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17年

2012-06-07 08:32:36 | Weblog
中国・三国時代の呉の武将、呂蒙(りょもう)は武勇で名を馳せたが、学問の方はからっきしだった。一念発起、猛勉強して深い教養を身につける。

久しぶりに会った人が感嘆して言う。「もう、昔の『呉の蒙君』とは別人だな」呂蒙はこう返す。「士たるもの別れて三日もたてば大いに成長しているから目をこすってよく見ないといけません」。

「三国志」にある話だが、いかにも歳月は人を変える。中身も、そして外見も。捜査員も目をこすってよく見たことだろう。13人が死亡した1995年の地下鉄サリン事件に関わったなどとして、特別手配されていた菊池直子容疑者が逮捕された。

<別れて三日>どころか、手配されて17年。ぽっちゃりした印象だった外見はすっかり変わり、痩せて、別人のようになっていた。

そもそも、偽名を使い「別人」として逃亡を続けてきた容疑者だ。逮捕に「ホッとしている」と話したそうだが、どれほど時がたとうと、事件の犠牲者家族には無縁の心境だろう。

せめて事件と教団の真実を洗いざらい話さなくてはならぬ。人は生きていればこそ、時に別人のように変わりもする。遺影の中の犠牲者たちはあの時のままだ。誰一人、太ることも痩せることもできない。