牛コラム

肥育牛と美味しい牛肉のはなし

オレイン酸

2018-01-26 23:44:26 | 和牛産業


食肉に含まれる旨味成分であるオレイン酸値の話題が取りざたされて久しい。
牛肉に含まれるオレイン酸が気がかりである。
オレイン酸値を高める要因については、様々に予測はなされているが、確実視される要因は定かではない。
血統だとか、穀類割合を高めるなどや、逆にモネンシンを投与している牛のオレイン酸値は低いとも伝わってくる。
また、BMS値の高い牛肉はオレイン酸値が今一だとか、3等級や4等級の方が高い値となるとも聞く。
最近、食肉市場で行政関係者のご尽力により、出荷牛の枝肉についてオレイン酸値が測定されている。
筆者の施設の出荷牛も約150頭測定して頂いているが、それらの平均値は56%を安定的に推移している。
これらの結果を上述の血統に因するかを父親や母体などとの関係を見てみても、その傾向は皆無である。
穀類に関しては、仕上げ配合の約58%程度でその割合が徳に多いとは判断し得ていない。
勿論、モネンシンの投与も実施していない。
等級による蓄積の分布については、BMS10~12については、平均的には50~55%以内に分布し、BMS5~9までに高い値が見られている。
肥育法の中身を吟味してみると、その影響を最も受けているのは育成期の粗飼料の内容と摂取量が深く関わっているのではと推測している。
導入後の2ヶ月間は良質のチモシーを、その後の2ヶ月間はチモシー・オーツヘイ・スーダンヘイをミックスした粗飼料に若干の稲ワラを咥えて給与している。
出荷月齢の平均は約30ヶ月令であるが、オレイン酸値の高いものは62.8%と60%を越す個体も多々いる。
推測に過ぎないが、粗飼料にその因があるとした場合、子牛市に出荷されるまでにチモシーなどの粗飼料を摂取している素牛を肥育した牛は、60%を超す傾向にあり、その逆であれば、平均値に到らないのではと考えている。
粗飼料の胃内における消化吸収過程における発酵の影響を推測している。

オレイン酸値の高い牛肉とBMS値の高い牛肉では、どちらが消費者様に好まれるのであろうかと気になるところである。
勿論それらの旨味の種類は異なるはずであるが、様々に食味体験をしたいものである。