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配置薬

2012-03-20 07:18:20 | Weblog
東北の仮設住宅で富山の配置薬(はいちやく)が重宝されているという記事があった。お代は後で、という「先用後利(せんようこうり)」の商売は、さぞ助かるだろう。

柳行李(やなぎごうり)を背負った「売薬さん」を懐かしく思い出す。「七つ道具」を携えていた。大きな行李から薬やそろばん、分厚い帳面など出てきた。小さな紙風船も必ずあった。

物差しを持ち出し、もらった紙風船をボール代わりにして、紙が破れるまで遊んだ。大事なもののセットが「七つ道具」である。芝居の弁慶は、重い七つ道具を背負って義経を敵から守る。大名行列を華やかに演出する七つ道具がある。

アンコウの七つ道具は大変なごちそうだそうだが、巡り会えていない、紙風船も、余計なおまけではなく、大事な道具なのである。薬効があるわけはないが、売り手と買い手の心を通わせる。

仮設住宅を訪れる売薬さんも薬と一緒に、紙風船や励ましの言葉を届けているに違いない。それが被災者の力になっている。復旧、復興は、モノを配って足りるわけではない。紙風船のような心遣いを届けることも大事である。売薬の七つ道具がそう教えてくれる。