Blog: Sato Site on the Web Side

「幻滅のたびに甦る期待はすべて、未来論の一章を示唆する。」(Novalis)

Miyako Kato Dance Space 2005

2005年10月09日 | Weblog
を夕方見に行く(@スペースゼロ)。
美術を担当された三輪美奈子さんから朝電話が掛かってきたのだ。三輪さんは、ぼくが以前谷川渥先生とヨーロッパ旅行に行った時の同伴者のお母さんで、それ以来のおつきあい。ピアノ線をグルグル巻きにして巨大な繭のような作品を以前はつくってらした。結構好きな作風。忙しい時ほど、そこから逃げたくなるもので、公演後には慶應大学で学会の2日目に行くこともあり、予定より少し早めに出かけたのだった。

二本の作品が上演された。『WAVE』はその名の如く、一人のダンサーが体で揺らぐ。なんか懐かしい感じだなーと思ってたら、案の定25年前(1980年の初演)の作品だった、というオチ。25年前はこんなんだったんだね、とお勉強。ダンサーは立花あさみ。そつなく踊る、見ていていやではない。でも、飴なめたいなーと思って佐久間ドロップなめるような、不味いわけじゃないけどいまさらな気がしてくる。『夢のかたちvol.?-傾く空-』(新作)は、若いダンサー(十代?)が10人くらい、あと年長のダンサーが10人、加藤とピエール・ダルドといったメンバー。沢山出て来る。タイトルにあるように「夢」というキーワードでいろんなシーンとか、衣裳とか、振りとか作られているのだろう。そのイメージのレヴェルが「絵」として舞台空間に展開されるものの、それはダンスではなく絵でしかない。またその絵の奇怪さも、ありがちな奇怪さの反復で、何をどこを見ればいいのか分からない。絵に描いた餅なのだ。餅食いたい、とこういう時思う。いや、難しいことは言わない、ダンス見せて、と思う。その点、加藤さんの動きは、正直踊っていない。黒沢美香と比較してしまうぼくの目が、そう言う。それに引き替え、畦地亜耶加は光っていた。驚いて首ごとのけぞる時の、のけぞりだけでも見応えがある。以前、伊藤キムの公演だったか(?)見たことのある、その時も印象的なダンサーだった。彼女を見ることが出来たことが、今回の収穫だった。踊りの勘を感じるダンサー。

美学会全国大会へ、美学の終焉をめぐるシンポジウムがあった。こういうシンポジウムや研究発表や公演後のアフタートークなどでの質問コーナーでしゃべるひとが興味深い。そこに、問うべき感性論がある気がする。たぶん、ひとの話をずっと聞いていて、聞く立場よりも相手の側の、何かをする立場にシンクロしてしまい、自分も何かパフォーマンスしないわけにいかなくなるのだろう、なんて思う。質問じゃなくて自分語りになってしまうあたり、気になるなあ。

夜はチャオ・バンブーで晩ご飯。三十分待ったか。でも、グリーン・カレー美味かった。甲斐あり。