さて、また中国の話に戻りましょう。
今日は、中国庶民の台所「自由市場」の話。フフ、少しずつ農業に近づいてきました。農業の話をする前に、中国の流通のイメージを持っていた方が面白いと思うので、もう少しひっぱりますよ~。
さんざん中国のスーパーの話をした後で言うのもなんですが、実は、中国では一般的な庶民は野菜等の生鮮食品は「自由市場」という市場で購入しています。
「市場」というと、日本では朝早ーく築地などで開かれる卸売市場を想像される方も多いかもしれませんが、自由市場は「小売市場」です。小売市場って関西ではなじみがある言葉だと思うのですが、関東の人は聞きなれない言葉ですね。言ってみれば上野(御徒町)の「アメ横」みたいな感じでしょうか。道端でチョコっと売っているパターンもあれば、道の両脇にズラーリと店が並んでいるパターン等様々な形態があります。
今回の旅行で足を運んだ自由市場は、中国でも東北部、黒龍江省の双鴨山市。ロシアとの国境まで130㎞という地域です。
下の写真は、双鴨山市の比較的大きな自由市場の入り口です。ちょっと入り口はさびしいけれど、その奥にはたくさん店が続いています。
市場でトマトばっかり売っている農家さんです。あまりにも売り場が赤いので、ある意味とても目立ちました。
パイナップルを売っています。手前のパイナップルは日本でも見たことのある外観ですが、奥の方は、きれいに皮をむいていて、その姿がちょっとカワイイ♪
下の写真は、手広くいろいろ作ったものを売っている農家さんです。野菜も白菜、キャベツ、たまねぎ、じゃがいもなど複数あります。
この農家さんは、在庫も下の写真のようにすんごくたくさんあります。かなりの量です。
この農家さんに「シアワセですか?」と聞いたら、「シアワセ♪」と答えてくれました。
市場に出店するには、出店料を行政に支払うそうです。
市場に出店している人ですが、じつは2種類いるようです。
先ほどさりげなく「農家さん」と書きましたが、農家さんが直接売っている場合と、農家さんから野菜を集めて、市場で売ることを仕事としている、日本で言うと、産直小売商みたいな人たちがいるのです。
先ほどの、トマトばかり売っていたり、多くても品揃えは3~4種類程度など品揃えに偏りがある場合は農家さん。品揃えが幅広いものが産直小売商のものだと見ていいようです。品揃えが豊富なタイプは、こんな感じ。
立派なテントがかかっていたり、陳列棚が少々かっこよかったり、確かに言われてみれば・・・という感じです。
もう一回農家さんの売り場写真と比べてください。違いがよーく分かると思います。
ちなみに、中国では78年に解放政策に方針を転換した後、人々の生活レベルは急速に向上した一方、解放政策に則り実施された国営企業の民営化が企業の「効率重視政策」を推進、その結果、大量に従業員が解雇され、失業者が急増しました。こうした失業者の中でも、意欲と能力のある人たちが都市部などで続々と起業していますが、自由市場で産直小売をしている人もまた、そうしたパターンで起業した方も多い、と地元の方に聞きました。
さて。では、農家さんの方はというと、同じ農家さんの間でも、店にはかなりのレベル差があります。先ほど「シアワセ♪」と答えてくれた農家さんはかなりの規模の野菜を持ってきていますが、下の農家さんは本当に少しだけです。
農家さんが直接販売するパターンは2通りあるようです。
ひとつは、小規模な農家がその日収穫した農産物で自家消費しきれない分を販売するパターンです。これは、日持ちしない農産物を小規模なスペースで販売するケースが多く、取り扱いアイテムは葉物類等が多くなるようです。上の写真の農家さんは、このタイプです。
もうひとつのパターンは、大規模な農家が大量生産した農産物を農閑期に販売しにくる、というパターンです。こうした農家さんは、日持ちのする根菜類を中心に取り扱っており、小売販売だけでなく、事業者を相手にした卸売販売も手がけているみたいです。シアワセと答えた農家さんは、こちらに相当しますね。
農家さんが直接販売することが多い自由市場の野菜類は、新鮮なものが多く、価格も安いです。たとえば、自由市場ではニラが2束1.5元、トマトは旬の時期で1キロ2元です。これがスーパーの場合5月時点でトマト5個2.74元、この鮮度と価格が大きな魅力で、市場には大勢の買い物客が訪れています。
そうそう、下の写真のような乗り物に商品をたくさん積んで農場からやってくる農家さんが多いようです。
タイで見た「ティキティキ」という乗り物に似ています。ちょっと乗ってみてみたい気がします。
以上、今日は、中国の自由市場のお話でした!