4月13日は、京都国立博物館へ。
今日から始まった京博の特別展「雪舟伝説」にやって来ました。
毎回、特別展では平成知新館の地下講堂で展覧会に関する講演会があります。
初日の今日は花園大学文学部教授の福島恒徳先生の講演を拝聴しました。
福島先生は昨年10月に終わってしまいましたが、JR東海「そうだ 京都、行こう。」の会員限定のオリジナルイベントの常連?の講師をされていて、半ば顔馴染みの先生です。
先着200名の定員で、いつも京都仲間のKさんにお願いして整理券を取ってもらっています。
講演の内容は「だれが雪舟を画聖にして来たのか?」
13時30分からの講演が15時に終わり、3階から特別展を観覧します。
(国宝・秋冬山水図)室町時代 東博所蔵
3階の展示室から鑑賞します。
いきなり、水墨画の雪舟ワールドが広がります。
国宝が6点、重文が3点
僕のような素人が見ても構図の素晴らしさ、線の太さの強弱、墨の濃淡の巧みさ、立体感といい雪舟の画力の凄さがわかります。
(国宝・天橋立図) 室町時代 京博蔵
日本三景の一つ、天橋立(京都府京丹後市)の景観を鳥瞰的に描いた大作で、雪舟の傑作として名高い。現実にこの景観を一望できる場所はないため、恐らくは現地で行った複数の写生を後に組み合わせて一枚の実景図に仕立てたとみられる。不揃いの紙を継ぎ合わせた下絵で、別に本画が存在した可能性があるが詳細不明である。画家を示す落款印章もないが、その重厚な筆致と卓越した画面構成力、緻密な描き込みが、異色ながら特別に力のこもった雪舟自筆本であることを強く示唆する。制作期については諸説あるが、智恩寺に多宝塔が描かれていることから、現存する塔が再建された文亀元年(1501)以降を一つの目安とし、雪舟80代の最晩年期とする有力な説がある。
(京博HPより引用)
雪舟筆自画像模本 筆(江戸時代・岡山県立博物館蔵)
今回の特別展「雪舟伝説」の副題にもあるように長谷川等伯をはじめ狩野探幽や尾形光琳、伊藤若冲、曾我蕭白、円山応挙など名の知れた画家たち雪舟の作品の影響を受けています。
講演で福島先生は、
① 雪舟自身が自己アピールが上手かった。
② 雪舟弟子筋の絵師が雪舟の画風を追随した。
③ 大名家や大寺院、富裕層、古美術商などが雪舟作品のコレクターになった。
④ 現代社会では戦後に雪舟ブームがおこった。
⑤ 美術史界で明治から現代にわたり雪舟研究者や研究機関が多く現れた。
などの理由で雪舟が画聖としてカリスマ化されたと考えておられます。
講演を聴講してから展覧会を鑑賞すると、後の画家がいかに雪舟の作品を参考にして来たのかが少し分かる様な気になります。
あの独自路線を走った伊藤若冲でさえ雪舟の営業を受けているのは驚きです。
また、長谷部等伯とその弟子筋による雪舟末流宣言を見ても雪舟がカリスマ化されて来た歴史がわかります。
今回の特別展は雪舟の国宝作品6件が全て見れるのも魅力のひとつです。
また、巡回展ではなく、京博だけの特別展でほとんどの作品が通期で展示される事にも価値があります。
会期は5月26日まで
もう一度鑑賞して目に焼き付けておきたいです。