京都つれづれなるままに

京都好きの旅日記。お寺、神社、グルメからスイーツまで!思いつくままに。

養源院「都林泉名勝図会」に描かれた庭園

2020年10月31日 08時54分00秒 | 日記
 この日はNHK文化センターの現地講座で「『都林泉名勝図会』に描かれた庭の歴史」に参加しました。
講師は京都市文化財保護課 文化財保護技師の今江秀史さんです。





養源院は淀殿が父・浅井長政公の菩提を弔う為に長政21回忌に建立したお寺です。
"養源院"は長政公の戒名から取った寺名です。
その後に火災に遭い焼失しますが元和2年(1621)に淀殿の妹お江の方の夫・徳川秀忠の援助をもって再建されました。

先ずは通常非公開の庭園を見学します。





都林泉名勝図会は寛政11年(1799)に刊行された庭園のガイドブックです。



作庭は小堀遠州と伝わりますが作庭時期にズレがあり疑わしいそうです。
写真の掲載はNGと言われているので水野克比古先生の写真だけにします。
しかし、江戸時代の都林泉名勝図会の雰囲気をよく残した庭園です。

次に堂内の拝観です。
本堂は伏見城の資材を多く用いていて、廊下の天井は関ヶ原の戦いの前哨戦で奮闘むなしく自害した鳥居元忠はじめ多くの武将が自害した際の床板を天井に上げたものです。





本堂には作品数が少なく"謎の絵師"俵屋宗達の杉戸絵や襖絵が残されています。
当時、日本にはいない"白象"を伝聞や想像で描いたものです。
文珠菩薩を表しています。





一方、反対側には唐獅子が描かれ普賢菩薩を表しています。
ご本尊の釈迦如来と共に三尊形式になっています。





襖絵は本堂の"松の間"に描かれた絵で"岩に老松図"と呼ばれ宗達の現存する唯一の襖絵だそうです。





また、平和な世の中に現れるとされる"麒麟"の杉戸絵も残されています。
描かれている"波"にも斬新さを感じます。

作品数の少ない俵屋宗達の絵が多る養源院、、見どころの多いお寺です。

(内部は撮影禁止です。掲載している写真は
購入した絵葉書からの掲載です。また、庭園の写真も絵葉書からです。庭園の写真は水野克比古先生の作品です。)











春日大社と重森三玲作庭貴賓館庭園

2020年10月30日 07時11分00秒 | 日記
 奈良春日大社は今から約千三百年前に創建された古社です。国宝御本殿には武甕槌命(たけみかづちのみこと)を始め四柱がお祀りされています。







ニノ鳥からは多くの石灯籠が寄進され古くから信仰されて来たのが分かります。

毎年の3月13日に行われる春日祭は石清水八幡宮の石清水祭、賀茂社の葵祭と並び皇室から勅使が派遣される勅祭のひとつです。







今回、奈良観光協会が主催する「春日大社 御本殿特別参拝と重森三玲作庭・貴賓館庭園の特別鑑賞」に参加しました。





南門から入ると右側には4つの摂社があり回廊にはすごい数の銅製の灯籠が吊るされています。







神職の方の案内なので今まで気づかなかった見所も説明頂けます。







石田三成の家臣となった島左近寄進の石灯籠もあり刻印まではっかりと分かります。





回廊の一角、藤浪之屋には毎年8月14、15日に行われる中元万灯籠が再現されています。



いよいよ貴賓館です。初訪問で気分が高揚するのを感じます。
まずは一室でお抹茶とお菓子を頂き一服します。







こちらの庭園は二ヶ所あり重森三玲の作庭史において初期の作庭です。

「三方正面七五三磐境(いわさか)の庭」です。






この地は三方建物に囲まれたこの字になっていて三方いずれからも鑑賞出来るよう設計されています。
注連縄(七五三縄)に因んだ7、5、3個の石組が三方から見える様に石組が配置されています。

2枚目の写真の5つの石組は磐境(いわさか)に見立て、4石を横一列に配置し御本殿之御祭神4柱を表しているそうです。
また、庭石と主要植栽の総数は境内の末社数に合わされ、植栽の種類も末社に縁のあるものが用いられています。
例えば、杉本神社にはスギ、青榊神社にはサカキなどです。







もう一つの庭園は「稲妻形遣水の庭」です。
奥にある井戸からの水の流れを遣水(やりみず)の手法で流していますが、一味違うのが重森三玲の庭園です。
苔の緑と対比させる為に遣水の水路にはモルタル(コンクリート)が使われ、苔の緑とモルタルの白との色彩の対比とが効果的です。
また、直線で流すのではなく、稲妻形に流している所も斬新です。
後に手がける東福寺龍吟庵の作庭にも生かされています。

どの庭園にもテーマ性を持たせ、そのテーマを徹底的に追求し、かつ斬新なデザインを積極的に採用する所は長年に渡り日本庭園を研究して来た重森三玲の真骨頂ですね。

最後は"飛火野"の写真です。




































智積院(ちしゃくいん)

2020年10月28日 08時35分00秒 | 日記
 智積院は真言宗智山派寺院約3千の総本山です。





令和2年度の京都非公開文化財特別公開で宸殿内が公開されています。

受付を済ませ、まずは宝物館を見学します。桃山時代を代表する長谷川等伯・久蔵による楓図・桜図がガラスなどの保護カバーも無しに近くで鑑賞できるのがこちらの良いところですね。
この日は生憎、等伯筆の楓図は東博で開催中の「桃山 天下人の100年」展に出張中でした。









講堂の前を通り書院へ。
智積院庭園は国の名勝庭園で、秀吉公の遺児鶴松の菩提を弔う為に建立された祥雲禅寺の庭園を江戸時代に改修した庭園です。





内部の絵は複製画で構成され、当時の雰囲気を味わう事が出来ます。
豪華絢爛であり力強い桃山文化を感じます。



上の写真の建物が宸殿です。
賓客を迎える施設で普段は非公開です。

今回の特別公開では孔雀明王像(重文)が公開されています。古来インドでは孔雀が害虫や毒蛇を喰らうことから「人々の厄災や苦痛を取り除く功徳」があるとして信仰されて来ました。
日本に伝えたのは弘法大師空海です。
絵画、尊像ともに珍しい像です。



また、宸殿の一室には堂本印象の「婦女喫茶図」のモダンな襖絵があります。

宸殿内の違い棚の等伯筆「松に黄蜀葵(とろろあおい)及び菊図」も公開されています。
前述の祥雲禅寺客殿を飾った襖絵の一部です。
天下人秀吉に見出され、持てる技量の全てを注ぎ込んだ等伯渾身の作です。

秀吉はこの絵を見て我が子を失った失望感が少しは癒されたのでしょうか?

(宝物館及び宸殿内は撮影禁止なのでネット、古文化保存協会の拝観の手引きより転載させて頂きました。)





八幡圓福寺 萬人講

2020年10月26日 07時55分00秒 | 日記
 京都八幡市にある圓福寺には日本最古と言われる達磨大師の尊像がお祀りされています。(旧国宝でしたが現在は重文)





普段は非公開の寺院で「萬人講」と言われる毎年4月20日と10月20日の二日間のみ一般にも門戸を開かれます。

と言うのも達磨大師の尊像をお祀りしている事から分かる様に禅宗の修行道場となっているからです。

修行中の雲水たちが毎月決まった家々をまわり、お米やご志納などのお布施を頂く托鉢でお世話になっている方々をお寺に招待し、法要を営み、お斎(おとき-精進料理-)
を召し上がって頂く仏事を「講中斎」と言います。
この「講中斎」を広く一般の方々にも開放しているのが「萬人講」です。
長年拝観したいと思っていて、ようやく実現しました。
(この春の萬人講はコロナの影響で中止になってしまいました。)





本堂ではお坊さまによる一願祈祷が行われ、参拝者の一願が読み上げられます。



禅堂では「肩たたき特別祈祷」が行われていて肩こりに悩まされている僕も志納し祈祷して頂きました。








トイレの入口には鳥枢沙摩明王がお祀りされていて真言を唱えながらお堂を回ります。
"トイレの神様"ですね。



書院では、お弁当の交換所があり、普段だと堂内で頂けるそうですがコロナ禍の中で中止になっていました。
また、記念品売場や骨董品を売る店も出ていました。











普段、雲水の方々が使われる浴室や調理場のかまども見学させて頂きました。







最後に、御朱印を授与して頂き京阪楠葉駅までの直通バスに乗り次に向かいました。








泉涌寺別格本山 雲龍院

2020年10月25日 08時46分00秒 | 日記
 雲龍院は本山泉涌寺の南側に位置する泉涌寺の塔頭寺院ですが、南北朝時代の天皇と縁が深く泉涌寺塔頭の中でも別格本山の地位にある寺院です。





拝観受付を終え、「蓮華の間」です。



雪見障子の4つ窓からは違った"絵"を見る事が出来ます。かって報道ステーションの中継がありキャスターの青山愛さんが絶賛した風景です。



大石内蔵助良雄筆の「龍淵」



「大輪の間」
山科で隠遁生活をしていた大石内蔵助は親戚が近くの塔頭来迎院の住職をしていた関係でよく訪れていたようです。






北朝の後光厳天皇、後円融天皇の坐像が安置されています。
白砂の中に立つ灯籠は徳川慶喜の寄進によるものです。

本堂の龍華殿は昭和41年に国の重文指定をうけた柿葺の屋根が美しい建物です。
内部では写経をする事ができ、後水尾天皇寄進の写経机が今も使われています。





書院にある「悟りの間」今はまだ緑ですがあとひと月眼もすると紅葉に彩られます。







台所に安置されている「走り大黒天」です。
こちらだけは写真撮影禁止なので購入した絵葉書からの転載です。

いつ訪れてもこころ癒されるお寺ですが、期間は短いですが夜の拝観はまた、格別なものがあります。