2022.5/26
バイデン氏の韓国訪問と日本訪問。その内容を見れば、「質的に大きな差があった」といった表現には大きな違和感がある。質的どころか、「次元レベルの大きな差(懸隔)」があったと見るべきだ。
言うならば、韓国は「前座のお話し相手」に過ぎなかった。韓国が、中国の視線にオタオタしていることは明白だ。それで話の中心は「米国と韓国は仲良くしましょう」という曖昧模糊としたものになった。
現代(ヒョンデ)自動車の対米投資計画など、「米国にとって喜ばしい話」を聴く場所は韓国だった。
が、米国主導の新経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」の発足を宣言した場所は日本だった。台湾防衛への軍事的関与に関する「イエス」の発言も日本でだった。
失礼な表現になるが、「韓国メディアの〝愛国・反日〟型の偏頗(へんぱ=片寄って不公平なこと)報道に〝飼いならされた韓国人民〟」は、米国大統領が日本より先に韓国に来ることを、「韓国が日本を超えた証拠」とばかりに無邪気に喜んだ。
韓国の多くのメディア報道によれば、米韓首脳会談では、恒久的な通貨スワップに準じる措置が合意され、日米豪印のクアッド本体ではなく、ワーキンググループへの参加の道が開かれるはずだった。
クアッドはそもそも「対中目的」だから、本体に加わるような度胸は韓国にはない。
ところが、ワーキンググループに関しても、米高官から早々と「韓国なんて、お呼びでないよ」とやられてしまった。
米韓共同声明をいくら読んでも、「スワップ」の文字は出てこない。
「愛国・反日」の〝悪立ち回り〟に用心
そうした中で、唯一の光明は、「バイデン氏が日本に対韓関係の是正を勧告する」といった観測だった。
バイデン氏が「前の(ドナルド・トランプ)政権」が取った日韓などへの一部輸入規制策に関して、「日本に行って話す」と述べたことが、この観測の根拠だった。
韓国の〝愛国・反日〟マスコミは、これを「安倍晋三元政権などが取った対韓輸出規制」のことを言っていると誤解(=意図的かもしれない)したまま突っ走った。
バイデン発言により、「日本はいかなる方法であれ、解決策を提示しなければならない重荷を抱えることになった」(東亜日報5月23日)と断じた記事は、その典型だ。
ところが、日米首脳会談後の共同記者会見録をいくら読んでも、そんな話は出てこない。
「韓国」という名称すら出てこない。わずかに北朝鮮の核・ミサイルへの対処に関する岸田首相の発言の中に、「日米、日米韓で一層緊密に…」と〝韓〟が出てきただけだった。
韓国流の言い方をすれば、米国にとって日本と韓国は、「国格」が全然違うことが示されたのだ。
その〝悪立ち回り〟に十分用心しなくてはならない。
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