子どもの健康

子どもたちの健やかな成長を願って、子どもに関する小児科医の雑記

ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの現状(May.2021)

2021-05-12 09:09:02 | 雑記
世の中は新型コロナワクチンの話題で持ちきりですが、
HPVワクチン接種への意識は薄れてきているように感じます。

厚生労働省の「積極的な接種勧奨を差し控え」の通知が出てもうすぐ8年になります。

HPVワクチン接種は廃止になった訳ではなく、
希望があれば定期接種として対象者は無料で接種を受けることが出来ます。

2019年に書いた記事「ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの現状」の時と接種希望者の状況は大きく変らず低迷しています。

この間に、ガーダシル(4価ワクチン)が2020年に9歳以上の男性への接種適応を取得しました。

また、2021年4月に9価ワクチン(シルガード9)がやっと日本でも発売されました。

子宮頸がんワクチンなのに男性への接種?と思うのではないでしょうか。
このHPVウイルスは、中咽頭がん・肛門がん・陰茎がんなど男性のがんの原因にもなります。
トパピローマウイルス(HPV)は性的な行為で感染することが分かっているので、
男女問わず予防することが重要と考えられます。

男性への接種は、アメリカ、イギリス、オーストラリアなど海外では公費接種になっている国もありますが、
今のところ日本では任意(自費)での接種となります。

9価ワクチン(シルガード9)も発売にはなりましたが、
定期接種のワクチンになっていませんので任意(自費)での接種となります。
いずれ定期接種ワクチンになると思われますが、時期は未定です。

定期接種の対象は小6〜高校1年で、半年かけて3回接種となります。
接種期間に余裕のある場合はしばらく状況をみてもよいのかもしれませんが、
(ただし初めての性行為前に接種する事をお勧めします)
接種期限に余裕のない場合(現在高校1年)は、今出来るガーダシル(4価ワクチン)での接種を考えて下さい。