牛コラム

肥育牛と美味しい牛肉のはなし

入力データを活かす(2)

2009-10-30 19:07:26 | 牛の管理




3)肥育成績を把握する
出荷後の肥育成績がパソコンによりリアルタイムで把握できる。
パソコンが苦手な担当者のために、出荷日毎に成績表を印刷表示する。
データ入力が50項目あれば、その項目毎や一月・半年・一年単位毎の肥育成績を統計的に算出する。
これらの全ての結果から、上位、平均、下位にランク付けし、それらのレベルの原因を調べる。
肥育成績に関連する項目を洗い出し、それらの相関関係を求め、より確率の高い分析結果を追求する。
個々の牛について、肥育中の疾病の有無と回数とそのトータル疾病期間を算出し、それらの結果と枝肉成績との関係を調べる。

4)肥育成績を活かす
①素牛選定に役立てる。
様々にあらゆる角度から求めた肥育成績を基に、子牛市場での子牛選定に活かす。
子牛生産市場毎の短期、中期、長期毎の肥育成績の傾向や素牛価格の動向などを基に購買先を検討する。
子牛生産者毎の肥育成績を参考にする。
導入月齢や導入時体重や生時からの推定DG、産次毎の成績を参考にする。
種雄牛三代祖の組み合わせ、つまり枝肉重量や肉質等について、母牛の相性の平均値及びバラツキの傾向を調べて参考にする。
これらの算出結果により、平均値やバラツキの傾向に一定水準のラインを設定して、子牛価格に反映させる。
素牛の選定で、これらの算出結果を参考にすることは不可避であるが、最も重要な選定項目は、子牛市場における入場子牛の健康状態や瑕疵の把握と体型の良し悪しを優先させることは云うまでもない。
子牛導入は、レベルの高い牛のみを選定するのではなく、求めた結果をもとに、その子牛の肥育成績を予測し、セリ価格をどの程度に反映するかが最大のポイントとなる。
子牛のレベルを上場直前の下見で、瞬時に総合的に判断する能力が最大のポイントでもある。

入力データを活かす(1)

2009-10-29 23:33:24 | 牛の管理



入力データの活かし方について

1)日常管理に活かす
個体検索により、特定の牛の様々な入力データを把握したり、同様に今どこの飼育牛房にいるかなどが瞬時に判る。
出荷牛の一覧表の作成により、牛の引き出しなどが個体毎に房番号が入力されているために、探す必要がない。
出荷牛の決定時に於いても、予定牛の一覧により、出荷条件が特定できて出荷牛の決定がスムースに出来る。
牛房に飼育中の導入日などを書き込んだ表示板を掲げているが、これらの記入データも入力データを参考に記入している。
出荷牛の一覧表表示にデータを活かせる。

2)様々な手続き等に活かす
導入時や出荷時の家畜改良センターへの異動報告に活かせたり、マルキン事業の新規登録や家畜共済への加入や出荷済み報告などにも活かせる。
出荷時の生産履歴の作成に活かせる。
共進会等出展時の申請書の作成に活かす。
行政調書等での頭数調べなどに活かす。
月ごとや年間の飼育頭数の把握が容易である。
年間の1頭1日当たりの飼育経費を算出する際に、1年間の全飼育日数が必要となるが、それらの算出が容易である。

出荷後のデータ入力作業(2)

2009-10-28 23:29:32 | 牛の管理


3) 出荷毎に肥育成績を一覧表表示する。
同ソフトsheet4は出荷牛の肥育成績を個体毎に表示するものである。
この一覧表は、出荷一覧表の個体牛欄に肥育成績を加えたものである。
出荷一覧表も肥育成績一覧表も個体毎のスペースは、縦に4行つまり4つのセルスペースがあり、牛の移動項目の列だけ、導入から仕上舎を表示するためにセルを4にしている。
そのため、他の項目は1行のみを使用していて空いている行に肥育成績を表示している。
出荷時のデータに加えて、①肉質等級②BMS値③ロース芯面積④背厚⑤皮下脂肪⑥歩留基準値⑦BCS値⑧枝肉重量⑨枝肉単価⑩枝肉価格⑪差益⑫と前体重⑬枝肉歩留⑭出荷先⑮瑕疵内容⑯賞歴を表示している。
この一覧表が前述の「肥育途中のデータ入力作業(2)」での写真の表である。

当センターでは現在、育成舎と仕上げ舎で合わせて約1,000頭を8名で、育成担当と仕上げ担当に分かれて管理しているが、この表を各人が待ってましたとばかりに閲覧している。
育成から仕上げまでに、どこの畜舎を経由したかが表示され、それらの成績が気掛かりなのである。
肥育成果を高めていくには、それらの意識がポイントになってくる。


出荷後のデータ入力作業(1)

2009-10-27 19:02:16 | 牛の管理




牛管理ソフトsheet1画面で、出荷後に入力する項目は①枝肉市場での上場番号②出荷月齢③と殺前体重④導入時からと殺前までのDG⑤枝肉重量⑥枝肉歩留まり(対と殺前体重)⑦枝肉単価⑧枝肉価格⑨販売牛の仕切価格⑩消費税額⑪単純差益額⑫枝肉等級⑬BMS値⑭ロース芯面積⑮背厚⑯皮下脂肪⑰歩留基準値⑱BCS値⑲枝肉の瑕疵、⑳共進会等の出品記録や賞歴などがある。
このうち、④⑥⑧⑩⑪は他の項目を入力することで自動的に表示される。
1) 出荷直後のデータ入力
出荷後、市場より上場番号とと殺前体重が送信(予め申請)されてくるので、それらを①と③に入力する。
2) 枝肉上場後のデータ入力
枝肉が上場されれば、⑤⑦⑨⑫~⑳を入力する。
⑱と⑲の間に他の格付項目にいても入力している。

出荷牛の選定から出荷までの事務作業(3)

2009-10-26 18:05:46 | 牛の管理



4) 生産履歴の作成
生産履歴は、カラー写真入りの独自なものを作成している。
同ソフトのsheet3画面で個々の出荷牛毎に印刷するが、この場合もsheet1画面にある通し番号を1頭ずつ入力することで、生産履歴は刷り上がる。
工夫することで、2桁枚数を連続して印刷できる。
老廃牛などの何らかの問題牛については、カラー写真抜きの生産履歴となる。
5)子牛登記書のコピーを準備する。
同コピーは、既に導入時の作業でコピーしておくため、それぞれの導入時の袋の中から取り出すだけで用は足りる。
6) 食肉市場出荷用の受付表(3枚複写)を記入する。
7) いよいよ出荷となれば、受付表、生産履歴、子牛登記のコピーをひとまとめにして出荷担当者に委ねることで、出荷までの事務作業が終わる。


出荷牛の選定から出荷までの事務作業(2)

2009-10-25 22:50:37 | 牛の管理



3) 出荷予定表の作成
出荷が予定された場合、各畜舎の担当者にその旨を知らせることと、出荷時に畜舎から引き出す牛の一覧になっているため、予定された出荷日毎に1枚ずつ印刷して掲示している。
管理用ソフトのsheet2では、その出荷予定表を作成する。
sheet2の画面で、sheet1に入力されている牛のデータ一覧から、出荷が予定された牛の通し番号を入力することで、出荷頭数分の諸々のデータが一覧表となって現れる(前述の成績表から赤字部分を入っていない状態の一覧表)。
同表は横並びに、①出荷番号②牛の管理番号③10桁番号④性別⑤産地⑥生年月日⑦導入日⑧導入価格⑨導入体重⑩父牛名⑪母の父名⑫母の祖父名⑬導入舎から仕上げ舎一覧⑭生後出荷月齢⑮出荷時体重のデータが表示される。
但し、⑮については、出荷時に測定するため、空欄となる。
また、同表の上方の鏡には、やや印字を大きくして、出荷日、出荷先が、共進会出品の場合は、その右後方に近畿東海北陸肉牛共進会などと表示させている。

出荷牛の選定から出荷までの事務作業(1)

2009-10-25 01:33:16 | 牛の管理



1) 出荷牛の選定
出荷牛の決定は、基本的には導入順であるが、同一時の導入牛が50~60頭いるため、個々の牛の仕上がり具合を日頃から注視しておき、出荷順を考慮して決定する。
出荷の履行途中で、肥育結果が思わしくない場合は、その後に導入した産地の異なる牛群を選抜して早出ししてその傾向を見ることもある。
週平均約12頭を2回に分けて出荷している。
2) 出荷前のデータ入力
出荷牛が決まれば、パソコン入力することとなる。
sheet1のデータ項目のうち、出荷前に必要な項目は、①出荷日、②出荷先市場名、③共進会等出品名である。
これらの項目に該当する牛について必要データを入力すると、導入時に表示された生後日令が、出荷日に合わせて、自動的に出荷月齢として表示される。
データ一覧の中から順不同で出荷予定が決まるため、出荷日等を入力したら、同一覧を出荷順に並び替えることで、その後の作業がスムースに行える。

肥育途中のデータ入力作業(2)

2009-10-23 19:21:17 | 牛の管理
パソコン画面は、横に際限がないので、当画面に表示できない。これらのデータから肥育成績を印刷して、肥育に携わる担当者らに見て貰っている。


肥育途中のデータ入力作業(1)の続きである。
2) 導入牛の到着直後や肥育状態に入ってからワクチンや薬品等を接種や投与した記録、傷病歴やその処置等の記録を行う。
3) 余暇仕事
牛管理ソフトにおけるデータ入力は、年毎に作成して保存している。
同ソフトは02年に作成し、その後若干の手直しを行いながら現在に至っているが、1年毎の保存に加えて、それとは別にこれらの生データーを経年的に加えて保存しているものもあり、こちらの方は年々ふくれあがっている。
ふくれあがったこれらのデータを基に調べることが多々ある。
詳細は、後日になるが、例えば、母牛の登録番号や名前から検索することにより、その産子つまり導入牛個々の兄弟牛の肥育成績が判明し、管理ソフトsheet1画面項目に兄弟牛実績を設けてBMS値を⑩⑨⑧⑪などと入力している。
データの中には無意味と判断してしまいそうな項目もあるが、これらの一つひとつに有効な要素が含まれているのである。
それらを旨く分析して、素牛選定や肥育技術に活かそうと目論んでいる次第である。

肥育途中のデータ入力作業(1)

2009-10-22 18:10:11 | 牛の管理



筆者が作成した肥育牛の管理用ソフトの内容は次のような構成になっている。
エクセル画面は、sheet1(データ入力)、sheet2(出荷一覧表)、sheet3(生産履歴)、sheet4(肥育成績)、sheet5(報奨金)、sheet6(共進会1)、sheet7(共進会2)、sheet8~10(その他)などとなっている。
このうち、sheet1は導入時から枝肉販売結果まで、その都度必要なデータを入力している。
導入時以降に生じた諸々の事実も細かに入力している。
1) 畜舎の移動記録
導入した牛舎とその牛房の番号、その後移動する毎に牛舎の番号と個々の牛房の番号とそれらの移動日を記録する。 
①導入舎②育成舎1③移動日④育成舎2⑤移動日⑥肥育舎⑦移動日⑧仕上舎⑨移動日からなり、これらの記録により、トリサビリティの記録として関連付ける目的とともに、肥育の経過が理解できる。
何れ書き込むことになるが、肥育経過の各ステージ毎に採血して、血中コレストロール値などから、餌の食い込みの程度を今後判断しようとしている。
これらの検査値から、ステージ毎の飼料給与管理の詳細が分析できることになるが、これらの結果をもとに係る担当者に理解させたり指導等に役立てるためである。

導入牛の受け入れ後の事務作業(3)

2009-10-21 22:20:17 | 素牛



素牛を導入することで、その異動報告のために、家畜改良センターへ個体識別番号をFAX送信する。
次に、マルキン事業(肉用牛肥育経営安定対策事業)への新規登録用の必要書類を整える。
家畜改良センターへFAX送信した内容と同じ一覧表、子牛市場での購買計算書の写し、同一市場毎に競り落とした個体毎の購買伝票のコピーの3種類を一揃えとして保管する。
一月ごとにそれらをひとまとめにして、畜産振興協会へ届けて、新規登録申請する。
この申請について当方では、管理番号順に一覧表として行うが、申請を受けた振興協会では、規則だからとか、ソフト上だとかで、その一覧表をご破算にして、その全てを生年月日順に並び替えた一覧表に作り直して差し戻し、押捺をして再申請させられる。
これを受けて、頭数分の加入金(7,000円/1頭)が請求される。
1月経った頃、1個体当たり3枚重ねの通知書が届けられる。
この通知書は、肥育が終了して出荷後、出荷先の食肉市場会社から販売証明欄に同会社から解体日と販売日を記入し、確認印を貰うことになっている。
また、枝肉を相対販売した時や死亡した場合も、同様の報告が必要となる。
これらの作業を行う際、この申請順が異なっているため、出荷牛をこれらの通知書の中から探すのに一苦労である。
生年月日順にすることに何の意味があるのか理解に苦しむところである。
当協会での事務処理を無理矢理複雑化して、無駄な作業をしいているに過ぎない。
高い加入金を科する生産者の事務処理は二の次である。
次の作業は、家畜共済に加入しているために、家畜が移動した場合は、報告する必要があり、個々の牛について管理番号、10桁個体識別番号、生年月日、性別、導入日を家畜共済組合の事務担当者に報告する。
これらの報告事務が終了したら、子牛セリ市場毎に封筒を準備し、その中へ子牛登記とそのコピー、購買計算書、購買伝票、生産履歴、子牛市場名簿を入れて、封筒の面に子牛市場名、導入日、性別毎の導入頭数をマジックインクで記録して、保管庫に保存する。
これで導入時の事務処理は終了する。