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登頂

2012-06-03 06:56:58 | Weblog
世界7位の高峰ヒマラヤのダウラギリ(8,167メートル)の頂上近くには、あおむけに倒れたままのポーランド人がいるという。この人もまた、先輩登山家の亡骸(なきがら)を見つめながら頂き踏みしめたのだろうか。

8千メートルを超す世界の高峰への登頂を目指していた登山家の竹内洋岳さん(41)が、最後に残ったダウラギリの無酸素登頂に成功。日本人として初めてヒマラヤ14座を制覇した。「最強のクライマー」と呼ばれた山田昇さんが10座挑戦を前に遭難死するなど、日本人の登山家には10座の厚い壁が立ちはだかった。

竹内さん自身も2007年、10座目のガッシャーブルム2峰で雪崩に遭った。腰椎などを骨折する大けがだった。奇跡的に助かったが、ドイツ人とオーストリア人の仲間を失った。

背骨を固めるチタン製のシャフトを入れる手術も受けた。1年後、取り外し、ガッシャーブルムに再挑戦、登頂を果たした。その直前、作家・塩野米松さんの聞き書きにこう答えていた。「成功だけではなく失敗をちゃんと語らないと。失敗も自分のキャリアですから、それを語らないと、共感というのはないですよね」。

瀕死のけが、仲間の死を経験した人の言葉だからこそ重みがある。半年前の取材には「登山をスポーツ文化として普及させたい」と語っていた。日本登山界の悲願を成就した山男の無事の帰還を祈る。