子どもの健康

子どもたちの健やかな成長を願って、子どもに関する小児科医の雑記

風邪のイメージ

2007-07-25 15:41:02 | 雑記
もなさんは以下の様な発熱を訴えて外来を受診したお子さんの診察場面の会話をみてどう感じるでしょうか。

保護者 「咳も鼻水もないし原因はなんですか?」
医師  「風邪の熱だと思いますよ」
保護者 「じゃ、のどは赤いのですか?」
医師  「のども真っ赤というほどではありません、でも、風邪だと思います」
保護者 「それで、この風邪はうつりますか?」
医師  「うつってもおかしくありません」

まったく保護者と医師の会話は噛み合っていないのは、風邪というもののイメージが双方でまったく違うからだと思います。

この場合に患者側である保護者は、風邪を症状からイメージし、医師は原因からイメージしています。
風邪ならのどが赤くて、咳や鼻水でているといったイメージは必ずしも間違いではありません。
ただ、風邪を原因の面から急性の自然治癒するだろうウイルス感染症全般としてイメージすると、必ずしも喉が赤く咳や鼻水といった症状にこだわる必要はありません。熱だけが主症状のこともあるだろうし、下痢や嘔吐などの消化器症状が主体のこともあるかもしれません、発疹や結膜炎を伴う様なものもあります。そして、ウイルス感染症なのでうつります。

もう少し補足すると、風邪(ウイルス)がうつったら必ず発症するかというそうではなく、その風邪(ウイルス)に十分な免疫がある方はうつっても発症することはなく、免疫が不十分な方が発症してしまいます。ただ、発症せずに済んでもその風邪(ウイルス)を他の人に伝搬する可能性はあります。
人は一見何の症状もなく健康な状態でも、いろいろな細菌やウイルスと共存しています。
代表的は例では、乳児の突発性発疹症の原因ウイルス(ヒトヘルペスウイルス6型や7型)は、ある年齢以上であればほとんどの人がウイルスを保有していて、子どもに対する感染源は保育者である大人であることが多いと考えられています。

医師は出来る限り患者さんに分りやすく説明する責任があると思いますが、限られた診療時間の中で完全に説明することは難しく、ある程度は医師を信頼してもらえると助かります。

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