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中国が12月から輸出規制。レアアース禁輸を対米交渉の武器に 「輸出管理法」:部品材料の供給で日本企業に警戒感が拡大(宮崎正弘国際情勢解題)

2020-10-20 | 中国の歴史・中国情勢

10月17日、中国全人代常務委員会は12月1日から「輸出管理法法」を実施するとし、付帯して詳細な規則、リストを発表する法律を成立させた。

第一に「中国の安全と利益を損ねる場合に相手国へ報復を含む」という文言が挿入されている。ここに「利益」という語彙を用いた点は注目するべきだろう。

第二に「禁輸リスト」を作成し、品目と相手国の調査、監査をするために品目によっては「許可制」とする。まるで米国のELリストへの対抗措置である。

第三に相手国が、申告目的以外に転用したり、規制を濫用すれば中国は「対抗措置」、すなわち報復を講じるとしている。

この概要とプロセスを照覧すると、米国の諸法律、規制への露骨な対抗措定であることが明らかになる。トランプ政権はファーウェイ向けの半導体輸出を規制し、ソフトウエアの供給を規制し、半導体製造装置の対中輸出を禁止してきた。

このプロセスを中国は真似ているのだ。

しかし、これまでにも法律を明示しなくとも、フィリピンからのバナナを税関で留め置いて腐らせたり、日本にレアアース供給を中止したり、いまはオーストラリアの石炭を港湾に放置して通関をさせないという嫌がらせをしている。かつてフランスがSONYなどの製品の通関を、田舎の税関に移管して時間を掛けるという意地悪な行為があった。

ワシントンでは議事堂の前で反日議員が集まり、日本のラジカセをハンマーでたたき壊したように、貿易上の駆け引きの手段化されてきた。

しかし、今回は趣が異なる。

中国は外交戦略の武器として、西側のアキレス腱をつき、貿易交渉を中国有利に押し戻す狙いがある。

米国はレアアースの供給中断によって米国内での半導体やEV電池の生産に支障がでることになり、相当深刻な問題となる。米国内にレアアース埋蔵は豊富だが、開発と精錬が「3k現場」であるため、「汚い仕事」は他国にやらせてきた。

テッド・クルーズ上院議員らは、国防予算からレアアース鉱山の開発費用を調達し、ただちに米国内でのレアアース供給体制を確保する法案を提出している。

日本企業はどうかと言えば、自動車部品素材のマグネシウム、セラミック・コンデンサーの炭酸バリウム、EVモータのジスプロジウムなどが対象になりかねない。

またドローンの62%は中国からの輸入、トランジスとなどの半導体デバイスが52%を中国に依存している。

こうした部品材料の供給で日本企業に警戒感が急拡大しているが、供給先の代替地を急ぐと同時に代替原材料の開発が急がれる。


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