォーターカップで飲めるようになるまで、約半日間を要した。
写真は、断水のためにほとんどの牛がウォーターカップの水の出を鳴きながら覗き込んでいる様子である。
今年は、冬は大雪のために杉が倒伏して、この水を止め、今度は起き始めたばかりの台風がらみの豪雨が水を止めるなど、牛らには水難の多き年になりそうである。

牛らも春の風に生き生きしている

2011-02-23 00:19:45 | 牛の管理


気温が徐々に上がったことから、寒風や低温から牛らを守るために締め切っていた上下のカーテンを巻き上げると、牛たちは久方の春の直射日光に当たり、明るさと適度の通気性を肌にうけて心地よさそうに軽快感を味わっている様である。
昨夏の好天高温続きと、今冬の豪雪と低温は、牛らにとっては想像以上のストレスとなっていたのではないかとの家畜保健衛生所の見解であった。
牛らのストレスからの解放と体力増強を念頭に、このような春の日差しを受けさせる環境が必要であろうと意識している。
写真にある畜舎は、農大で畜産を選考し、将来の自営を目指し、当方へ入所して来月で2年目となる若者が担当しているが、彼はそのような牛らの要求を心得て敏感に対応してくれている。

雪かき

2011-02-08 23:40:59 | 牛の管理


今年は迎春とともに記録的な豪雪であった。
未だに畜舎周りには除雪で積み上げられた雪景が見られる。
雪のために水源地のパイプが外れたことは前述したが、この他通勤に難儀したり、除雪やウォーターカップの水守りなど一苦労させられた。
これだけではない、写真にあるが貯留用の飼料タンク付近の除雪作業もある。
さらに、このタンクまで飼料運搬車を横付けさせるのに、ドライバーも一苦労することになる。
除雪して、トラックを横付けできるようなスペースは確保するが、タンク内への飼料投入口のある天井に積もった除雪も一苦労である。
飼料の補給は不可欠であり、現在使用中のこれらのタンクの数は15カ所あり、豪雪の影響は一筋縄ではいかないのが現状である。
飼料運搬車にとっては、補給後も一苦労が待っている。
畜舎は段々畑のような傾斜地に建てられており、施設の取り入れ道路は最上部から、段々に下がりながらそれぞれのタンクに着けるため、帰りは登り坂となる。
空車になった飼料運搬車や大鋸屑運搬車は雪道に弱く、チェーンを巻いてもスリップする。
その度に堆肥調整用の大型ショベルカーで牽引して表道に誘導することになる。
またぞろ、今週末の雪マークが気がかりである。


低温時の水管理

2011-01-19 23:18:13 | 牛の管理
最近のように厳しい低温が持続状態になれば、前述したようにウォーターカップの管理も大変である。
当方では、水源を山間のわき水を利用していることから、ウォーターカップが設置されている畜舎では、舎内の4隅のウォーターカップの直下にドレンホース(写真上)を設けて夕方になれば、僅かずつ垂れ流しして凍結を予防しているが、それでも早くて午前10頃までは断水状態である。





今回の降雪では、牛らの運動場でも約30cmの積雪となった。
南国育ちだけに屋内での時間を多くとるであろうと思っていたが、牛らは太陽の日差しとともに雪中に出て難なく過ごしている。
北海道では、降雪時にホルスタインや羊などを雪中行軍させて、体力増進や蹄の病気を予防させている映像を見かけることがある。
以前筆者も運動場の雪上で昼寝している繁殖牛を見かけたことがあるが、牛らは意外と雪の低温などは然したることではないのかもしれない。
そのようなことを考慮すれば、冬季に降雪を体験させることは家畜らには、健康増進につながるもの考えられる。
しかしながら、肥育牛の場合は、寒冷時の体温調節維持には、通常時より必要以上の栄養補給が必要となり、飼料効率は低下しているはずである。

雪の当たり年

2011-01-18 19:50:38 | 牛の管理


当地は関西地方であるが、今年は例年以上の大雪に見舞われている。
山間地であることも一因しているようである。
そのため、今朝の気温は氷点下7~8度を記録したため、自宅から約15kmの全線アイスバーン状態であった。
主要道から外れて、他に通勤者の居ない田舎道をおよそ1km程度入った1車線幅の坂道の先頭に大鋸屑を満載した大型車がスリップ状態で立ち往生し、当センターの職員7台の通勤車が右往左往するという事態となった。
いつも早朝に和歌山から搬送してくるトラックであるが、とりあえず通勤者を脇道に待避させ、トラックをバックさせて車道を確保した。
当車はそれから約2時間後に到着したが、タイヤチェーンを装着しての再発進だったようである。
普段雪道には慣れている車両であっても、現地では思わぬ事態は起こるものである。

高校生頑張る

2011-01-14 23:50:17 | 牛の管理

今月1月10日夜、NHKBS熱中スタジアム「牛が碁盤に」を拝見した。
同番組の内容は、岡山県新見高等学校生物調査部畜産斑か和牛の碁盤乗りを伝承するためのクラブ活動を紹介したものであった。
今では牛の碁盤乗りを実施しているケースは滅多に見られなくなったが、それを千屋牛で知られる新見市の高校生が部活としてその技術を習得しながら、学園祭などで披露し地元民から拍手喝采を受けるなど、和牛の伝統的な技を地域一帯となって継承している様子に感銘を受けた次第である。
「調教は、わが国の貴重な農耕文化の一つである。しかし、現在では、本格的に調教された牛は、国内でも十指に入る程度ではないだろうか。インターネットによると、岡山県立新見北高等学校では、地元に伝わる伝統芸能牛の「碁盤乗り」を学校の特色作りにと、1996年から教諭と生徒たちが放課後と休日返上で連日懸命にとり組んだ結果、その翌年秋には、見事に「碁盤乗り」を復活させ、伝承しているとのことである。パソコン相手に、思わず拍手喝采した。」
この記事は、05年に肉牛ジャーナル誌に掲載した記事であるが、同校は、その後合併により新見高校となっている。
和牛産地の高校生による部活が、地域産業に関連しておよそ15年間脈々と継承されていることに、関係の指導者および学生諸氏に敬意を表する次第である。

筆者は59年、島根県にある国の施設において、和牛の基本的な調教を習ったが、その経験から、テレビ画面に紹介された高校生の部活で、賢明に碁盤乗りを成功させる若者たちの姿を拝見していて実に頼もしげに思えた次第である。
素晴らしい彼らの活躍に、水を差すようで恐縮であるが、碁盤乗りは手綱一本で操る調教の究極的な技術であるが、同校の場合は、手綱一本での調教を基本的としては居なく、牛とのコミュニケーションを深めながらの手法による碁盤乗りの成功であった。
本来碁盤乗りや橋渡りなどの技術は、基本的な調教の技術から生まれたものであった。
農耕牛を繰って鍬や荷車を動かすために欠かすことの出来なかったのが調教であるが、その理念を伝統文化の継承には、是非取り入れて貰いたいが筆者の願いでもある。
そこから生まれた碁盤乗りは、さらに美しさが加味され、見るものの心を打つはずである。
写真は、石原盛衛著「実用和牛百科」による。