牛コラム

肥育牛と美味しい牛肉のはなし

畜舎周りもアイスバーン

2012-01-25 22:27:21 | 牛の管理

昨日の朝は20cm余の降雪で、その影響から今朝の気温は氷点下7℃と下がり、周辺道路は国道を含めてアイスバーンで、老体には血圧を上昇させながらセンターへたどり着く有様であった。
折しも、今朝は出荷が予定されていて、除雪後のコンクリートフロアは昨夕からの雪溶け水が氷り、アイスバーンとなっていた。
アイスバーンのため、いつものローディングシュート(牛積み場)への牛の誘導が不可能なため、畜舎間の坂道を利用して坂下へ向かってトラックを止めて積み込むこととした。
脚を滑らせて、へたり込んだ牛は5~6人がかりで立たせようとするが、ガンとして動かない。
融雪剤を牛の周囲に撒くと、数分もしないうちに牛は、さっと立ち上がった。
しかし、数頭の牛はトラックに誘導するが、警戒心から、びくとも動こうとしない。
牛だけでなく人も足を取られながら四苦八苦の末、凡そ1時間を要して6頭を積載して出発した。
アイスバーンを予測して、融雪剤の常備は必要である。
他にトラックの使用目的がなければ、積載時間を遅らせるケースであるがやむを得ずの作業であった。




過肥

2012-01-09 17:16:22 | 肥育

写真の牛は忠冨士号の産子である。同牛の産子でなくても交配によっては、去勢牛の中に増体能力の極めて高い牛がいる。
体重が900kgを越しても、食い込みが留まらず、写真のように1トンに至る仕上げ牛が出る。
統計的には、枝重が重いほど肉質評価も高い傾向にあるが、写真のような牛は、必ずしもそうとは限らない。
腹容がしっかり閉まり、牛が涸れてくるまでには、未だ3~4ヶ月は必要だが、このような牛は、大食漢だけに経費がかさみ、それだけの肥育効果が期待できるかは、疑問である。
しかも、最近の市場では大貫物が敬遠される傾向にあって、3~4等級程度では競り価格も厳しく競り落とされる可能性が高い。
5等級であっても、その傾向は如実に見られている。
相場堅調であった頃であれば、枝重さえ稼げれは、赤字にはならなかったが、現況では飼料代等経費が嵩むだけ厳しい状況である。
このような大貫物になる原因は、増体系の血統であったり、濃厚飼料と粗飼料を混合させたり、どちらかと言えば、肥育末期まで粗飼料過多で食い込み量を制限しないままであった結果であろう。
育成期から、濃厚飼料と粗飼料のバランスを考慮し、結果的にDG値を0.75kg程度に抑えた給与体系を堅持する。
生後月齢20数ヶ月に至った頃からは、ワラなど粗飼料の給与制限を徐々に行い澱粉質の摂取割合を高くしながら肥育を進め、次第に仕上がり状態に移行させれば、月齢が進むにつれて配合飼料の食い込みも次第に減少し、旨く仕上がることになる。
個々の牛を担当者が常に詳細に観察し、仕上げへの流れを乱さないような飼い方へ持って行くべきである。






雪の初荷

2012-01-05 19:26:07 | 雑感

新たなる年を迎えたというのに、初手からこの年の動向が気がかりである。
様々な事象はさておき、一昨年から去年にかけての肉用牛業界は、世界的な経済不況に加え、伝染病や地震災害など深刻な影響を受けてきた。
それらの影響から、国民の消費動向が停滞する要因となった。
それらの傾向にだめ押し的な愚行とも思える焼肉チェーン店でのユッケによる食中毒で、内臓やもも肉への安全性を案じる風評被害を招く事態となった。
事態はそれだけに留まらず、年末を控えて食肉業界では消費好転を祈る思いで期待していた矢先、レバーに病原性大腸菌O157が検出されたとして生レバーの販売規制が話題になるなど、牛肉に対する風評被害を助長するに至った。
これらの情勢を引きずる形で新年を迎えたが、これらの消費環境の改善を期待するための諸条件が整う目処は皆無と言っても過言では無さそうである。
肥育分野では、子牛の生産頭数の微減が継続化し、素牛単価は40万円を越し、各種飼料の高値安定など肥育原価の高騰で肥育収支は厳しい状況が続いている。

生憎の積雪の中で、新年の初荷に8頭を積み込んだ。
牛体の清掃など牛にも人にも寒さを耐えて貰っての初荷となった。