どこまで成長すべきかとは、言い換えれば、企業にとっての適正規模の問題です。
ミクロ経済学では、企業に適正規模(利益が最大化される企業規模)があるといわれます。
しかしながら、本来、社会に貢献していくことを企業目的と考えれば、貢献に適正水準などないはずです。
あるとすれば、経営者が、社会に対し、貢献する方法(これを、成長機会という)を見出していないことが原因です。
よく、私は、「どこまで、会社を大きくつもりですか?」と聞かれることがあります。
この質問に対して、「会社が潰れるまでです。」と即答します。
会社が潰れる原因は、会社が社会に貢献できなくなったことであり、すなわち、社会的使命の終焉といえます。
船の舵取りと同じで、会社の規模が大きくなるほど、舵取りは難しくなります。それは、経営環境の変化への対応が困難になるからです。
船は、大きくなるほど安定して見えますが、小回りは利かなくなります。 従って、小さな船(会社)の方が操縦はしやすく、環境変化にも早く対応ができます。
そのため、経営者の中には、自分が舵取りできる水準での会社の規模を適正規模と考える人もいます。
しかし、会社が公器であるとするのなら、会社の規模は、社会の利益で判断すべきです。社会は、より大きな貢献を我々に求めているので、社会的観点から企業規模を決めなくてはならないのです。
従って、企業を大きくするとは、すなわち、小回りが利かない会社になることであり、社会的変化に耐えられなくなり、倒産するリスクも増します。
そのリスクをあえて取れるか否かが、経営者の志・社会的使命感の高さだと思います。私は、そのような経営者になりたいと思っています。