(評 近藤大介)
数年前、西側諸国の記者たちを前に、中国の王毅国務委員兼外相が、「中国崩壊論を唱える人もいたが、いまや中国より先に中国崩壊論の方が崩壊した」と嘯いた。 そんな中国崩壊論の日本の第一人者とも言えるのが宮崎氏で、20年以上前から約100冊も、類書を世に問うてきた。 それをバージョンアップさせた最新版が本書であり、語られているのは、「連鎖恐慌」「台湾有事」「日中衝突」……という「悪夢のシナリオ」だ。 私は宮崎氏の著作を20年来、読み続けてきたが、その主張はまったくぶれていない。 20年前は「妄想」に思えていたことが、いまや「身近」に感じるから不思議だ。今度は宮崎氏が「現実が私の主張に近づいてきた」と嘯く番かもしれない。
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中国共産党大会で、異例の3期を確定させた習近平。指導部から他派閥を排除し、完全に「習家軍」とよばれる子飼いの側近で固め独裁体制を強化した。本書では、チャイナウォッチャーの第一人者が、今後5年の中国経済、国際政治の変化や、台湾侵攻スケジュール、さらには国内動乱の可能性について徹底分析。とくに最高指導部に改革派、市場重視派が不在となったことで、経済衰退は不可避になり、そのために国内統制がさらに強まり、国内の不満と権力闘争が激化すると指摘。また、ウクライナ問題や一帯一路の挫折から国際的孤立を招いている実態から、台湾侵攻のXデーと実際の占領戦略までを検証する。
習近平の次の5年で、いよいよ爆発するチャイナリスクの実態を明らかにし、中国の行方を予測!
【目次】
プロローグ 習近平3期目の中国で何が起こるのか
・さらに加速する経済の衰退
・2026年、中国は台湾を侵攻する ほか
第1章 独裁政権の完成で中国の没落は決まった
・公安、司法幹部を入れ替えた習近平の意図
・破滅的なサプライチェーン
・住宅ローン支払い拒否が横行
・日本の製造業を潰そうと目論む中国の罠 ほか
第2章 迫る台湾有事と日本の覚悟
・台湾人に広がる戦争への決意
・中国はどこまでハイブリッド戦争が可能か
・舞台裏で繰り広げられる熾烈な諜報戦 ほか
第3章 中国の「静かなる侵略」と各国の嫌中意識
・太陽光発電を利用して他国への侵食を加速
・中国の軍拡を支えてきた日本
・アジア各国の「国学」復活で高まる日本の評価
・南太平洋で高まる住民の中国嫌悪 ほか
第4章 「一帯一路」の崩壊で孤立する中国の末路
・不良債権化する中国プロジェクト
・約束不履行、途中での条件変更が中国の流儀
・中国資本で犯罪都市化したシアヌークビル
・アフリカでも破綻危機の国が続出
第5章 ウクライナ戦争は中国をどう変えたか
・ロシアの疲労で国際的主導権を狙う習近平
・金本位制の復活を狙う中露
・日本にとってのウクライナの教訓 ほか
エピローグ 間違いだらけの日本の対中政策
・存廃の危機にある日本の防衛産業
・中国幻想から目覚める日本 ほか
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宮崎正弘昭和21年金沢生まれ、早稲田大学中退。評論家、作家。中国全土をくまなく踏査、中国経済の実態報告に定評があり、著書多数。近作は『日本の保守』(ビジネス社)。 くわえて、中国をめぐり福島香織氏、宮脇淳子氏、河添恵子氏、渡邉哲也氏、室谷克実氏、石平氏らとした対談書籍も多い。対談新作『世界を震撼させた歴史の国日本』(徳間書店、高山正之氏との対談)が好評。また歴史評論では吉田松陰、西郷隆盛論などがあり、近著は『中国解体2021 日本人のための脱チャイナ入門』『バイデン大統領が世界を破滅させる』『中国の静かなる日本虐殺2025』(いずれも徳間書店)。
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