子どもの健康

子どもたちの健やかな成長を願って、子どもに関する小児科医の雑記

新しいインフルエンザの薬

2018-03-21 23:15:36 | 雑記
今シーズンのインフルエンザの流行は収束に向かっていますが、
まだ外来では日に数人インフルエンザ(A型・B型どちらも両方とも)の子がいます。

流行も終わりの時期ですが、3月14日に新しいインフルエンザに対する薬が発売されました。

今までのインフルエンザの薬と作用機序が異なる薬で、内服1回のみの薬です。

錠剤のみですが、内服ができるのであれば体重10kg以上で処方が可能です。
錠剤は割って小さくすることはできます。

今までのインフルエンザの薬は、ウイルスが細胞に感染しその細胞内でウイルスが増殖した後んにその細胞からウイルスが放出される段階を阻害する薬でした。

今回の薬は感染した細胞でウイルスが増殖すること自体を阻害する薬で、今までの薬が作用する前の段階に作用するものとなっています。

発売後数人に処方していますが、効果がよければ今後インフルエンザ治療薬の主流になってくると思われます。

ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン(子宮頸がんワクチン)についての最近の話題

2018-03-07 17:51:41 | 雑記
HPVワクチンは、2013年4月に定期接種化されましたが、
その後わずか2ヶ月後には厚生労働省が積極的な接種勧奨の中止を発表し、
5年近く経った現在も同様の状況が続いており
接種希望者は定期接種として接種を受けられるものの接種率は1%に満たない状況です。

2年ほど前にこのブログで
「ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン(子宮頸がん予防ワクチン)接種に関して」と言うタイトルで投稿しています。

その中で、名古屋市の調査に触れていますが名古屋市のホームページからは、
HPVワクチンと副反応と言われている症状に因果関係が認められなかったという速報結果は削除されており、現在は生の調査データが公開されています。→「子宮頸がん予防接種調査の結果を報告します」(名古屋市)

今回、この調査結果をまとめた論文が海外の医学雑誌に掲載されました。
医学研究科公衆衛生学分野の鈴木貞夫教授らによるもので、
「HPVワクチンと有害な症状との因果関係がないことを示唆している」と結論づけています。
「No Association between HPV Vaccine and Reported Post-Vaccination Symptoms in Japanese Young Women: Results of the Nagoya Study」
原文ではわからないと思いますので、内容はこの論文を記事にしたものを参考にしてみて下さい。
「HPVワクチンと接種後に報告されている症状は関係ない 名古屋市7万人調査が論文として世界に発信」(BuzzFeed News)

また、あまりメディアには出ませんでしたが、
昨年11月にHPVワクチンと副反応の問題を客観的に発信してきた医師・ジャーナリストである中村璃子氏が、イギリスの科学誌「Nature」からその活動を評価され表彰されています。
「海外の一流科学誌「ネイチャー」 HPVワクチンの安全性を検証してきた医師・ジャーナリストの村中璃子さんを表彰」(BuzzFeed News)
「子宮頸がんワクチン「差し控え」のリスク」(東洋経済ONLINE)

現在日本で接種できるHPVワクチンは、2価のサーバリックスと4価のガーダシル(子宮頸がんに関わるのはどちらも2価です)ですが、海外では9価のワクチンが導入されており90%程度の子宮頸がん予防が期待されています。

今のままでは、日本に9価のワクチンが導入されるのはいつになるのか含め、
日本のHPVワクチンをめぐる状況は医師として心配になります。

3月3日

2018-03-03 00:25:07 | 雑記
3月3日は臨時に休診します。

丁度桃の節句ですが、それとは関係はなく、
東京女子医大小児科勤務中にお世話になった先生の退任記念講義を聴講するため休診するとにしました。

私が研修医として女子医大小児科に入局して以降多くの方のお世話になりました。
教授・先輩医師・後輩医師・医師以外のコメディカルの人たち・患者さんなど全ての方の影響を受けて今の自分があります。

そんな中でも大きな部分を占めている先生です。
みなさんにはご迷惑をかけるかもしれませんがご了承下さい。

舌下免疫療法の小児適応

2018-02-28 19:11:17 | 雑記
スギ・ダニアレルギーによるアレルギー性鼻炎に対する舌下免疫療法薬が小児でも使用が可能となりました。

今までは12歳以上に使用が認められていましたが、
今回適切に薬を舌下投与できるようであれば12歳未満でも使用ができるようになりました。

舌下投与がしっかりできることと考えると小学校就学前後がギリギリかと思われ、
薬の添付文書では5歳未満の使用がないようです。

最低でも3年毎日しっかりできることなど守らなければならない決まりもあります。

処方できる病院は登録制になっており、
当クリニックは登録医療機関となっています。


オリンピックの間に、、

2018-02-26 21:21:36 | 雑記
オリンピックに一喜一憂している間に、インフルエンザの流行も峠を越えた印象です。

昨年の今頃はロタウイルスの流行がありましたが、今年は目立った胃腸炎の流行は今のところありません。

これから卒園・卒業のシーズンになりますので、何かの流行が重ならないことを願っています。

話は変わりますが、
ここのところの日本メディアはオリンピック一色といった感じでしたが、
オリンピックと同時期にシリアの空爆で子供達が犠牲になっている報道は少ないように感じます。

すぐに何かできる訳ではありませんが、
世の中で何が起きているのか、しっかり目を向けておく必要があると思います。

日本脳炎ワクチンについて

2017-10-29 17:47:39 | 雑記
ワクチン供給不足のため予約を中止していましたが、予約を再開します。

例年年内はインフルエンザワクチン接種を優先しているので、
接種期限が間近などの理由がある場合を除き、
接種は年明けをお勧めしています。

インフルエンザを含め他のワクチンと同時接種が可能ですので、
インフルエンザワクチン予約をしていて日本脳炎ワクチン追加や2期の接種が出来る方などは、
ご相談頂ければ接種可能です。

予防接種についてのお知らせ

2017-09-24 18:01:26 | 雑記
1、インフルエンザワクチンについて

ワクチン接種の予約を10月5日(木)から開始します。
10月5日は原則電話のみでの予約受付となります。

ホームページ「今シーズンのインフルエンザワクチンについて」も参照下さい。


2、日本脳炎ワクチンについて

ワクチンの供給不足のため一時的に予約の受付を中止しています。

日本脳炎の感染時期は蚊の活動期(5〜9月)ですので、接種対象者の方は焦らないようにして下さい。

例年も当院ではこれからの時期インフルエンザワクチン接種にシフトするため、接種対象年齢の期限に余裕のある場合で特別な事情がなければ、日本脳炎ワクチン接種は年明けまでお待ち頂いています。

食物アレルギー?

2017-05-31 21:31:38 | 雑記
僕自身が医師として約30年、
食物アレルギーのお子さんおの診療はとても増えたと思います。

実際に食物アレルギーのお子さんは増えているのですが、
メディアなどを通じて食事アレルギーの情報が多く発信されるようになり、
必要以上に食物アレルギーに過敏になてっているようにも感じます。

乳児健診の際に、アレルギーを怖がって離乳食の開始が遅れていたり、鶏卵などタンパク質をなかなか開始していない方にも度々遭遇します。

アレルギーかどうか分からないような症状(食べた後にちょっと口の周りが赤くなった、など)で、
直前に食べた物のアレルギーだと思いその後その食べ物を食べさせていない、、、

直接その食べ物と因果関係がはっきりしている症状ではないが、
皮膚の症状などでアレルギー検査をしたら陽性だったのでその後その食材を食べるのを止めた(食べないように指示された)、、

食物アレルギーの診療は、アレルギーが疑われる食物を単に制限することではありません。

1、本当に食べれない物(強い症状がでる)は確実に判定して制限除去が必要です。
  同時に誤食時の対応を考えなくてはなりません。

2、食物アレルギーであっても、食べられるようになる可能性があれば、最終的に食べられるように手助けをする。
  (残念ながら、皆が食べられるようになる訳ではありません)

3、単に検査で陽性だからと必ず食物制限が必要な訳ではないので、
  本当に制限が必要か判断をする。
  検査をする以前に本当に検査が必要か判断し、むやみに検査はしない。

4、食物アレルギーの予防に努める
  アトピー性皮膚炎など皮膚の状態が悪いことが食物アレルギーの発症リスクにななるので、皮膚のケアを徹底する。
  早期から食物を適切に開始することで食物アレルギー発症が抑えられる報告があり、少なくとも心配だけで色々な食材の開始を遅れせないよう、適切な時期に色々な食材を開始するよう指導する。

などなど、

食物アレルギーの適切な判断と対応をするのは当たり前のことですが、
検査をして陽性なので食べるのは止めましょうと言った単純なものではないことを覚えておいて下さい。

熱中症?

2017-05-24 18:45:21 | 雑記
暑い日が増えてきて、これからしばらくは熱中症に注意が必要な時期になりました。

子どもの発熱で来院されて、熱中症ではと心配される方も毎シーズンいらっしゃいます。

熱中症で体温が上がることはありますが、
熱中症であれば体温上昇以前に熱中症を疑う症状が必ずあるはずです。
元気だったのに気が付いたら熱が高かったというのは熱中症らしくはありません。

熱中症で高熱が認められるような状態は、熱中症の状態としては中等症〜重症になるので熱以外の症状に注意して下さい。

熱中症を起こしそうな状況で
「立ちくらみ」「筋肉がつる(こむら返り)」「手足のしびれ」
「頭痛」「吐き気・嘔吐」「体に力が入らない」「だるい」「いつもと様子が違う」
などの症状がある時には熱中症が疑われ適切な対応が必要となります。
この時期でも通常体温上昇は軽度のことが多いと思います。

更に症状が悪化すると、「けいれん」「意識障害」「高熱」といった症状になり早急に適切な対応を取らないと命に関わる事となります。

熱中症に関して詳しくは、「環境省の熱中症予防情報サイト」など参考にしてみて下さい。

症状を自分で訴えることが出来ない乳幼児は、保護者の方や周りの方が気をつけてあげる必要があります。
以前にも当ブログで書いていますが(「着せ過ぎ」「薄着の勧め(特に乳児の服装について)」)、服装や水分補給など注意してあげて下さい。

風邪など感染症で発熱している時も、部屋が暑かったり・着せすぎなどなどで熱中症になってしまうことがあるので注意して下さい。

鶏卵アレルギー発症予防についてのトピックス

2016-12-11 15:16:27 | 雑記
国立成育医療研究センターから離乳期早期の鶏卵摂取は鶏卵アレルギー発症を予防するとの臨床研究結果が発表されました。

「離乳期早期の鶏卵摂取は鶏卵アレルギー発症を予防することを発見」(国立成育医療研究センター)

生後4ヶ月までにアトピー性皮膚炎と診断された乳児を対象に、生後6ヶ月から「少量の鶏卵成分を摂取開始した子」と「摂取を制限した子」を比較し、1歳の時点で鶏卵アレルギー発症を調べたところ「鶏卵摂取を6ヶ月から開始したことで鶏卵アレルギーの発症が8割減少した」との発表です。

この結果を見て単純に早くから鶏卵を開始すればいいというわけだはなく、その子その子の状態やどのくらいの量から開始するのかなど注意が必要です。

一般的な離乳食の本などで鶏卵の開始は7〜8ヶ月から固ゆでにした卵黄から開始して大丈夫なら卵白を開始となっていますが、
乳児健診で、アレルギーが怖いからと離乳食後期(9ヶ月以降)になっても鶏卵を開始していない方に遭遇します。

少なくとも鶏卵開始を遅らせるメリットは何もないと言う根拠にはなるかと思います。