子どもの健康

子どもたちの健やかな成長を願って、子どもに関する小児科医の雑記

自分で考えること

2019-02-11 12:50:26 | 雑記
インフルエンザの流行もとりあえずはピークを過ぎた印象です。

毎年インフルエンザの流行期になると、インフルエンザに関する多くの情報が飛び交います。

最近毎シーズン
「熱の高くないインフルエンザが流行っている」
と言うことをよく耳にします。

果たして本当なのでしょうか?

感染症(一部例外あり)には、不顕性感染といって病原体に感染しても症状を発症しない場合があります。
感染症の症状は、この不顕性感染(症状がない)の人から典型的な症状の人まで症状に幅があります。

外来でインフルエンザの検査が出来るようになる前(ほぼ20年以前)は、
インフルエンザでも典型的な症状の人はインフルエンザかもと予測はできる程度(確定はできない)で、
軽い症状の人は風邪と扱われていたと思われます。

以前から「熱の高くないインフルエンザ」は相当数存在しており、
最近は、検査でこの症状の軽いインフルエンザの診断が可能になっただけと考えられ、
「熱の高くないインフルエンザ」の人も多くいると言うことはできますが、
インフルエンザの特徴として「熱の高くないインフルエンザ」が流行っている訳ではなく、
インフルエンザの特徴が今までと変わったわけではありません。

ネットを介して、有用な情報にアクセスすることは容易のなったと思いますが、
それ以上に根拠のないのない情報がが氾濫しているのも事実です。

多くの情報の中で、個々の情報をすぐに鵜呑みにするのではなく少しでも自分で考えてみることが大切だと思います。

知らない間に、考えることをせずに情報に管理されてしまう社会になってはいないでしょうか。

予防接種の推奨と定期接種のギャップ

2018-09-02 20:51:43 | 雑記
8月に日本小児科学会が推奨する予防接種スケジュールを更新しました。

参照:「日本小児科学会が推奨する予防接種スケジュール」

新たな変更は、

1、就学前の 3 種DPT(ジフテリア・破傷風・百日咳) 混合ワクチン・不活化ポリオワクチンの追加接種
  (今のところ4種DPT-IPV(ジフテリア・破傷風・百日咳・不活化ポリオワクチン)混合ワクチンの5回目の接種は日本では承認されていません)

2、2種混合DT(ジフテリア・破傷風)ワクチン2期接種時に、DTのの代わりに3 種DPT(ジフテリア・破傷風・百日咳) 混合ワクチンの接種(ただし、任意接種)

現行の定期接種後の百日咳とポリオの抗体価低下に対応した推奨となっています。

不活化ポリオワクチンの接種は、海外では最後の追加接種は4歳以上が標準となっています。
(日本とほぼ同様の時季に4回接種している国は4歳以降に5回目の接種としています、4回接種の国は最後の4回目の追加接種を4歳以降に接種しています)

百日咳を含む3 種DPT混合ワクチンの接種も、百日咳の抗体価低下を理由に、アメリカでは日本に乳幼児期の4回摂取に加えて、4〜6歳と11〜12歳での背接種が行われています。
また、出生後からワクチン接種をしていない赤ちゃんを百日咳から守るために、妊婦(27週〜36週)に3 種DPT混合ワクチンの接種が推奨されています。
*アメリカでは、3種混合ワクチンにワクチンに含まれる抗原の量が違う「Diphtheria, tetanus, and pertussis (DTaP) vaccines」と「Tetanus, diphtheria, and pertussis (Tdap) vaccines」の2種類があり、7歳以下にはDTaP vaccines、8歳以上にはTdap vaccinesを接種します。
*日本で妊婦に対する3 種DPT混合ワクチンの効果・安全性の評価は確定していません。

実際の状況からワクチン接種が推奨されても、すぐに定期接種になる訳ではありません。

色々な効果や安全生に対する手続や予算の獲得などを経て予防接種が定期接種化されるまでには時間がかかります。

この時間的な空白の期間は任意接種として自費でワクチンを接種することになります。

今は定期接種となっている、ヒブワクチン・肺炎球菌ワクチン・B型肝炎ワクチン・水痘ワクチンも他国に比べ日本は定期接種化されるのにかなり時間がかかりました、、(水痘ワクチンは日本で開発されたにも関わらず)。

今後、おたふくかぜワクチンや上記した3種混合ワクチンやポリオワクチンの接種は定期接種化されていくものと思われます。

ワクチンで予防できる感染症からこどもを守るためにワクチン接種を考えてみて下さい。

風しんの流行

2018-08-22 22:04:47 | 雑記
千葉県で風しんの報告が増えています。

多くは20歳以上の成人で、40〜50代を中心に成人男性の報告が多くなっています。

風しんは妊娠20週ごろまでの妊婦さんが罹ると、胎児の障害(先天性風しん症候群)をきたす可能性があります。

2012〜2013年に風しんが流行した際には、その後全国で45例の先天性風しん症候群の報告がありました。

その時に、風しん罹患歴のない方やワクチン接種歴の不明な方(2回接種推奨)に対して風しんワクチン接種が呼びかけられまししたが、流行が終わるとなんとなく世間での意識も薄れてしまっていました。

流行が始まるとワクチン接種希望者が増え、前回の流行時にもワクチン不足になりました。

今年も、沖縄や愛知などで麻しんの流行があり、麻しん風しん(MR)混合ワクチンの流通が一時滞りました。

流行が繰り返されるたびにいつも同じ事を繰り返しているように思います。

同じことを繰り返さないよう、流行に関わらず風しんや麻しんに罹患歴のない方やワクチン接種歴の不明な方(2回接種推奨)はワクチン接種を考えてみてください。

2年後にはオリンピックで世界各地の人たちが日本に来ます。
海外の方が安心して日本に来てもらうためにも、また自分自身や同胞社会を守るためにもワクチン接種は必要だと思います。

日本脳炎ワクチンの接種開始年齢について

2018-07-11 22:56:48 | 雑記
日本脳炎ワクチンの標準的な接種開始年齢は現在のところ3歳となっており、
松戸市でも3歳に接種通知が行われています。

但し、日本脳炎ワクチンは生後6カ月から接種することが可能で
感染のリスクの高い地域に住んでいたり、海外の流行地域に渡航・旅行などする場合には3歳未満での接種が推奨されています。

参照:「日本脳炎罹患リスクの高い者に対する生後6か月からの日本脳炎ワクチンの推奨について」(日本小児科学会:2016年02月23日)

日本脳炎は人から人に感染することはありません。
通常は、日本脳炎ウイルスを保有する豚を吸血した蚊に刺されることで感染します。
(但し、刺されたらみんなが発症するわけでばなく、発症するのは感染した人の100〜1000人に1人程度です)
日本で日本脳炎ウイルスを媒介するのは、水田に生息するコガタアカイエカ(豚を好んで吸血する)といわれています。

日本で感染リスクの高い地域とは、今のところ豚の飼育が盛んな水田地帯と考えられます。

2015年に千葉県香取郡で11ヶ月こお子さんが日本脳炎を発症しています。
ただ、同じ千葉県内ですが地域的に今のところ松戸で感染のリスクを過度に心配することはないと思われます。

一方で、3歳未満で接種してはいけない理由もありません。

これらのことを踏まえて、接種希望がある時には3歳未満での接種を受け付けてますが、
その場合には、松戸市に予診票の申し込みが必要となりますので以下を参照して手続をして下さい。

参照:「日本脳炎定期予防接種について」(松戸市:まつどDE子育て)

正しい情報を選択すること

2018-06-13 21:51:25 | 雑記
沖縄のはしかは6月11日に県が終息の判断を発表しました。

愛知(名古屋)のはしかは終息宣言真近でしたが、残念ながら6月11日に新たな報告があり延期となしました。
今までのはしかとの接点はないようですので、この後の報告がないことを願います。

はしかの流行は報道などにより一時的に注目されたかと思っていましたが、
その他の色々なニュースなどであっと言う間に忘れられてしまった様に感じます。

最近は色々な話題が注目されても、色々なことが次々とに起こる(話題になる)ので、
自分も含め、一つの話題について2週間くらいしか意識していないのではないかと思うぐらいです。

情報を人から人に伝えるために、人は言葉を、その後文字という手段を人は獲得しました。

より多くの人に情報を伝えるために紙に文字を書き、更に印刷する手段を獲得しました。

紙が貴重な頃には、紙に書かれた文字は非常に貴重な情報だったと思います。
今は紙に書かれた情報は氾濫していて、その中から自分に必要な正しい情報を自分で判断しなけれならない状況です。

ネットにつても、
私がインターネットを始めた30年程前には、普通の電話回線(アナログ回線)を利用していたため、
送受信できる情報量は非常に限られていて(基本文字のみ)、
インターネット利用時には無駄な送信をしないような利用者のエチケットがあったように記憶しています。

今では個人的な呟きや画像が普通に溢れています。

紙で起こっていたことが、インターネット上ではここ20年弱で急速に進展したため、
人の方が急激な情報量の氾濫に追いつかないでいるように感じます。

膨大な情報中から正確な情報を選択ことが要求されています。

小児科医(医療者)として、より正確な情報を伝えていけたらと思います。

はしか(麻しん)の流行その後

2018-06-10 22:57:23 | 雑記
沖縄のはしかの流行は5月15日(5月10日発症)の報告を最後にその後報告はないため終息したと思われます。

愛知(名古屋)の流行も5月18日(5月12日発症)の報告後新たな報告はなくこちらも終息と思われます。

福岡の流行は6月8日(6月4日発症)の報告がありますが、感染が拡大している印象はなくこのまま終息に向かうのではないかと思います。

麻しん風しん(MR)ワクチンはメーカーからの出荷調整中のため、
新規の予約の方は接種を待って頂いている状態です。

流行も落ち着いたので、ワクチンの供給も通常通りに回復するのではないかと思いますので焦らずにお待ち下さい。

はしか(麻しん)の流行

2018-05-23 15:11:58 | 雑記
沖縄のはしかはやっと終息に向かっている印象です。
5月21日時点の集計では、5月2日に一人発症した後、5月8日と10日に一人づつ発症があった以降報告がありません。

名古屋を中心とした愛知のはしかは、5月22日までの集計で24人に報告がありますが、5月12日に発症した二人以降報告がありません。

福岡でのはしかの流行が、5月22日の時点で17人になっており、直近では5月20日に発症が最後となっています。

千葉県でもはしかの報告がありましたが、今のところはフイリピンから5月1日に来日し成田在住の男性で、5月12日に発症して5月14日に成田市内の医療機関に受診した1例のみです。

前回に書きましたが、麻しん風しん(MR)混合ワクチンはメーカーが出荷調整しており現在入荷がない状態で、次回メーカーからの出荷予定が6月中旬とのことです。

新規MRワクチン接種予約の方は入荷日・入荷数が確認できてから順次ご連絡をしますので宜しくお願い致します。

はしか(麻しん)の流行

2018-05-13 18:50:29 | 雑記
3月下旬から始まった沖縄のはしかの流行は、やっと終息に向かっている印象です。

5月10日の時点で95人が確認されています
発熱した日を見てみると5月2日に発熱した患者さんが最後となっています(5月10日時点)。

沖縄から飛び火した名古屋を中心とした流行が4月以降患者数20人(5月12日時点)となっています。

また、都内の町田市でも沖縄から患者さんとの接触からはしかを発症しています。

対策として、はしかワクチンの接種が呼びかけられていますが、はしか単独ワクチンは無い状況です。
麻しん風しん(MR)混合ワクチンもメーカーの出荷調整のため十分な供給が受けられない状況になってしまいました。

予約を入れている方のワクチンは確保できていますが、新規の予約の方はワクチン入荷本数が確認できるのを待って頂いている状態ですのでご了承下さい。

沖縄で麻しん(はしか)が流行中:2

2018-04-18 15:13:19 | 雑記
沖縄でのはしか流行の勢いが止まりません。

沖縄県内において4月17日の時点で、63人のはしかの患者さんが確認されています。

3月28日〜4月2日にかけて沖縄を旅行した、名古屋市内の10代男性もはしか感染が4月11日に確認されいます。
この男性は4月4日から7日にかけて埼玉県内におり、7日夜に新幹線で名古屋に移動しています。

沖縄の流行とは別に、
3月14日タイから帰国した東京都北区在住の20代女性が3月下旬はしかを発症、
感染経路が確認されていませんが、茨城県在住の40代男性が3月下旬にはしか発症の報告があります。

ワクチン接種歴(2回接種推奨)がない(不明)な方は、リスク管理としてワクチン接種をしましょう。

特にこれから沖縄に仕事や旅行の予定がある方は、沖縄に行く前に是非ワクチン接種を考えてください。

参照:国立感染症研究所「麻しん・風しん混合(MR)ワクチン接種の考え方」

沖縄で麻しん(はしか)が流行中

2018-04-06 20:33:48 | 雑記
あまり全国ニュースには取り上げられていませんが、
3月下旬から沖縄で麻しんが流行しています。

3月中旬に台湾から沖縄観光に来た30代男性が発端者で、
その後4月5日までに発端者を含め26人の感染が確認されています。

26人の内20人は20代〜40代の成人です。

沖縄では平成11年〜13年に麻しんの流行があり、9人のお子さんが亡くなっており、
今回沖縄県は定期接種対象前の生後6ヶ月〜1歳未満の子どもに対するワクチン接種費用の助成を決定しました。

近隣での流行ではないから大丈夫ではなく、
国内・海外問わず人の往来が多くなり、いつ身近に降りかかってくるかわかりません。

麻しんはワクチンで予防できる感染症です。
流行ってから慌てることのないようワクチン接種を確実に済ませておくことが大切です。