goo blog サービス終了のお知らせ 

みんなの畑の日記~農業実践教室

フォトシンセシスが運営する農業実践教室の講義の内容、様子を公開。週末を活かして野菜作りを学びたい方に。

農業実践教室第24期:準備中~食酢という特定農薬について思うこと

2018-01-08 17:44:42 | Weblog

 

農業実践教室では、毎年トマトにとても力を入れています。

冬のBLOF理論入門講座での太陽熱養生処理の場は、トマトのハウスにしています。なので、年が明けてから色々と準備をしています。

 

トマトは、つくづく農薬不使用で栽培するのは難しいなあと思います。

ですが、もちろん、今年も農薬不使用でチャレンジ!

あ、でも、お酢は使いますけれどね!

 

・・・と、あえてお酢について触れたのは・・・。

そう、有機JAS規格(わからない人は検索してくださいね!)では、食酢は「肥料および土壌改良資材」(これは違和感なし)であると同時に、「特定農薬」というということで、農薬のカテゴリーにもくくられているのです。

 

ちなみに、特定農薬というのは、「農作物の防除に使う薬剤や天敵のうち、安全性と薬効が認められた物」という定義です。たとえば、食酢以外に重層、天敵生物等分かりやすいものから、性フェロモン剤、水和硫黄剤等一般的には分かりにくいものまで、対象は様々です。性質も様々です。

 

一応念のため・・・特定農薬は、使ってはいけない農薬ではなく、使っても良い農薬です。使って良いけれど、「農薬」を使ったことになります。

「有機JASの畑でも農薬を使ってんじゃん!」とおっしゃる方たちの根拠は、この特定農薬にあります。

 

 こうなると、食酢が農薬としてくくられている理由を知りたいですよね。

 

「殺菌効果があるから」だそうです。

→農水省のwebサイトに書いてあります。

 

は???ですね。

 

農薬を使いたくないから、すごい勉強と努力と工夫を重ねて見つけ出した「食酢」をわざわざ「農薬」という言葉を使ったカテゴリーに入れてしまうという。

ちょっと語彙が貧弱過ぎやしないか、思います。

語彙が貧弱でなければ、そのカテゴライズのセンスが悪いです。

農水省のwebサイトを見て驚いたのは、「特定農薬」の候補として広く情報を募集したところ、「雑草抑制シート」「アイガモ」「アヒル」「うし」「鯉」も挙がってきて、それらはさすがに農薬ではないだろうということで外されたとのこと。

どんな質問の仕方だったのでしょう。興味深いです。

しかし、防草シートやアイガモと同じで、食酢だって「さすがに農薬ではないだろう」という対象だと思うのですが。だって、日本人は長い歴史の中で酢を摂取してきて、短命ならともかく長寿国ではないですか(最近は長寿の質が問われていますが、それはさておき)。

 

「農薬」という表現はちょっと・・・ということで、後から「制度の趣旨を分かりやすくするために」、「特定防除資材」と呼んでも良いことになったようですが、そーゆーことではないと思います。

 

効果があるのであれば、健康に良くて大評判の〇▲菌だってそうだし、〇が▲だって作物を健康体に育てるために効果があります(→その結果、病気になりにくい)。っつか、効果があるということがバレてしまうと、どんどん特定農薬のカテゴリーに入れられてしまうようなので、もうバレないように情報は封印です!

 

それと、もう一つ。

殺菌レベルまで濃度の濃い状態で食酢を使うと、植物体も死ぬリスクが高くて、違う意味で怖いです。

 

農業実践教室では、やりましたよ。

酢でいくつもの野菜をダメにしてきました。その結果もまた貴重なノウハウの一つとなっていますが。

教室では、殺菌目的で酢を使ったわけではなく・・・。余計なことは言わないでおきましょ。

 

というわけで、有機JAS認証の圃場は、酢を使えば「農薬を使っていません」とは言えないことになります。

農業実践教室の畑は、私が有機JAS検査員をやらせてもらっていて特定農薬のことを知っているがゆえ、直売所のお客さんや通りすがりの人に「農薬を使っていないの?」と聞かれるたびに、特定農薬のことが頭の中をぐるっと一周して、さて、どこまで正確に答えたら良いのかな・・・と迷います。教室では、この辺のこともとても丁寧に説明しますが・・・。

 

ちなみに、有機JAS認定の畑は、安全性(化学物質による汚染対策)にはとっても気を使っている場合が多いです。たとえば、農薬を使っている畑が隣にあれば、風や雨で農薬や化学肥料が流れてこないよう対策を講じているか、ということは重要なチェックポイントですし、畑でたばこを吸っちゃだめだし、虫よけスプレー使用もNGです。そこまでの努力を積み重ねているのに、酢を使っただけで「農薬を使った」(消費者にとっては、”農薬”という言葉の有無が大事!)という扱いになってしまうので(土壌改良資材で使いました!といえば良いのかもしれませんが・・・)、気の毒です。そして、なんだか分かりにくいです。

 

というわけで、農業実践教室、日本で古くから食されている「食酢」という、肥料及び土壌改良資材兼特定農薬をちょいちょい使って農業をしています!

特定農薬のカテゴリーが変わるのは、なかなか難しいようなので、特定農薬(特定防除資材)のことを一人でも多く理解してくれるといいな!と思っています。

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪ 農業実践教室からのお知らせ ♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

フォトシンセシスでは、現在、下記の参加者を募集しております。

農業実践教室春夏野菜コース(2018年3~7月)

毎週土曜日・水曜日に現地説明会も開催しております。

直近の説明会日程は下記の通りです。

・1/10(水)10:45~12:00

・1/13(土)10:45~12:00

・1/14(日)10:45~12:00

・1/17(水)10:45~12:00

・1/20(土)10:45~12:00

・1/21(日)10:45~12:00

お気軽にご参加ください→お申込み・お問い合わせはこちら

上記日程で都合が合わない方は、ご相談ください!→こちら

 ②科学的有機栽培で育てた固定種大豆で作る味噌づくり講座

農業実践教室の畑で、科学的有機栽培で育てた固定種(小糸在来)で作る味噌づくり講座です。持ち帰り味噌の量は約3kg(出来上がり量)です。一般の方もご参加いただけますので、お気軽にご参加ください。

 ・1回目:1月20日(土)10:30~12:30 残席1名

 ・2回目:2月10日(土)10:30~12:30 残席8名

 詳細はこちら

 お申込み・お問い合わせはこちら

BLOF理論入門講座(2018年1/13,1/14,1/27,1/28)

 「Bio Logical Farming:生態系調和型農業理論」にご興味のある方ならどなたでも受講いただける講座です。こちらの内容は、農業者はもちろん、飲食店経営者、食品関連事業者、医療関係者等幅広い分野の皆さんに役立つものと感じております。最先端の科学的有機栽培を多くの方に知っていただければと思います。

 ★★現在募集中の講座のお申込み・お問い合わせはこちら 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿