
「刻(とき)」が取り返しできる、などという思想は捨てるべきだ。
私は、「いつか」「いつか」と言いながら、美味しいはずの果実を腐らせてしまう。
「観たい」「聴きたい」そう思ったときにそうすべきものを、先延ばしにすることで、もったいないことに、美味しい時期を逃がしてしまう。
じぶんの中心、と勝手に思っている音楽や絵画、本やアートなど。
数十年にわたり「いつか見よう」と収めて溜めていたチラシはカビ出した。
もう残る時間は少ない。。。そう思う中で、日々を大事に生きねばならない。
お金や利害や他人目(ひとめ)よりも、それが大事だ。
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今この時期に行った方が良い、と教えてもらった日枝神社に訪問した足。
その足で、六本木方面に散歩。
ミッドタウンをうろついた末、美術館にぶち当たる。
観たいと思っていた展覧会の1つと交錯する。
「DOMANI・明日2020 - 傷ついた風景の向こうに -」。
会場に、いっさいの音が無い。
日本特有のムダな配慮BGMが無い。
その静けさに安堵する。
3・11から9年が経とうとする今。
その厳然たる事実をかき消そうとばかりに、一部のメディアと人は「五輪五輪・・・」とノイズを発している。
3・11後、除染作業が続く現場や避難地域で育つ自然を追った写真と動画作品。
それらが特に印象深くて、そのコーナーで長いこと佇んだ。
■佐藤雅晴 「福島尾行」■





※佐藤雅晴さんは、 闘病の末、2019年3月9日、45歳という若さで亡くなった。合掌。
(2020年1月26日の記載日記より抜粋)