デジカメぶらりぶらり

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コロッケ

2013-11-21 08:24:52 | Weblog
晩秋の夕方、精肉店前。野球帰りの子どもたちが自転車にまたがったままで熱いコロッケをほおばっている。温かく安価な庶民の味はだれをも懐かしい気持ちにさせる。藤子不二雄さんも「まんが道」で苦労の新人時代に食べたコロッケサンドの記憶を描いている。

コロッケは明治・大正期に大衆的な西洋料理として急速に広まった。小沢昭一さんのお母さんが昭和初めの思い出にコロッケを語っている。「肉なんか買えないからコロッケばっかり。肉屋も知っててね。あたしが入ってゆくとあの人はコロッケだよって。あの唄のとおり」。

浅草オペラの「コロッケの唄」のことだ。1917(大正6)年に大流行した。<いつも出てくるおかずはコロッケ きょうもコロッケ 明日もコロッケ>。毎日毎日、コロッケと嘆く歌詞に庶民の味というイメージができていった。

おもしろいことに貧しい人の歌ではない。7番までの歌詞を読むと、あの時代に英語を習ったとか、自動車を運転したと出てくる。自慢げなのである。コロッケもまだ自慢の食べ物だったが、歌い継がれる間、安なって、庶民の味を歌っているという解釈に変化したのだろう。

3日、全国初のコロッケ大会で富山県高岡市の「高岡コロッケ」が一位になった。イカスミ入りという。懐かしい味とは違うが高岡育ちの二人の藤子さんもうれしいだろう。