税理士 倉垣豊明 ブログ

東京武蔵野市(三鷹)の税理士 相続税、贈与税等資産税対策、法人・個人向け税務・会計・会社法のブログ

会社の清算又は売却(税負担の比較)

2010-06-10 06:35:34 | 所得税
会社の清算又は売却(税負担の比較)

会社を清算する場合には、清算所得に対して法人税等が課され、残余財産から法人税等を控除した額の分配額に対して配当所得として株主に課税がなされる。一方、会社の売却は株式の売却であるので株主に対し譲渡所得として20%の申告分離課税となる。

[設例のよる比較]

甲は次の非上場会社Xの100%オーナーで、会社を清算するか売却するか検討することにした。
残余財産の額:50,000千円、資本金等の額:10,000千円、利益積立金:7,000千円、売却予定額:50,000千円

(1)清算の場合
イ、清算所得の額 33,000千円(=50,000千円-10,000千円-7,000千円)
ロ、法人税等 13,860千円(=33,000千円×42%)
ハ、株主配当金 36,140千円(=50,000千円-13,860千円)
ニ、配当所得の金額 26,140千円(=36,140千円-10,000千円)
ホ、所得税等の額 10,274千円(=26,140千円×50%-2,796千円),10,274千円-※3,312,960円=6,961,040円
※配当控除額=10,000千円×12.8%+(26,140千円-10,000千円)×6.4%=3,312,960円
ト、株主手取り額 29,178,960円(=36,140千円-6,961,040円)

(2)売却の場合
イ、売却額 50,000千円
ロ、譲渡所得金額 40,000千円(=50,000千円-10,000千円)
ハ、所得税等の額 8,000千円(=40,000千円×20%)
ニ、株主手取り額 42,000千円(=50,000千円-8,000千円)

この設例の場合は、売却のほうが清算よりも株主手取り額が約12,821千円多くなります。対象となる会社の財務内容等により状況が変わってきますので、具体的事例により計算してその方法を検討する必要があると思います。

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