子どもの健康

子どもたちの健やかな成長を願って、子どもに関する小児科医の雑記

かぜ薬

2007-10-24 19:33:58 | 雑記
「米食品医薬品局(FDA)の小児医療に関する諮問委員会が、医師の処方なしに買える風邪薬やせき止め薬は、子どもへの効果が確認されていないとして、6歳未満の子どもに使うべきではないとFDAに勧告した。」といった内容の報道がありました。

日本のことではないので関係ないと思うかもしれませんが、今一度かぜ薬(市販)について考えてみたいと思います。。

いわゆる市販のかぜ薬は、風邪を原因から治すような薬ではなく、熱・咳・鼻水といったかぜ症状を一時的に緩和させるための薬で、その成分は解熱剤(アセトアミノフェン)、鼻水止め(抗ヒスタミン剤)、咳止め(メチルエフェドリン、リン酸ジヒドロコデインなど)、去痰剤、など通常4~5種類の成分が混合されたものです。
通常の風邪であれば、薬を飲んで様子をみている内に自然に風邪自体が治ってしまうことが多いとは思います(薬を飲まなくても無理せず休養していれば治ると言う事)。
ただし、かぜ薬を飲んだ時には、熱等が下がったからといって治ったと思い、実は解熱剤の効果で一時的に下がっていただけで風邪自体治り切っていないのに無理をしてしまうようなことにもなりかねないので逆に注意が必要ですし、またいろいろな症状が覆い隠されてしまい気をつけなければならない様な病気の発見を遅らせてしまう可能性も考えられます。

少なくとも子どもに関しては、かぜ薬(市販)はあえて飲む必要はない薬と言えます。
風邪気味だからということで薬の効能より安易に飲むことの弊害のほうが大きいのではないかとも考えられます。

先のFDAへの勧告の意味はこのようなことではないかと思います。