和井弘希の蘇生

桂信子先生に師事。昭和45年「草苑」同人参加。現在「里」同人「迅雷句会」参加

鳥雲に入る/今日の俳句 ≪第2088号≫

2016年03月27日 05時18分30秒 | 今日の俳句

≪2016年(平成28年)3月27日(日)≫(旧暦2/19)



 鳥雲に鏡に微熱ある如し
      河原枇杷男

 鳥雲に止まる円周上の電車
       斎藤夏風

 鳥雲にもの思ふとき目をつむり
      片山由美子

 鳥雲に忘れしことの限りなく 
      甲田鐘一路

 鳥雲に娘はトルストイなど読めり
       山口青邨


※ 鳥雲に入る・鳥雲に。
 春、北方に帰る雁・カモ・ハクチョウ・ツルなどの大きい鳥が一群ずつとなって雲間はるかに見えなくなることを季語として固定させたもの。短く、「鳥雲に」と略すこともある。
 これは「鳥帰る」などと比較して情景が具体的であり、はるかに見送る情感がある。しかしツグミなどの小鳥は大集団で来るが、帰北の際はぽつぽつと目立たず去ってゆくので、雲に入るといった光景は見られない。むしろ季節を象徴する季語として多く使われている。『和漢朗詠集』の「花ハ落チテ風ニ随ヒ鳥ハ雲ニ入ル」以来、古巣に帰る鳥として古くから詠まれてきた。
→鳥雲・雲に入る鳥・雲に鳥。

【「新版・俳句歳時記/第四版/監修・桂信子ほか」(雄山閣)より転載】




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       ※☆*わが友に贈る*☆※


  自身の弱さに勝つ人が

  真の勝利者だ。

  わが目標へ向かって

  一歩でも前進を!

  新たな歴史をつくれ!


       2016年3月27日



       ※☆*寸 鉄*☆※


 学会は人間の精神性高め利他的な社会をつくる―識者。立正安国の大道を
      ◇
 男女青年部が颯爽と対話拡大!全員が新時代の主役。青春の勝鬨響かせよ
      ◇
 妙法の力で何百倍と変毒為薬し、大功徳を開ける―恩師。題目第一で挑戦
      ◇
 他人の美点を称える人の魂は無限に豊かに―哲人人材の育成は尊敬の心で
      ◇
 高齢運転者による死亡事故、4割に認知機能の衰えと。周囲も注意怠らず

【聖教新聞:2016年(平成28年)3月27日(日)付】



      ※☆*名字の言*※



福島・いわき文化会館の「新生 東北“福光桜”」のつぼみが膨らみ始めた。厳冬を越えて開く花は、「冬は必ず春となる」と教えてくれる。それは、人の姿も同じだ



「うつくしまフェニックスグループ」(原発事故等の影響で福島県内外に避難した友)の首都圏大会が先日、東京で行われた。終了後、震災以前に住んでいた市町村別の懇談会が持たれた。そこで、発言の順番が回ってきた一人の女子部員が泣きだしてしまった



彼女は目が不自由で、人の顔も判別できないほどだった。医師は「回復は難しい」と言ったが、手術を決意。その話を各地に避難する多くの同郷の友が聞き、電話で彼女を励まし続けていた



友の真心に包まれて臨んだ手術は見事成功。視力は驚異的に回復した。懇談会の場で彼女が聞いたのは、忘れられない「励ましの声」だった。そして目にはっきりと映るのは、その声の持ち主である友の顔、顔、顔……。感謝の思いが込み上げ、涙を抑えることができなかったのだ



出口のないトンネルはない。闇の中にいると、出口が見えないだけだ。諦めずに「勇気の一歩」を踏み出せば、希望の光は見えてくる。そして、勇気をわき立たせてくれるもの――それは、どんな時も絶え間なく注がれる励ましの声である。(城)


【聖教新聞:2016年(平成28年)3月27日(日)付】


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〈聖教歌壇・俳壇〉 2016年3月23日

2016年03月27日 04時13分24秒 | 今日の俳句
〈聖教歌壇〉
 ◆秋葉四郎選

 子は明日二十歳とぞなるランドセル忘れて登校せしあの娘よ(山口県)田中道子
 【評】一読何とも楽しい。ランドセルを忘れるくらい学校が好きだったのだろう。大器を思わせるエピソード。「二十歳」はめでたい。

 放課後の見守りつづけ十二年児らに励まさる高齢われは(東京都)田嶋美代子
 【評】学童の健全育成見守りボランティア。その奉仕を十二年続けた作者をその子どもらが励ますという。地域の心の交流のさまである。

 遙々と異国の地より白鳥は我が里選び降り来て遊ぶ(長野県)猿田鈴子

 父母もはらから五人も世を去りて吾ひとりのみ卆寿を生きる(千葉県)杉山繁子

 九十を過ぎし夫と二人して散歩する道声かかるなり(神奈川県)松原てい子

 新聞を手に取り見れば暖かいほのかに残るインクの匂い(千葉県)歌野文男

 つぎつぎと散りて行きたる疎開の日七十年を経て思ひ出す(茨城県)三田三千夫

 ◆道浦母都子選

 くじけそうな心が逃げていかぬよう靴ひもしっかり結び直せり(兵庫県)玉川朱美
 【評】弱い自分を、いましめているのだろう。「靴ひも」以下の具体で、三句までを支え、何かを訴えたい一首となっている。

 吊革にその日の疲れ預けてる若者に見る遠い日の吾(大阪府)佐伯弘史
 【評】かつての自分もそうだった。そんな思いで見ているのだろう。「疲れ預けて」の表現が生きている作。

 庭さきの水仙の花楚楚と咲き匂い寂かに元日の朝(兵庫県)吉村正子

 山茶花も寒椿もまた蝋梅もモノトーンの冬を彩りて咲く(神奈川県)白崎道忠

 かの日母が植えし水仙こんなにもはびこり咲けり墓のめぐりに(福岡県)川上憲吾

 手のひらにうかべて見たい横顔に秘密隠しているような月(神奈川県)石垣路子

 ガス管を埋める工事のガードマン振り向き見ればか細き女性(愛知県)折目恵子

〈聖教俳壇〉
 ◆坪内稔典選

 丸三角四角散らばるおでんかな(東京都)矢部誠
 【評】このような見方をしておでん鍋をのぞいたことがなかった。それだけに新鮮、しかもリズムのよさがおでんのうまさを伝える。

 埋もれてとび跳ねて出る雪の犬(大阪府)菅原イツヱ
 【評】犬のようすが生き生きとしている。たとえば屋根から落ちた雪が犬を埋めたのだろう。
 
 わがつくる河馬の玩具や冬ごもり(大阪府)山本隆

 身の内に大河を流す寒の水(東京都)菊池敏

 一月の雲の行き来を目で追って(東京都)伊藤加代子

 雪の道歩けば遠き最寄り駅(福岡県)川添さとみ

 麦の芽に風の止みたる夕べかな(茨城県)中村善次郎

 ◆田中亜美選

 電飾の取れて裸木深眠り(千葉県)野口雅子
 【評】冬の夜を彩る街路樹の電飾。一方、木はそうした飾りが取り払われたあと、落ち着くのかもしれません。「深眠り」に作者の情愛が感じられます。
 
 初明り硝子の馬に虹生るる(埼玉県)足立亢
 【評】初明りは元日の明け方の光。清潔感のある光が、硝子の馬のイメージと響きあっています。「虹生るる」によって、躍動的な詩情が生まれました。

 群雀翔つとき霜のさわがしき(奈良県)冨田シゲ子

 雨粒の膨らむ梢冬桜(神奈川県)青木敏行

 凍空の青きシリウス揺らめいて(宮城県)名取しげ子

 登園の児に教えたい冬の虹(神奈川県)山崎晴美

 今日の宿目指す車窓や日脚伸ぶ(福岡県)藤上キヨカ

 投稿規定
 選者指定の上、はがき1枚に3首(句)まで、未発表の自作に限ります。短歌と俳句を併記しないよう、また、他社との二重投稿にならないよう、ご注意願います。掲載に際し、選者が添削する場合があります。宛先は〒160-8070 聖教新聞編集局「歌壇俳壇係」。住所、氏名、年齢、職業、電話番号を明記。メールで投稿する際は、〈kadan-haidan@seikyo-np.jp〉まで。件名に選者名(1人のみ)を明記。採用分には全国共通図書カードを贈呈。掲載された原稿が当社のウェブサイトに掲載されることもご了承ください。

【聖教新聞:2016年(平成28年) 2016年3月23日付】