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牛コラム

肥育牛と美味しい牛肉のはなし

牛の発育とともに心がけること

2008-12-25 21:22:08 | 牛の成長



運動場のある導入牛用の畜舎にいた牛たちは、導入から3~4ヵ月経てば、運動場のない育成用の畜舎に移動する。
写真はさも順調に移動しているように見えるが、実際は牛数が18頭で、その半数は、後ろの方で逃げ回っている。
複雑な道順のため、7~8名で追い回しているが、時には牛の動きを把握していない者がいれば、こういうことになる。
山に逃がさないように、寒い最中、汗水流して追いまくっている。
移動先の畜舎へは、牛たちを誘導するために、2トントラックやホイルローダーや軽トラなどを壁になるように駐車させて誘導路を確保する。
要所要所では、竹箒などを手に手に、牛らを逃がさないよう誘導して舎内に移動させている。
移動時に気を付け無ければならないことがある。
給水である。運動場付きの畜舎は水槽で好きなように給水させているが、育成牛舎では、ウォーターカップに変わる。
ついうっかりしていると、2~3日、ひどい時にはそれ以上給水していない牛がいることがある。
観察観察と口癖だが、これらは給水のことを問題なく飲んでいるとして、飲んでいないなどは頭から完全に消え失せているための結果である。
牛を移動するときは、先ず導入当初に必要な管理の数々を初手から確認するなど細心の注意を怠らないことである。
子牛は日に日に大きくなる。そのことで、心がけなくてはならないことが多々ある。
鼻環を装着した子牛は、次第に鼻鏡の幅が広がるために、鼻環が鼻孔に食い込むことがある。
また鼻環を装着し、それに頬綱をかけていれば、頭部が大きくなるために、頬綱がきつくなり、鼻環が鼻孔に食い込んでしまう。
こまめに観察して、頬綱をほどよく緩めてやる必要がある。
子牛用の畜舎では、子牛が逃げないために、飼槽側の横棒の高さを子牛用に低くしているケースが多い。
子牛が発育することで、それが低くなり、頚峰の辺りを擦り傷ついたり、飼槽への頸出しを不自由し出す。
子牛舎は、その横棒の高さを調節できるような構造にすると便利である。
子牛でなくても、発育とともに、伸びるのが四肢の蹄である。
導入後仕上げて出荷するまでに、最低2回の削蹄が必要である。
また、子牛用の舎房幅は決まっているため、牛が次第に体幅を広げるので、全頭が同時に飼料摂取が可能になるようなスペースを考慮し、再び牛の移動などを考えなくてはならない。
そのままにしておくと、群飼内で強弱関係が顕著になり、群内での体重差がひどくなる。

牛に優しく

2008-09-23 18:52:04 | 牛の成長


日本には、昔から食卓に座れば、手を合わせて「頂きます」と唱える習慣がある。
学校では、給食費を払わない生徒とその親たちが増えていると聞く。
おまけに、何で「頂きます」なのよと、それに抵抗しているとも聞く。
実に嘆かわしいことであると感じている。
先日、通勤途中のカーラジオで、ゲストのコメンテーターから、その話が出た。
人は、野菜や米など命あるものを頂いているから、それらに感謝する証として「頂きます」があるというのであった。
全くその通りであると、筆者も頷きながら拝聴した。

話を牛の話題に戻すが、食卓の「頂きます」の観念に戻れば、牛飼いや食肉関係者など畜産関係者全てが、その意を認識しているはずである。
畜魂慰霊祭などの挨拶では当然のようにその様な話を拝聴し、つねに我に返っていることがままある。
その様な観点を常に意識することで、家畜たちとも仲良くなるはずでもある。
おめおめ、気に入らないとか言うこと聞かないとからと言って、鞭を振るう時代ではないのである。
全ての家畜が、食肉用として飼育されているからには、そのことを熟知して、飼育環境の改善だけでなく、管理する一人ひとりが家畜の嫌がる行為だけはしないと認識すべきである。
当欄にコメントを頂く人たちの全てが、それらを当たり前のように認識したコメントが寄せられている。
その家畜への思いやりが、それぞれの成果が着実にあげられていると予測できる。
畜主と家畜たちが意を介してそれらの目標のを目指せば、当然のように成果は実ると日頃考えている。
時折、異常な行動をとる素牛が導入されることがある。
これは、子牛たちに何らかの危害が加えられているからで他ならない。
それでは、折角有能な資質を有しても、結果的には、それらを生かし切れないことが多々あるのである。
家畜と接するには、常に「頂きます」の精神を忘れないで欲しいものである。


子牛用ワクチン

2008-08-30 09:16:59 | 牛の成長


畜舎で子牛生産していると、季節的に風邪症状なのか下痢や咳を伴う病気になることがある。
この症状には、必ずと言っていいほど高熱を伴い、次第に瞼が重くなり生気が失せてくる。
そして、子牛たちへ次から次に感染する。
屋外の放牧場での管理であれば、この様なことは稀である。
2~3頭飼っている場合も、その様な発症は稀である。
これらの状態から、畜舎で蜜飼いすると、様々な疾病に繋がる。
予想するに、畜舎内が次第に疾病の原因となる多様な病原菌などに汚染されていることが伺える。
肥育牛であれば、その牛房が空くとともに消毒が習慣付いている。
しかし、繁殖牛房は常に常時多頭の牛たちがいることもあって、消毒などに至らない場合が多い。
分娩房などは以外と消毒管理されている例は多い。
疾病は、分娩房だけに常在しているのではなく、舎内の全てを管理しなければ、根絶には行かない。
実は、消毒法も様々で、薬剤や石灰に依ったり、バーナーなどによる焼射消毒などであるが、なかなか完全にはいかない。
そこで、昔はなかった様々なワクチンが開発されて、親牛にも子牛にも接種することによって、これらの疾病を予防している。
5種混合ワクチンとヘモフィルスワクチン(ヘモ)は、全国的に競り市前の月齢時に接種が行われ、子牛登記書の裏にその記録がある。
ヘモに関しては、競り市を挟んで生産者と肥育センターとで前後2回接種している。
中には、接種状態が不十分で、導入後1~2ヵ月後同症に罹るケースもある。
最近は、生後1ヵ月半くらいに第1回目を接種して、その1ヵ月後に2回目を接種するという混合ワクチンも出回っているようである。
このワクチンは、ヘモに加えて幼牛の肺炎等に効果があるとされておる。
肺炎に効果があっても、ヘモについては、2回目を2ヵ月半に接種したら、競りに出す頃になれば、同ワクチンの反応が消滅しているのではないかと考えられる。
最近、そのワクチンを接種してきた子牛が数頭いて、その対処に困惑し、メーカーに問い合わせたが、予測の上という回答しかなくさらに困惑した例があった。
結局、導入時に従来のヘモワクチンを投与したばかりである。
これらの開発や普及は良いが、投与に関する技術を確立させた上で、普及させて貰いたいものである。


牛の群れ

2008-08-12 20:54:23 | 牛の成長



動物には、必ずボスがいて群れの動きを司っている。
牛も例外ではない。
放牧牛では、まき牛(交配用種雄牛)がいれば、まき牛がボスになり、まき牛がいない場合は、ベテラン雌牛がボスになる。
舎飼いでも、群飼いであれば、ボスの存在を確認できる。
これらの群れがいるテリトリー内に侵入すると、一番身近に威嚇してくるのがボス役である。
彼らの群れの中だけでボスの存在が判るのは、発情牛がいる時である。
雄がいなくても、雌だけであっても、ボス牛は必ず乗駕行動(交尾のために乗っかかる様子)を取る。
牛の群れは、写真のように侵入者や小動物などが侵入すると、同時行動を取って動き出す。
この様な時も、ボスが先ず近寄ってくる。
写真のような群れや繁殖雌牛群であれば、群れの中の1頭が群れから外れることにより、ボスが替わることが、係る研究などで判明している。
雄が群内にいる場合は、その様なことはあり得ない。
猿山のボスのように、常に雄がボスを保持し続ける。

但馬牛のこと

2008-07-17 19:35:35 | 牛の成長

写真の親子は、正真正銘の但馬牛であるが、生後3日目の初産牛である。
子牛の生時体重は、23kgだったそうである。
昨日は、兵庫県のとある牧場へ見学に伺い、但馬牛についてのノウハウを教わった。
その中で、早期離乳はナンセンスと述べたばかりだが、成る程という現実を知らされて、例外のあることを認めざる得ない事態となった。
早期離乳でなければならない理由の一つに、但馬牛は母乳の少ない母牛が多いと言うことである。
これまで、但馬牛は子牛の体重が小さいから、乳量が若干少なくてもそれなりに子牛は育つはずであると確信していた。
ところが、初産の場合などは、日にちが経つに従って、体重が減るケースが結構あるというのである。
それで、早期離乳して人工乳を適量飲ませることによって、母乳より順調に育つという。
写真の子牛も、母乳を飲み終わると同時に、我々の見る前で離乳となった。
その二つ目は、管理上の理由であった。
畜舎を効率よく利用して多頭化しようとすることで、親子連れを多数頭管理するには、親子のための房がその頭数分必要となり、そうなると管理上煩雑で、必要以上の手間がいる。
母牛を数十頭の群飼いにすれば、子牛を同時に入室させる訳にはいかない。
そうなると事故が考えられるからだ。
授乳時だけ一緒にしたら、子牛の盗みのみが多発しかねない。
その場合も事故に繋がる。
見学した牧場では、繁殖親雌牛群は約40頭が1室に群飼いされ、子牛たちは段階的にそれぞれ群飼いされて、りっぱに育っていた。
早期離乳することで、少ない房でこれらの問題から解放されていた。
繁殖牛を多頭化し、早期離乳する場合、最低でも全母牛頭数の20%の数くらいの分娩房がいる。
分娩房は、安産が絶対条件であるからには、分娩予定日の約1月前から入房させ、房での環境に慣らす必要がある。
これらのことを考慮にいれ、早期離乳のケースがあることを柔軟に理解した次第である。
但し、母乳の多い牛を多頭数飼われていないケースでは、論外である。





何故早期離乳なのだろう

2008-07-11 23:48:19 | 牛の成長


最近の哺乳子牛の育て方は、
①母牛の発情再起を正常化させる目的で、分娩後数日間初乳を飲ませたら離乳させる。
②早期離乳すると、哺乳に手間が掛かるため、哺乳ロボットを導入する。
③生後3ヶ月間は粗飼料を与えないで、代用乳とミルクのみとする。
④粗飼料と子牛配合は、生後4ヵ月目から給与する。
の様である。

筆者らは、常時55頭の和牛繁殖において、サイレージとふすまのみで、年1産を果たし10産した母牛は当たり前であった。
しかも、約6.5ヶ月間母乳に付けた結果である。
その経験から、何故早期離乳させるのかが理解に苦慮している。
早期離乳することで、繁殖成績は抜群なのであろうと想像は出来るが、現実はどうなのだろうか。
様々な資源不足が叫ばれている現状下で、哺乳ミルクや代用乳などを潤沢に与え、尾枕を作るなどは、何かヘンではないだろうか。
母乳という安価で安全で最高の栄養源を無理矢理放棄すること自態、本来の本能的授乳を無視し、高コストかを邁進しているに過ぎない。

コメントを寄せてくれるコメンテーター氏の放牧による繁殖経営などは、氏がコメントしているように、牛本来の生息環境下で飼われるため、牛はストレス無しで、子牛の発育を含めた繁殖成績は抜群であろうことが予測できる。
ある大学の教授は、和牛の繁殖牛を日本中の河川敷で放牧すべきで、実現すれば10~20万頭は増加するという。




肥育牛の飼育面積

2008-05-01 19:53:44 | 牛の成長
子牛を導入して暫くは、足腰を鍛える目的で、適度の運動が可能な飼育場で慣らし飼いをすることが必要である。
2~3ヶ月慣らし飼いをした後は、本格的に肥育マスに入れて、肥育前期用の飼料を飽食させることになる。
この育成用の飼育マスの面積の大きさは、その肥育形態により異なる。
全肥育期間を当初から同じマスで肥育する場合は、仕上げ時の体幅を考慮に入れて、飼槽幅を1頭当たり約90cmとし、一マス5頭飼いなら、その倍数である450cmが適当である。通常二マスを対として、牛床の清掃時に便利なように開閉柵を設けるため、マスの形は、真四角が不可欠となる。
育成マスとして利用し、肥育の中・後期には仕上げマスに移動する場合は、飼槽幅を1頭当たり約70cm幅とする。
この様に複数頭飼いにした時に注視することは、マスにいる全頭を良く監視できる配置が必要である。
鹿児島で数千頭肥育しているNセンターでは、10数棟ある全ての肥育舎の中央通路をGLより、60cm高くしている。この位置から牛房を見下ろす形になるが、全ての牛が完全に監視できる。配合飼料は自動給餌方式であり、粗飼料のみをそのフロアから落として給餌している。
畜産業では、家畜を如何に監視できるかが事故率の低下に直結することから、見易い監視体制にするを最重要視すべきである。
仕上げ期に2頭飼いにするケースが一般的だが、270×270cmのマス内で、雌牛を2頭飼いしていて、若干狭すぎるので、二マスの間の間仕切り柵を外し、4頭飼いにした。片ヘンが540cmとなったことから、牛たちが余裕で行動できるようになり、窮屈感が取れた。その甲斐があり、摂取量が増えて、牛の肉付きが心持ち良くなった。同様にその面積に去勢牛を3頭入れたが、これも増体効果が現れた。後は、サシに期待しているところである。




牛1胃の絨毛

2008-04-30 21:57:40 | 牛の成長


肥育牛は、配合飼料を日量10数kg程度多量摂取する。
配合飼料つまり濃厚飼料と粗飼料の摂取割合は重量比で10:1程度が良いとされる。この割合で粗飼料が小さくなれば、第1胃等の内壁にある絨毛の間に餌が詰まったり、付着したり、団子状になり消化機能を阻害する。
絨毛が損傷を受けるとともに、絨毛の色(写真下)も正常な黒から白に近い灰色まで様々な色となる。
粗飼料の量と品質が正常に保たれていれば、胃内に生存するプロトゾア等原虫類は一定していて、飼料の消化機能を正常に保持させる。
乳用雄仔牛の肥育では、短期に増体させようと配合飼料を主に多量給与した。その結果、絨毛に極度の付着や塊が見られ、結果的に肝臓に膿が溜まる肝膿瘍の多発事例が続発したが、DGを期待するが余りの粗飼料不足であった。肝臓を主に内臓廃棄を否めない。
良質粗飼料を決められた割合を守りながら給与し、絨毛を正常な状態で肥育を継続することが、重要なのである。
絨毛次第で、美味しい「サシ」も期待できるのである。





牛の900日間

2008-04-27 10:54:27 | 牛の成長
肥育牛は生後約900日間で仕上げられ出荷される。この限られた飼育期間において、牛たちに健康的で快適な飼育環境を如何に提供出来るかが、牛飼いたちに問われている。このことが牛たちに寄せる思いやりと牛飼いの飼育技術の良否にも密接に繋がっている。
今や牛たちは経済動物として、牛肉産業に多大なる影響力を担っている。しかも、和牛は世界に類のない牛肉資源として高価に取引されている。牛肉を多量消費している南北アメリカ大陸と比較すると、やや誇張すれば、凡そ10倍の評価である。同大陸からすれば、首をかしげたくなる現実であろう。それだけに、和牛は余計貴重な肉資源となっている。
さて、肥育牛は900日間が成育期間である。通常肥育牛は、1日0.8~1kg体重が増えることが知られている。中には、期間中1kgの増体を果たす牛もいる。生時体重を30~40kgとして、935kg前後になることになる。この様な牛は、900日間ほぼ病気をせず事故にも合わなかったはずである。この様に、子牛の時から何らの疾病の経験がなければ、順調に発育する。
生まれた時に、初乳やミルクを潤沢に飲ませ、体力的にパワーを付けてやることが、初手の大事な作業である。これを怠ると、積極的な授乳に至らず、風邪や下痢を繰り返し、肺炎を併発させるなど、順調な発育どころではなくなる。この様な疾病歴を持つ子牛は、肥育に入ってからも、飼育環境や飼料の給与法が変化することにより、それについて行けずに食が細く、気候等の影響を受け、体調を崩す例は、日常茶飯事である。購買時にこれらの体力を見抜く審査眼を身につけることが重要となる。
肥育中に、下痢や肺炎を起こすと、必ず食欲は低下する。こうなると増体しない。むしろ、減量する。その他、諸々の疾患を経験するたびに食欲低下を起こす。2~3日で回復しても、増体が順調に伸び出すのは、凡そ1週間後になる。
牛は、餌を食っていくらの世界である。まあーその内、治るだろうとタカをくくってしまうと、逆に体調をこじらせて取り返しの付かないことが往々にしてある。
常に、体調を疑ってかかる慎重さが必要である。こじらせて肺炎を起こすと、1ヵ月はおろか数ヶ月回復しない場合がある。同時導入牛より、100kgも増体が遅れれば、終了時には、その100kgがそのままついてきて、順調なら、800kgが700kg以下での出荷と言うことになる。
増体の遅れは、絶対に取り戻せない。取り戻そうとすれば、低いDG(1日当たりの増体量)のままでは、かなりの日数がかかり、経費が嵩むことになる。
牛を飼うには、900日間を大過なく飼育できるための諸々のスケジュールと環境作りが不可欠なのである。

黒毛和種の毛色は黒ではない

2008-04-27 01:22:32 | 牛の成長



黒毛和種の生時の毛色は、写真のように黒色ではない。生時は全ての子牛がほぼ同じような毛色である。
この毛色は、生後半年も経過すると、黒ぽくなったり、赤茶けた色になったり次第に変化する。
子牛市場に出る頃になれば、真っ黒ではなく茶色がかった黒色で、微妙な違いがある。
肥育が進むとともに、牛の毛色は再び黒色が強くなり、ほぼ似た色に収まる。
育成時に毛色の違いがでる理由は、全てではないが、遺伝的に赤茶ける系統がある。逆に黒の強い系統もある。
例えば、第5隼福号の遺伝子を有する産子には、赤茶けるものが見られ、第7糸桜号のは黒が強いとされている。
また、飼料添加剤として販売されている海草や貝類から生成されたアルギットなどを与えるなど配合飼料の内容でも毛色に変化が生じ、特に影響を受けるのは、太陽光線である。屋外に放し飼いしている子牛は、総体的に赤茶けてくる。これも全てが揃うわけではないことから、紫外線の影響を受ける度合いが個々にちがうのだろうと予想している。
ところで、以前枝肉取引が行われていない頃は、牛の資質が肉質を判定するのに重要な審査項目であった。資質の項目にある被毛では、毛が細く柔らかく、毛色は真っ黒く無いものとされていた。真っ黒い牛は、いわゆる「さし」の入り具合が悪いという見方がなされてきた。ところが、第7糸桜号の出現でそれは完全に否定されることとなった。また、鳥取系統の牛は総じて 黒の強い毛色で、当時は差ほど肉質は良とされていなかったが、その後鹿児島県で体型の大柄な鳥取系統を基軸に肉質の良好な種雄牛が産出され、真っ黒のだめイメージが払拭された。
子牛市場では、同一品種だろうかと思えるほど、毛色が微妙に異なって見える。
購買者の好みにより、茶っぽい牛を優先的に競り落とすケースもある。毎年のことだから、おそらく良い結果を確かめているのであろう。

写真下は、運動場付きの飼育場で飼われている生後10ヵ月令の去勢牛群であるが、毛色はまちまちである。