トランプが展開している戦略は[MAKE AMERICA GREAT AGAIN]。
しかるに習近平のそれは「MAKE CHINA POOR AGAIN」とならないか。厳にサウスチャイナモーニングポストの見出しは「輸出注文ゼロ、工場閉鎖、大量の失業」と報じている(4月25日)。
本書を読むと、中国の「闇の奥」の、その奥に行くと、信じられない地獄の実態、日本人が想像も出来ないことがリアルに起きていることが分かる。地獄をしる福島さんの最新レポートである。
銀行の預金が突然消えた。
日本では銀行の貸金庫を女子行員が勝手に開けて数億円相当を猫ババした事件が話題となったが、目に見えない、知らないうちに個人の銀行口座から預金がほかに移管され、財産はゼロになっていた。怖ろしいことが中国で起きた。
まだつづきがある。
被害に遭った預金者数千人が河南省の銀行前に座り込んで抗議すると、公安が導入され暴力的に排除され、以後沙汰止み。
この続きがすごい。コロナ対策で用いた区分け方で隔離する人たちへの対応が取られたが、この方法を用いて銀行へ抗議した人たちを「隔離」したのだ。
まさに監獄大陸、それが中国の実態だ。
AIが発達し、オレオレ詐欺も海外からの電話も高齢者やプチブル(小金持ち)を狙って、知能的な金融犯罪が急増しているが、そのような手間暇もあっさりと省き、ボタンひとつで預金、年金を奪うのである。
デンセル・ワシントン主演の『イコライザー3』は、そうやって全財産を奪われた老夫婦、ボタン一つの操作で世界のファンド、預金口座から預金を盗んでいたシチリアのマファイを退治する元CIA工作員の話だが、中国では日常茶飯。実際の手口は本書にあたっていただくとして、この種のコンピュータ犯罪は今後も急増し続けるだろう。
もっとハイテクが駆使され、被害金額も天文学的になるだろう。
なにしろ僅少の統治と時間短縮で生成AI、チャットGPTの革命児と言われるディープシークをつくりだし国である。
英雄色を好むというのは古今東西歴史的真実だが、中国の場合は権力にまとわりつく拝金主義がある。有名なテニス選手が政治局常務委員の張高麗の愛人だったことは驚きでもないが、別離にあたっての、その愛憎のすさまじさ。
テニス選手は消息不明となった。彼女が「金銭の授受はなかった」という主張は考えられないことである。また習近平にとっては江沢民残党の長老のひとりが張高麗であり、その院外団的影響力をそぐ裏の目的もあったのではないかと福島さんは推理する。このあたり、松本清張の推理小説より面白い。
コロナ宣言の裏に隠されていたのは、郊外の隔離所へ強制移動させたという謎、ウイグル自治区の強制収容所よりひどい残酷さが隠されていた。
そしてコロナ騒ぎの影に隠れていたが、少年少女の失踪事件が頻発、しかも大概が臓器を抜き取られたあとの遺体で発見される。
身体が震えるような惨劇が連続しているのである。
警察は遺族に遺品しか渡さず、事件は悉く闇に葬られる。法輪功の学習者が拷問されて臓器を摘出されたという証言は世界を揺るがせたが、一般庶民の行方不明事件はあまりにも件数が多く、詳細は不明である
本書はほかにも、いまも存在する「売られた花嫁」と「生殖奴隷」の実態や、ウクライナ戦争に取り残された中国人留学生の悲劇、その苦闘を知りながら王毅外相は『中国は必ず面倒をみると』と大見得をきって、結局なにもしなかった。
その裏側では「ロシア軍に中国兵士が155人いる」とゼレンスキーが暴露した。
中国の体質的な英雄観は、「ずるく、腹黒く、ウソも平気で付ける人間こそが歴史を動かす偉大な人物である」という考え方に立脚している。
そんな中国社会を生き抜くために通常の中国人は「裏切られるより裏切る人間であること、欺されるより欺す人間であることをめざす」のである。
善意の日本人が、中国は大市場と聴いて拙速に進出し、身ぐるみはがされてしょぼんとなるのは最初からみえていた結果であり、「中国進出が根本の間違い」だったのである。
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